俳文学会東京研究例会第458回(2022年7月23日(土)14:30~17:00、江東区芭蕉記念館)
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俳文学会東京研究例会
第458回
2022年7月23日(土)14:30~17:00
江東区芭蕉記念館
●研究発表
連歌の終焉―明治期の上野東照宮連歌始を手がかりとして /浅井 美峰氏
【要 旨】
本発表では、架蔵の連歌世吉二種と葉書一通から、連歌の一つの「終焉」について考えたい。前者は、明治三十七年と三十九年の正月十一日に上野東照宮で行われた連歌始のもので、原懐紙ではなく写しだが、明治期の連歌の様相を示すものである。この連歌始は、近世の柳営連歌を継承するものとして行われていたと考えられる。後者は、大正期の花園稲荷・五条天神神職の葉書で、連歌の宗匠がいなくなり道が絶えた、という内容を持つ。江戸期の流れを承ける(と主催者が考えていた)連歌がどのようなもので、それがどのように潰えたのかを見ていくこととする。明治期以降の連歌史を考える上でも有意義な資料だと考える。
●研究発表
『おくのほそ道』編集作業についての試論 / 深沢 眞二 氏
【要 旨】
『おくのほそ道』は、旅中や旅の後まもなくに書かれた断片的句文をもとにして編集されたのだろうと推測されている。しかし、現在知られている資料を整理して、執筆時点ですでにあったと思われる句文と『おくのほそ道』を照らし合わせてみると、取捨選択は一様でなく、複雑な編集過程が見てとれる。芭蕉は先行句文から複数箇所を選び『おくのほそ道』の柱とし、それらと関連のある記事を別の箇所に嵌め込もうとして、同じモチーフを反復しつつ変化させている。いわば〈組紐〉を編むようにモチーフを綿密に配置しているらしい。「行春」と「行秋」の対照、松嶋と象潟の対照、「萩」と「西行」の反復、佐藤庄司の旧跡における複数のモチーフの交差について検討し、とくに「月」と「日」の〈組紐〉的構成に注目して論ずる。