日本学術会議:公開シンポジウム 「シチズンサイエンス・当事者研究が拓く次世代の科学:新しい世界線の開拓」(2020/7/25(土)13:00-16:30)

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研究会情報です。

●公式サイトはこちら

http://ajsl.web.fc2.com/meeting-next.html

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※申し込みは上記サイトをご確認ください。

日時 2020/7/25(土)13:00-16:30
開催地 オンライン開催
対象 どなたでも参加いただけます


プログラム
13:00 挨拶
岸村 顕広(若手アカデミー代表、日本学術会議連携会員、九州大学大学院工学研究院応用化学部門・九州大学分子システム科学センター准教授)
13:05 趣旨説明
新福 洋子(若手アカデミー副代表、日本学術会議特任連携会員、広島大学大学院医系科学研究科教授)

13:15 講演「学術界にとっての当事者研究の意義」
熊谷晋一郎(東京大学先端科学技術研究センター准教授)

13:45 講演「べてるの家における当事者研究の実践」
向谷地生良(北海道医療大学教授/浦河べてるの家理事)

14:15 休憩
14:25 講演「共用品の思想-日用品を通して当事者が変える社会」
星川 安之(公益財団法人共用品推進機構専務理事・事務局長)

14:55 講演「学術のノーマライゼーションに向けて」」
松原 洋子(学校法人立命館副総長/立命館大学副学長)

15:25 休憩

15:35 総合討論(パネルディスカッション)
「当事者の視点を組み入れた学術の新しい形-シチズンサイエンスと当事者研究の融合」
ファシリテーター 中村 征樹(日本学術会議連携会員、大阪大学 全学教育推進機構准教授)
パネリスト 熊谷晋一郎
松原 洋子
向谷地生良
星川 安之
髙瀨 堅吉(若手アカデミー幹事、日本学術会議連携会員、自治医科大学大学院医学研究科教授)

16:30 閉会


 シチズンサイエンスは一般の人々によって行われる科学研究を指し、その活動は世界的に拡大しつつある。当事者研究は、北海道浦河町における「べてるの家」に集う精神疾患を抱えた当事者の活動から生まれたエンパワメント・アプローチであり、当事者の生活経験の蓄積から生まれた自助と自治のツールである。これらはどちらも「科学の専門家ではない市民」が知を体系化する取り組みと定義できる。これまで人類は、対象に関心を持ち、問いを立て、仮説を構築し、それを検証する営みを絶えず行ってきた。しかし、学術が制度化される中で分業が進み、これらの営みは科学の専門家が行うものとして囲い込まれ、専門家-非専門家の分断を生み出した。そして、この分断は「物事を客観的に判断することができる理性的な人」で成り立つ「市民社会」の基盤を脅かし、ポスト真実の時代において、この問題がますます顕著になっている。昨今のコロナ禍も、この分断を可視化し、科学の専門家が構築した知識体系と、社会にある知識体系の乖離を自明のものとした。それと同時に、急激に進められたICTの活用、技術の発展は、その分断を繋ぎうる機会ともなり得ることを障がい当事者の研究者がNature誌に寄稿し、世界からも注目されている。これまで、若手アカデミーは国内におけるシチズンサイエンスの普及を目的とし、様々な活動を行ってきた。その背景として、競争的サイエンスから共創的サイエンスへの移行の促進がある。今回、当事者研究の視点を組み入れることで、若手アカデミーが推進するシチズンサイエンスを拡充し、現代社会の課題である「分断された知」の架橋を試みる。そして、それを次世代の科学を拓くツールとし、ポストコロナの世界を見据えた新しい世界線を開拓することを企画の趣旨とする。