民俗芸能学会第176回研究例会(令和元年9月7日14時~、早稲田大学早稲田キャンパス14号館4階)
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【どなたでも参加いただけます。】
民俗芸能学会第176回研究例会
日時:令和元年9月7日14時~
場所:早稲田大学早稲田キャンパス14号館4階
発表者;蘇理剛志
「祭りにおける笠鉾の様式と機能―風流囃子物をめぐって―」
司会:山路興造
参加費:200円(会員でない方も参加できます)
企画趣旨
近年、「傘鉾」に関する研究がにわかに盛り上がりを見せている。その流れを誘引する原因の一つには、ユネスコ無形文化遺産候補のグルーピングをめぐる議論が挙げられよう。
「山・鉾・屋台行事」や「風流」あるいは「練り物」の祭りのなかで、傘鉾は祭り行列の威儀や格式を示す重要な構成要素として存在している。しかし、上記グルーピングの仕分けにおいて、傘鉾はいずれのカテゴリーにも関連しながら議論上で等閑視される印象があり、傘鉾がもつトータルなイメージが分裂している感も否めない。本発表はこうした傾向に注意を払いつつ、改めて議論の場の真ん中に傘をたて再検討を試みようとするものである。
祭りにおける「傘鉾」の機能や特徴を顧みれば、古代の貴紳の威儀具であった衣笠や、祭礼行列に都ぶりを添える風流傘の登場を経て、疫神や亡魂などいつまでもこの世に留めておいてはならない霊異を傘に集め、囃しながら生活領域の外または神域内へ鎮送する思考が、傘形の鉾という様式を生み、とくに中世後期に流布した。これは我が国独自の傘の習俗だと言え、中世~近世の日本人の祭りや信仰のかたちをめぐって特色ある興味深い問題を内在している。
本発表では、祭りにおける傘鉾がもつ本来の様式や機能を風流囃子物の傘鉾の例に求め、とくに傘鉾の祭りが多く伝わる和歌山県の事例を示して、傘鉾という祭具そのものと傘鉾が出る祭りの特色について再確認したい。