北白川EFEOサロン2019-2020 日本における信仰と「知」のはざま(2020年9月25日(金)午後六時〜、Zoom&フランス国立極東学院京都支部(会場参加10名まで))※要申し込み

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研究会情報です。

●公式サイトはこちら
https://bit.ly/35ec9up

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※申し込みは上記サイトをご確認ください。

日時:
2020年9月25日金曜日 午後六時から
場所:
フランス国立極東学院京都支部(EFEO Kyoto)
備考:
会場参加10名まで(学生・研究者優先)。同時にZoomにて配信します。どちらも必ず事前にお申し込みください。


内容:
北白川EFEOサロン2019-2020 日本における信仰と「知」のはざま
講演者:
ガエタン・ラポー(京都大学人文科学研究所白眉特定准教授)
題目:
室町時代の密教と現世利益:茶枳尼天曼荼羅をめぐって
使用言語:日本語

 茶枳尼天は、もともとインド起源の鬼女で、人間の肉を食らう恐ろしい存在である。仏教教
典においては、仏の力によって仏法の守護神となり、日本にはこの形で伝わった。日本では、
平安時代から姿を現し、「茶枳尼法」といった外法の儀礼や即位灌頂に登場し、人間の寿命
と王権に深く関係する尊格となり存在感を増していった。
 中世後期になると、この茶枳尼天を中心とする曼荼羅が多数作成されるようになった。こう
した曼荼羅では、茶枳尼天だけでなく周囲に様々な尊格が描きこまれ、茶枳尼天を中心とし
た壮大なスケールの信仰世界を体現している。
この種の曼荼羅作成・使用の確固とした目的は明らかではないが、現世利益をもたらす儀
礼で使用されたというのが通説である。本発表では、この通説から更にふみこんで、この複
雑な信仰世界が成立した背景を考察する。具体的には、大阪市立美術館蔵「茶枳尼天曼荼
羅」など数点の具体例を分析し、日本密教における様々な尊格、例えば弁財天、茶枳尼天、
聖天や宝珠法の関連性、彼らにまつわる儀礼とその教説の関係性を論じる。こうした分析か
ら、室町時代の密教信仰の実態に迫ると同時に、真言・天台の祈祷と儀礼文化の社会的普
及を探っていきたい。


フランス国立極東学院/京都大学人文科学研究所/イタリア東方学研究所