特別展「廃墟とイメージ─憧憬、復興、文化の生成の場としての廃墟─」(令和5年9月29日(金)~11月26日(日)、神奈川県立金沢文庫)

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詳細はこちら。
https://www.pen-kanagawa.ed.jp/kanazawabunko/bunko/tenji(ruins).html

特別展 廃墟とイメージ
 ─憧憬、復興、文化の生成の場としての廃墟─

 「廃墟」は、かつて盛んであったものが、衰え、朽ちるという意味合いを含んでいます。18世紀頃の西洋風景画には、崩れかけた廃墟や古代遺跡がモチーフとしてしばしば描かれます。それは古代文明という古典の再発見であるとともに、自然に埋もれて朽ちてゆく巨大な人工物は、栄華の儚さ、人間の無力さを物語っているかのようです。日本では、石造の建物が少なく、湿潤な環境下において、木造建築が何百年も朽ちるままに遺される例はほとんどありません。ただし、自然災害や戦乱、家の没落により家屋や寺社が荒廃したという記録や物語をさまざまな文学や美術にみることができます。
 中世の鎌倉は武家政権による政治、経済の中心都市として繁栄しました。鎌倉幕府の要職を担った北条実時(1224~76)は、交易船を派遣して大陸の文物を舶載し、宋版一切経や唐物を菩提寺である称名寺に寄進しました。実時が晩年に建てた金沢文庫には収集した和漢の書物が収められ、歴代の当主に引き継がれましたが、鎌倉幕府の滅亡とともに主を失った金沢文庫は朽ち、書物の多くは散逸してしまいました。しかし、一族の滅亡後も多くの旅人がこの地を訪れ、在りし日の金沢北条氏の栄華に思いを馳せました。「金沢文庫」印が捺された書物は後世の人々の垂涎の的となり、五山僧は称名寺の池畔に遺された西湖梅を愛で、漢詩を作りました。つまり、「廃墟」は寺社復興のための原動力となるとともに、新たな文化を生成する場としても機能してゆくのです。
 本展では、日本における「廃墟」の表徴とその歴史を国宝・重要文化財など約100点からたどり、鎌倉武士が栄華を誇った故地から、「廃墟」の文化史について考えたいと思います。
        
主催 神奈川県立金沢文庫
後援 中世文学会
協力 横浜市金沢区役所
会場 神奈川県立金沢文庫
会期 令和5年9月29日(金)~11月26日(日)
休館日 毎週月曜日(10/9 は開館)、10/10、11/24
観覧時間 午前9時~午後4時30分(入館は4時まで) 
交通 京浜急行「金沢文庫」駅下車徒歩12分(品川より快特33分)
JR根岸線「新杉田」駅接続、シーサイドライン「海の公園南口」駅下車徒歩10分

特別展「廃墟とイメージ」関連講座
月例講座「廃墟とイメージ展 鑑賞講座」
9月30日(土曜日)講師:梅沢 恵(金沢文庫主任学芸員)

月例講座「中世鎌倉 復興と再生の風景―安達氏周辺をてがかりに」
11月23日(木曜日・祝日)講師:貫井裕恵(金沢文庫学芸員)

クロストーク[東西美術における「廃墟」を読み解く]
11月12日(日曜日)講師:山本聡美氏(早稲田大学教授)×佐藤直樹氏(東京藝術大学教授)

連続講座[「廃墟」と古典文学](全5回)
(1)10月15日(日曜日)「廃墟を見つめる西行」
 講師:渡邉裕美子氏(立正大学教授)
(2)10月22日(日曜日)「『源氏物語』にみえる廃墟的な場-末摘花の邸宅を中心に-」
 講師:陣野英則氏(早稲田大学教授)
(3)11月4日(土曜日)「廃墟と時間-『方丈記』と『徒然草』から-」
 講師:木下華子氏(東京大学大学院准教授)
(4)11月19日(日曜日)「五山文学における廃墟」
 講師:堀川貴司氏(慶應義塾大学斯道文庫教授)
(5)11月26日(日曜日)「能に描かれた廃墟」
 講師:山中玲子氏(法政大学能楽研究所教授)

※関連講座のお申し込みはこちらから。
http://www.pref.kanagawa.jp/docs/u6p/index.html

廃墟展チラシ表.jpg
廃墟展チラシ裏.jpg