俳文学会東京研究例会第456回(2022年5月28日(土)14:30~17:00、江東区芭蕉記念館)
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第456回
2022年5月28日(土)14:30~17:00
江東区芭蕉記念館
●研究発表
許六連句における「かるみ」 /牧 藍子氏
【要 旨】
許六が「かるみ」の句の特徴を説明するなかで用いている「直に見るがごとし」(『俳諧問答』)という表現と、後年の自注連句作品を手がかりに、許六が芭蕉の「かるみ」の教えをどのように理解していたか明らかにする。許六は「かるみ」の特徴として、句の表には直接表現されない情景までもありありと思い描かせるイメージの喚起力を重視しており、一句の表現としては、前句を深く読み込むことによって見出した素材を付句の核として提示する形を好んで用いている。このような許六の「かるみ」の性格は、元禄五年に許六が芭蕉とともに巻いた連句作品の特徴と重なっており、許六が連句の場で芭蕉から受けた「かるみ」の教えをよく理解し、帰藩後もそれを意識的に実践していたことがわかる。以上にくわえ、許六の連句における「かるみ」と、いわゆる「取り合わせ論」との関連についても言及する。
●研究発表
西鶴十三回忌『〔馬〕』について―松岡説を手掛かりに― / 伊藤 善隆 氏
【要 旨】
李梅編『〔馬〕』(宝永三年刊)は、松岡満夫「「馬」―西鶴十三つ忌追善俳諧集の一つ―」(『創立十周年 記念論文集』京都府立大学女子短期大学部、昭和36年12月)で翻刻・紹介された資料である。しかし、同稿はその後ほとんど言及されることがなかったと覚しい。『元禄時代俳人大観』(八木書店、平成23年6月~平成24年3月)も、本書を見落としている。今回は、あらためて本書の内容を紹介し、団水編『こころ葉』における李梅たちの待遇への不満から本書が刊行されたのではないか、という松岡氏の推測を、李梅の入集履歴を確認することで、再検討したい。