和田敦彦『読書の歴史を問う 書物と読者の近代 改訂増補版』(文学通信)

このエントリーをはてなブックマークに追加 Share on Tumblr

8月下旬の刊行予定です。

9784909658340.jpg

和田敦彦『読書の歴史を問う 書物と読者の近代 改訂増補版』(文学通信)
An Inquiry into The History of Reading: Readers and Print Culture in Modern Japan
ISBN978-4-909658-34-0 C0000
A5判・並製・328頁
定価:本体1,900円(税別)


私たちは、読書を自分一人で行う孤独で内面的な営みだと思いがちだが、読書は一人では決して成り立たない。
では読書とはどのようなものなのだろうか。そこにはどんな問いが隠れているのか。本書はそんな多様な問いを調べ、考えていくための実践的なマニュアルである。
文学×教育学×歴史学、出版×流通×販売、など諸学が交差する「読書の歴史」という地点で、何をどう調べ、学べばいいのか。学び、調べることの豊かな可能性や広がりを存分に伝える名著の改訂増補版(40ページ増えました)、遂に刊行!

【読書は、それぞれの時代、場所で同じような行為、経験としてあったわけではない。また、書物と読者の間だけでなりたつ孤立した行為でもない。この当たり前のことが、読書を学び、調べることの豊かな可能性や広がりを作り出す。ある時期や地域の読者を問うたり、あるいは書物を作り、運び、紹介したり、保存したりする行為を研究したり、学んだりすることに結びついていく。本書は、こうした読書の歴史に関わる多様な問いを調べ、考えるための実践的なマニュアルのようなものだ。】......「おわりに」より

PayPalでお支払い(各種クレジットカード対応)
入金を確認次第、すぐに発送(送料無料)。
案内をメールでお送りいたします。

b1.jpg

b3.gif

b2.jpg

b4.gif

★和田敦彦「おわりに あとがきにかえて」●和田敦彦『読書の歴史を問う 書物と読者の近代 改訂増補版』(文学通信)より期間限定全文公開中

【著者紹介】

和田敦彦(わだ・あつひこ)Wada Atsuhiko

1965年、高知県生まれ。1996年、信州大学人文学部助教授、2007年、早稲田大学教育・総合科学学術院准教授、2008年、同教授。コロンビア大学(2005-2006)客員研究員、カリフォルニア大学サンタバーバラ校(2013)、ヴェニス国際大学(2016)、ローマ大学サピエンツァ(2017)、サンパウロ大学(2019)招聘教授。
専門は日本近代文学研究、及び出版・読書史研究。著書に『読むということ』(ひつじ書房、1997年)、『メディアの中の読者』(ひつじ書房、2002年)、『書物の日米関係』(新曜社、2007年)、『越境する書物』(新曜社、2011年)、『読書の歴史を問う』(旧版、笠間書院、2014年)、編著に『国定教科書はいかに売られたか』(ひつじ書房、2011年)、『明治期書店文書 信州・高美書店の近代』(1-6巻、2017-2018年、金沢文圃閣)等がある。2007年からリテラシー史研究会を主催、同年より機関誌『リテラシー史研究』(年刊)を刊行。

【目次】

はじめに
なぜ読書を問うのか

第1章 読書を調べる
【読書は、書物が読者にたどりつき、理解されていく一連のプロセスとしてとらえることができる。読書をとらえるには、このプロセスをいくつかに分け、それがいつから、どのようにしてできあがったのか、変化したのかを問うていく必要がある。そしてその問いは、私たちの読書の自由や、その制約への関心と深く結びついている。】
1 読書の問い方
2 読書の自由とその制約
3 書物の流れをとらえる
4 読者を知る手がかり

第2章 表現の中の読者
【雑誌や新聞メディアをもとにした研究には、読者に着目する研究も多く見られる。女性雑誌や児童雑誌の表現を追うことで、そこから一定の読者集団が作り上げられたり、変化していくことを追うことも可能だ。表現が作り出していく読者の問題にここでは焦点をあて、それを調べ、考えていく方法について検討する。】
1 雑誌研究のすすめ
2 新聞から読者をとらえる
3 女性雑誌の表現と読者
4 児童という読者
5 識字とメディア

第3章 読書の場所の歴史学
【読書する場所は、読書を可能にし、読者を生み出すとともに、読書の制約をも作り出していく。近代における読書の場所と、その変化について、どのように研究していけばよいのだろうか。そして読書の場所を研究する意味はどこにあるのだろうか。鉄道や図書館、監獄や戦場といった具体的な空間をもとに、読書空間の歴史をとらえる可能性を考えていく。】
1 なぜ読書の場所が重要なのか
2 鉄道と読書
3 閉ざされた読書空間
4 図書館という場
5 海外の日本語読者

第4章 書物と読者をつなぐもの
【作者や書物の内容はよく研究され、注目されるが、書物を読者に運び、伝え、もたらす人や組織の研究は、しばしばなおざりにされてしまう。しかし、こうした書物と読者を媒介する仲介者の存在は、書物の評価や享受に大きな役割を果たしている。書物が届かなければ、それを読むことも評価することもできはしない。この書物と読者の「あいだ」を調べ、とらえていくための方法や、その意味、役割について、ここでは考える。】
1 書物と読者の「あいだ」
2 「あいだ」の調べ方
3 図書館の創造
4 書物の仲介業
5 仲介者の役割

第5章 書物が読者に届くまで
【書物を仲介する人、あるいは企業に目を向けてきたが、今度は、近代におけるこの仲介する行為の歴史に目を向けてみよう。近代の書物の流通、販売史をふりかえりながら、書物を読者に届ける仕組みや道筋が、どのように作られ、そして変わってきたのかをとらえていくことができるだろう。このことを知るためには、どういう資料をもとに、どのように調べていけばよいのだろうか。】
1 書物の販売・流通史
2 取次・販売ルートの変化
3 教科書が読者にいたるには
4 地域での書籍の流れ
5 占領下の沖縄で
6 サンパウロの読書空間

第6章 書物の流れをさえぎる

【読書の歴史をとらえるには、書物が読者にいたる流れに目を向け、その変化や、そこに介在する人々や組織について考えていく必要がある。そこには書物と読者とのつながりを作り出し、支える活動もあれば、逆にその書物の流れをさえぎり、統御しようとする活動もある。新聞や書籍への検閲を含め、この流れをさえぎる仕組みへのアプローチは、読書の歴史をとらえる重要な方法となる。】
1 検閲と読書の関係
2 戦前・戦中の新聞検閲
3 戦前・戦中の書籍検閲
4 占領期の検閲
5 検閲資料の探し方
6 規制する仲介者

第7章 書物の来歴
【書物は、その書物が生まれた時点の読者とのみ関係をもつものではない。その書物が遺り続ける限り、読者との関係は続いていく。その書物と後の様々な読者との関係はやがて堆積し、歴史となる。これが書物の来歴であり、蔵書の歴史である。それは単にいつから、どこにその書物があるという問題としてではなく、読者との関係の歴史としてとらえるべき問題なのだ。】
1 書物の来歴をとらえる
2 書物の受難
3 書物の大移動
4 文化外交と書物
5 失われる書物

第8章 電子メディアと読者
【電子化され、流通するテクストは、現在の読書環境を大きく変えてきた。読者への書物の流れは、それまでの単線的な流れとは異なる関係におかれ、一つの書物が異なるいくつもの場で、複数の読者と同時につながりあう状況が生まれている。だが、この読書状況をとらえる際にも、書物と読者とがどうつながり、それまでのつながりの何が変わっているのかをとらえていくことが鍵になっていく。】
1 電子化された書物
2 データベースのリテラシー
3 電子図書館の成り立ち
4 読者との「あいだ」に
5 「函」の役割

第9章 読書と教育

【読書の問題は、近代の国語教育の中でも大きな位置を占めてきた。国語教育や教材の歴史は、読者が生まれ、作られていく歴史に深くかかわっている。読書の歴史を学び、考えていく視座は、国語教育の過去と、そして今後を改めてとらえなおしていくことにもつながっていく。】
1 国語科と読書
2 読書イメージの変遷
3 教科書・教材史と読書
4 アーカイブズ教育と読書
5 読書の歴史とメディア・リテラシー

第10章 文学研究と読書
【文学研究は、広く言えば読書という営為の一つである。したがって文学の研究方法やその歴史を、読書の歴史の中から見直してみることが可能となる。文学研究においてもまた、読書について多くのことが明かされてきた。読書という営為として文学の研究を改めて見直していくことはまた、文学研究の可能性や役割を考えていくうえでも有効だ。】
1 文学理論の中の読書
2 享受史、受容史
3 表現の分析と読者
4 文学史という読み方
5 学知の広がりをとらえる
6 拓かれた地平へ

おわりに
あとがきにかえて


人名索引
事項索引