国際シンポジウム「文学と美術における〈古典〉の変容と生成」(2023年12月5日(火)14:00~16:30、早稲田大学早稲田キャンパス26号館302号室)※要申込
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https://www.waseda.jp/inst/wias/news/2023/11/07/14334/
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日 時 2023年12月5日(火)14:00~16:30
会 場 対面参加のみ(要事前申し込み)・早稲田大学早稲田キャンパス26号館302号室
※事前登録締切:12月1日(月)23:59まで。
※参加者人数が定員(60名)に達した場合は申し込みを締め切ります。
趣旨説明
本シンポジウムでは〈古典〉の在り方について、日本古典文学と西洋美術という広い領域から議論を提供する。〈古典〉と向き合っていた者たちがオリジナリティをどのように捉えていたのだろうか。「原典」を踏まえつつ、それとは異なるものを作る、この過程は単なる再現あるいは複写としてではなく、テクストあるいは美術作品の創造とみることができる。近代的なオリジナルとコピーの概念を離れて、文学と美術における〈古典〉の変容と生成をとらえる視野を示していく。
プログラム
14:00~14:05 開会の挨拶(河野貴美子)
14:05~14:35 複製された遺産としての和歌(ジェルリーニ エドアルド):
藤原定家の歌論『詠歌大概』は「情は新しきを以て先となし、詞は旧きを以て用ゆべし」という名句で始まる。ここでの旧き詞とは、三代集、とりわけ『古今和歌集』の歌詞を意味するのだが、その『古今集』もまた、「古」と「今」の歌を合わせてできた作品であるというまでもない。更に、『古今集』の仮名序には『万葉集』の代表的歌人柿本人麻呂を「歌のひじり」として讃美するなど、古歌を復活させながら新しい和歌の時代の開幕を宣言する。
『古今集』や『新古今集』という「古典」は、部立てや本歌取などの技巧及び仕組みを軸に、既存するテクストを複製し、再利用して形成された作品だという共通点がある。その過程を通じて当時の歌人たちは自分の現況と、理想された過去との絆をどのように意識していたのか、それでどのような価値観を正当化しようとしていたのか。一次資料を読みながら、このような過去と現在の緊張感から生まれる遺産と、日本の古典テクストとの関係を検討する。
14:35~15:05 中世キリスト教美術と「古典」(桑原夏子):
西洋美術において「古典」という語が用いられるようになるのは19世紀以のことである。この「古典」という語は、古代ギリシャ・ローマ美術か、またはラファエッロ(1483―1520年)やプッサン(1594―1665年)の作品のように、規範としての価値を持つ美術に対して用いられてきた。中世キリスト教美術は、いくつかの例外を除いて古代ギリシャ・ローマ美術のモチーフを扱うことはなく、その点において「古典」とは親和性を持たないように思われる。しかし、「古典」が「規範とみなされる美術」をも指すことに考えを巡らせたとき、中世キリスト教美術の文脈における「古典性」の存在が浮き彫りとなるだろう。それはまた、19世紀以降の西洋美術をめぐる言説において、何に対して「規範としての価値」が見出され、何が排除されたのかという問題意識とも関わってくるだろう。
15:05~15:20 休憩
15:20~15:30 コメント(フィットレル アーロン)
15:30~16:25 パネルディスカッション
16:25~16:30 閉会の挨拶(アンダソヴァ マラル)