日本史研究会第13回「歴史から現在(いま)を考える集い」(2025年5月10日(土)13:30〜16:30、京都府立京都学・歴彩館1階小ホール(会議室))

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研究会情報です。

●公式サイトはこちら
https://tinyurl.com/4mcy9apn

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※詳細は上記サイトをご確認ください。


第13回「歴史から現在(いま)を考える集い」
日常生活から経済をみつめなおす

 「歴史から現在(いま)を考える集い」は、日本史研究会が開催している学生・一般向け講演会です。現代社会が抱える諸問題を歴史研究の立場から問うことを目的とした集会で、参加者の皆さんと一緒に学ぶ企画です。ふるってご参加ください。

〔集会概要〕
日時 2025年5月10日(土)13:30〜16:30
             (開場13:00〜)
場所 京都府立京都学・歴彩館 1階小ホール(会議室)


 近年、仮想通貨、物価上昇、円安・円高、エネルギー問題、金融など経済をめぐる諸問題は、生活や国際関係などの様々な階層レベルで目まぐるしく変化しています。戦後に限っても、戦後経済復興や高度経済成長を経て、私たちの生活は、経済の変化と密接な関係で成り立っていることが分かります。
 当時の史料においても経済は、「政治、外交、軍事等各般の社会現象の基底に経済問題が存在することは既に世界の常識となつてゐる」(外務省特別調査委員会「改訂 日本経済再建の基本問題」〈外務省調査局、1946年〉2頁。)と記述されているように、さまざまな社会的要素から構成される日常生活において欠かせない観点といえます。このように、政治や文化など諸分野と連関し、日々の生活を支える経済は、改めて歴史学の観点からとらえなおす必要があると思います。

 第13回集会では、戦後の二大インフレと高度成長期におけるエネルギーと環境変化について、課題や展望を見据えながら議論ができる場にしたいと考えています。


講師 浅井良夫 氏 (成城大学名誉教授)

 コメをはじめとする生活物資の価格高騰が、毎日のようにニュースで取り上げられている。私たちは、長い間、「デフレからの脱却」という言葉に慣れ親しんできたが、あらためてインフレの歴史的経験を振り返る時期に来ているように思う。
 本講演では、敗戦直後のインフレと、1 973~74年の田中内閣期の「狂乱物価」の戦後2大インフレを取り上げ、焼け跡の混乱の時代と、高度経済成長末期の歴史像を描いてみたい。インフレは、経済学で説明し尽せる現象ではなく、政治現象でもあり、社会現象でもある。激しいインフレや、極度の不況の際には、それまで陰に隠れていた政治的な対立や社会の矛盾が一挙に噴き出し、世の中の構図がくっきりと目前に立ち現れる。歴史現象としてのインフレは、「時代を映す鏡」である。

講師 小堀聡 氏 (京都大学人文科学研究所准教授)

 「多少冗談のように聞こえるかもしれませんが、いまわれわれがちょうどその末期ぐらいに生きているのではないかと思われる高度経済成長期の社会......この時期におこった日本の社会構造の変化がきわめて深刻なものであることはいうまでもありません」。中世史家の網野善彦がこう記したのは、1980年のことであった(『日本中世の民衆像』)。それから45年後の現在、網野の「冗談」は、もはや通説になったと言ってよい。そして、この深刻な変化は、日本という枠を超えて、東アジアの奇跡や「大加速」といった世界史的な現象の中に位置付けつつ、論じられている。
 今回の講演では、これら近年の研究動向を紹介したうえで、高度成長期における日常生活の変化やその原因を、エネルギーと環境変化に注目しつつ考えたい。

〔参加方法〕
・事前申し込み不要
・対面のみ。一般来聴歓迎。会場整理費 500円