『日本中国学会報』第73集[学界展望]にて、古川末喜『二十四節気で読みとく漢詩』(文学通信)が紹介されました(紹介者・田口一郎氏)

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『日本中国学会報』
http://nippon-chugoku-gakkai.org/?p=443


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●2020年10月刊行

古川末喜『二十四節気で読みとく漢詩』(文学通信)

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古川末喜『二十四節気で読みとく漢詩』(文学通信)
ISBN978-4-909658-37-1 C0098
A5判・並製・448頁
定価:本体2,800円(税別)


中国の古典詩は、季節をどのように詠っているか。詩に詠われた真の季節を探り、制作年代をも明らかにする。
二十四節気は、簡単に言うと、一年間の太陽の動き、すなわち季節の推移を二十四等分した枠組みである。旧暦すなわち太陰太陽暦にとって、不可欠の要素として、二千年以上の長きにわたって、農業や暮らしの文化に深く関与してきた。
本書はその枠組みから、その詩がその節気である根拠をいちいち検討し、作者が何歳のとき、どこで作ったかを、可能なかぎり明らかにする。
序編として、中国で二十四節気という発想が、どのように生じ発展していったかを、概論的にまとめた「二十四節気概説」を付す。
この序論を読めば、年代特定については、中国の古典詩以外の分野でも用いることができるし、中国以外でも二十四節気の日付を残す文献がある国では、活用の参考になる。

【わたしはもともと中国の古典詩が、季節をどのように詠っているかを知りたかった。ただ、旧暦の日付で見ていては、今述べたように、詩に詠われた真の季節はわからない。そのとき、旧暦の中に二十四節気という太陽暦が組み込んであること、そして二十四節気を基準に見れば、その詩が詠う季節がどの時期にあるのか、客観的にわかることに気づいた。季節の推移は、太陽の黄道上での(つまり地球の公転軌道上での)動き、位置によって決まり、一年を二十四等分する二十四節気が、季節の推移を客観的に知ることに、きわめて便利であることに気づいたのである。】...「序」より





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【著者紹介】

古川末喜(ふるかわ・すえき)

1954年、佐賀県生まれ。九州大学文学部卒、同大学院博士課程中退。鹿児島県立短期大学、島根大学、佐賀大学をへて、現在佐賀大学名誉教授。博士(比較社会文化・九州大学)、博士(文学・神戸大学)。
〔著書〕『中国スキンシップ紀行』(筑摩書房、1988年)、『初唐の文学思想と韻律論』(知泉書館、2003年)『杜甫農業詩研究 : 八世紀中国における農事と生活の歌』(同、2008年)、『杜甫の詩と生活 : 現代訓読文で読む』(同、2014年)


【目次】


凡例

序編 二十四節気概説

第1節 二十四節気の原理
1.太陽黄経
2.節気の時刻
3.節気の期間
4.平気法
5.二十四節気を用いた太陽暦の例
6.定気法

第2節 二十四節気成立前史
1.古代遺跡にみる冬至・夏至、春分・秋分
2.『尚書』尭典
3.「夏小正」
4.殷
5.『管子』の三十節気
6.西周から春秋時代の陰陽暦、戦国時代の四分暦
7.『呂氏春秋』十二紀、『礼記』月令
8.『淮南子』天文訓・時則訓

第3節 二十四節気の確立、および充実期
1.『漢書』律暦志(太初暦・三統暦)
2.『後漢書』律暦志(後漢四分暦)
3.『晋書』律暦志(景初暦)・『宋書』律暦志(元嘉暦)
4.『魏書』律暦志(正光暦)
5.『隋書』律暦志(皇極暦・大業暦)
6.『旧唐書』律暦志(戊寅暦)
7.『大唐陰陽書』
8.節気カレンダー(唐・呂才『大唐陰陽書』による)

第4節 陰陽暦の中の二十四節気
1.太陰暦(陰暦)のしくみ
2.陰陽暦(陰陽合暦・旧暦・太陰太陽暦)のしくみ
3.旧暦(平気法)のひと月に出現しうる節気
4.節気の開始日について
5.陰陽暦の中の太陽暦の要素
6.旧暦の日付と新暦の日付の関係

第5節 二十四節気と太陽エネルギー
1.二十四節気と日の出・日の入りの方角、南中高度、昼時間
(一)日の出から日の入りまでの時間(昼時間)
(二)太陽の南中高度
(三)日の出の方角から日の入りの方角まで、太陽の現れている角度(夾角)
2.受け取る太陽エネルギーの量と気温のタイムラグ
 付1.二十四節気概説関連年表
 付2.北緯35度周辺の北半球地図、北緯35度周辺の東アジア地図
 付3.二十四節気の日出入時間・昼時間・南中高度、日出入方位角・夾角、および八節間の増減
(付:西安市節気初日気温平均および八節間の増減)

本編 二十四節気の詩の検討

第1章 春

第1節 孟春の詩

立春 2a(りっしゅん)
 (元末明初)張昱「癸亥立春、在壬戌十二月二十五日」
 (宋)韓琦「至和乙未元日立春」
 参考「没日について」
 (南宋)施枢「立春」

雨水 2b(うすい)
 (明)陳献章「正月二日、雨雹」
 参考 (明)居節「春晴書見」

第2節 仲春の詩

驚蟄 3a(きょうちつ)
 (宋)曹彦約「驚蟄後、雪作未已、阻之湖荘」
 参考「啓蟄と驚蟄について」
  1.節気の専門用語としての啓蟄と驚蟄
  2.物候としての啓蟄
  3.驚蟄という言葉の誕生
  4.『周髀算経』、「時訓解」、および避諱について
春分 3b(しゅんぶん)(付 春社について)
 (唐)権徳輿「二月二十七日、社兼春分、端居有懐、簡所思者。」
 (宋)朱淑真「春半」

第3節 季春の詩

清明 4a(せいめい)
 (唐)顧非熊「長安清明言懐」
 参考「唐宋期の清明と寒食節の位置関係について」
 (南宋)虞儔「清明」
穀雨 4b(こくう)
 (明)沈守正「歩至九峰寺」
 参考「陸游の穀雨の詩(七十七歳)」

第2章 夏

第1節 孟夏の詩

立夏 5a(りっか)
 (南宋)陸游「立夏」
小満 5b(しょうまん)
 (宋)趙蕃「自桃川至辰州、絶句四十有二、其三十二」

第2節 仲夏の詩

芒種 6a(ぼうしゅ)
 (南宋)范成大「芒種後、積雨驟冷、三絶」
夏至 6b(げし)
 (唐)白居易「和夢得夏至憶蘇州呈盧賓客」

第3節 季夏の詩

小暑 7a(しょうしょ)
 (南宋)韓淲「十八日小暑大雨」
大暑 7b(たいしょ)(付 伏について)
 (南宋)陸游「六月十七日、大暑殆不可過、然去伏尽秋初、皆不過数日、作此自遣」

第3章 秋

第1節 孟秋の詩

立秋 8a(りっしゅう)
 (宋)張耒「六月二十三日、立秋、夜行、泊林篁港口。二首」
処暑 8b(しょしょ)
 (元)仇遠「処暑後風雨」

第2節 仲秋の詩

白露 9a(はくろ)
 (南宋)陸游「嘉泰辛酉八月四日、雨後殊凄冷新雁已至、夜復風雨不止。是歳八月一日白露」
秋分 9b(しゅうぶん)(付 秋社・中秋節について)
 (宋)劉攽「八月十五日、秋分。是日又社」

第3節 季秋の詩

寒露 10a(かんろ)
 (明)姚汝循「宿三山別業」
霜降 10b(そうこう)
 (元)耶律楚材「過夏国新安県」

第4章 冬

第1節 孟冬の詩

立冬 11a(りっとう)
 (明)陶安「癸卯九月二十一日作」・「立冬」
小雪 11b(しょうせつ)
 (南宋)釈居簡「小雪」

第2節 仲冬の詩

大雪 12a(たいせつ)
 (南宋)釈行海「十月呉中感懐」
 (明)朱誠泳「初度自慶十一月十五日」
冬至 12b(とうじ)
 (北宋南宋)劉一止「冬至汴下早行有感一首」
 (南宋)劉克荘「冬至二首」其一

第3節 季冬の詩

小寒 1a(しょうかん)
 (明)祁順「自裭亭冒雪至余吾」
大寒 1b(だいかん)
 (明末淸初)屈大均「大寒」二首

付4.参考文献、ウェブサイト
(二十四節気概説関連 本編漢詩関連 その他)
付5.本編漢詩関連地図

あとがき

索引
○二十四節気関連事項索引
○人名索引
○書名・篇名・ソフト名・サイト名索引
○地名索引

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初版において、次の誤りがありました。心よりお詫び申し上げ、ここに訂正いたします。(2021.2.10)
・198p 4行目
誤)同義反復になるが、寒食節の最終日は、清明と重なる年もあれば、重ならない年もある。
正)同義反復になるが、寒食節の最終日は、清明と重なる年もあれば、重ならない年もある(▼3)。