古代文学会5月例会(第784回)(2025年5月10日(土)午後2時~5時、共立女子大学 神田一ツ橋キャンパス本館1317教室+Zoom)※Zoom要申し込み

研究会情報です。
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ハイブリッド開催といたします。会場での対面参加の感染対策は、各自ご留意の上ご参加くださいますようお願い申し上げます。
日時:5月10日(土)午後2時~5時(例会終了後、委員会を開きます)
※Zoom開始時刻は発表開始の15分前となっています。
場所:共立女子大学 神田一ツ橋キャンパス 本館1317教室
東京メトロ「神保町」駅下車 A8出口から徒歩2分
発表者:加藤 希 氏
題目:『先代旧事本紀』巻第一、二のテキストの問題
要旨:平安時代初期に成立したとされる『先代旧事本紀』(以下『旧事紀』)は、本文のほとんどが『古事記』『日本書紀』に依拠し、一部『古語拾遺』が取り入れられた神話テキストである。先行論は、『旧事紀』の神代史は『日本書紀』を中心として『古事記』を注釈的に利用、継ぎ接ぎにして網羅的に配列するため、重複・反復が起こると指摘する。さらに、そこで起こる論理的な破綻は自覚の上で行われていると説明する。
しかし、巻第一陰陽本紀の反復記事として巻第二神祇本紀にあらわれる「伊弉諾伊弉冉二尊。相生火神迦具突智與土神埴安姫二神。相生稚皇産靈命。則頭生桑蠶。臍中生五穀矣。」という『日本書紀』第五段一書第二の引用文章を検討すると、巻第一で繰り返された日神と月神誕生、分治の帰結であると見ることができる。重複・反復する記事は『旧事紀』の特有の整理方法であり、『古事記』の構造を積極的に取り入れていることや後続の巻の前置きとして働くなど、文脈的意味が見出せる。記紀の情報を取捨選択する際に、『旧事紀』は明確な意図をもって重複・反復する記事が選び取られることがわかる。そこには『旧事紀』が語る神話の骨組みを作るための編纂態度があらわれている。このように考えたとき、先行論のいうように『旧事紀』は記紀の文章を網羅的に配置しているのではないことが明らかになる。
さらに、この文章に付け加えられる「蓋保食神歟。」という一節は、文脈を補完し、記紀の記述だけでは足りない『旧事紀』の論理を語るための独自本文である。『旧事紀』の記述は、記紀を網羅的に配置することによって重複・反復が起こるのではなく、あえて重複・反復させるという独自の理論で神話を語っている。このような見方に従い、『旧事紀』のテキストを再検討する。
(司会:津田 博幸 氏)
※なお、発表資料及び要旨の著作権は発表者に帰属します。
◎『古代文学』64号合評会
『古代文学』64号(3月刊行)の合評会を開催いたします。ハイブリッド開催で、Zoomによる参加方法は例会と同じです。
【日時】2025年5月11日(日)10:30~17:30
【会場】大東文化会館 K302
東武東上線・東武練馬(大東文化大学前)駅北口、東口下車徒歩3分