俳文学会東京研究例会第465回(2023年6月24日(土)14:30~17:00、江東区芭蕉記念館)
Tweet研究会情報です。
●公式サイトはこちら
http://haibuntokyo.cside.com/prg/inf7.cgi
--------------------
※詳細は上記サイトをご確認ください。
第465回
2023年6月24日(土)14:30~17:00
江東区芭蕉記念館
●研究発表
紹巴時代の百韻連歌について /松本 麻子氏
【要旨】
本発表は、紹巴の時代の連歌が、後の俳諧に与えた影響について考察するものである。紹巴の出座した百韻では、特に前半、連衆が自身の詠む場所を意識して付け句がなされていた。そうすることで百韻の時間も短縮され、堪能ではない参加者であっても前半に少なくとも再篇まで二句詠むことができるようになった。加えて最初の花の句は連衆の中でも末席の者が詠む可能性が高い。紹巴の出座した会では、参加者が俳諧において定型化された花の定座の場所に花を詠むことを実践していた。その結果、月の定座が花の二句前に置かれるようになったと考えられる。
●研究発表
無倫撰『手鑑台』と『蒲の穂』 /伊藤 善隆氏
【要旨】
無倫(明暦元年~享保八年)は、江戸で活動し、調和・蘭台らと親交のあった俳人である(『俳文学大辞典』)。この無倫の撰になる『手鑑台』と称する資料を調査する機会を得た。同資料は、発句を記した小短冊や小色紙を帖に貼り込んで調製されており、古筆手鑑を模した発句合の勝句巻であると判断できる。無倫の月並発句合の資料としては、『蒲の穂』(元禄十三年序)と『不断桜』(元禄十六年序)が知られているが、確認したところ『手鑑台』に記載される勝句十句が『蒲の穂』に収録されていた。無倫の月並発句合については、すでに永井一彰氏による研究が備わる(『月並発句合の研究』笠間書院、2013年5月)。本発表では、永井氏の研究を拠り所として、『手鑑台』に検討を加えたい。