奈良大学図書館企画展示「越境する女性作家たち -内地から外地、そして戦前から戦後へ-」(2020/1/6~3/23)

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展覧会情報です。

●公式サイトはこちら
https://library.nara-u.ac.jp/nara/20200106tenji-josei.pdf

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奈良大学図書館公式サイト
https://library.nara-u.ac.jp/

【ごあいさつ
 本展示は、戦前、女性作家たちが〈外地〉でどのような体験をしたのか、彼女たちが戦争にどのように向き合ったのか、そして、戦後において、戦前戦中の体験をいかに作品化したのかを、〈外地〉へ移動した女性作家たちの著作を中心に概観
するものである。
 〈外地〉とは、戦前日本が支配下においた台湾・朝鮮、そして満洲、中国、樺太及び、委任統治領だった南洋などの地域を指す。
 女性たちが〈外地〉を経験するパターンは、どのようなものがあるだろうか。例えば、旅行、海外見聞として海外を訪れるケースがある。夫・金子光晴とともに、上海、パリ、中国を旅した森三千代などがこれにあたる。日本が植民地、委任統治領など領土を拡大するに従って、〈外地〉で仕事をする父親や夫に付き従って、ともに〈外地〉へと渡る、もしくは外地で出生するパターンもあるだろう。さらに、戦争がはじまると、軍の報道部員として戦地に赴いた林芙美子や吉屋信子などの従軍作家というケースが加わるだろう。
 この他にも、林芙美子『浮雲』に描かれているように、〈外地〉に働きにゆく女性もいれば、「従軍慰安婦」「娘子軍」と呼ばれる、戦地に送られた名もなき女性たちも大勢いる。
 このように〈帝国日本〉の拡大は、女性に〈外地〉生活という〈体験〉をもたらす。そして、作家にとってそれはその後の作家活動を規定する〈経験〉となる。
 女性という観点から〈外地〉を眺め返すと、戦前から戦後にいたる日本の歴史の新たな側面が見えてくるだろう。
 今回は、満洲・中国・朝鮮・台湾・南方その他に分けて、そこにゆかりの深い作家と著作を紹介する。また、特別コーナーでは奈良大学図書館蔵北村信昭コレクションの中から、南洋パラオに関する資料を展示した。
 なお本展示に際しては、森田憲司奈良大学名誉教授、史学科森川正則准教授より貴重な資料をお借りしました。御礼申し上げます。
【付記】 本展示は以下の研究成果の一部である。
科研費(C) 戦後日本における戦時上海邦人文芸文化ネットワークの移植と展開(研究代表・木田隆文)
科研費(C) 植民地朝鮮におけるセクシュアリティ言説研究(研究代表・光石亜由美) 】