神戸大学文学部国語国文学会 2022年度研究部会シンポジウム「近世俗文芸の作者の〝姿勢〟[ポーズ]」(2022年8月27日(土)、ハイブリッド)

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学会・シンポジウム情報です。
詳細は以下をご覧ください。
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神戸大学文学部国語国文学会 2022 年度研究部会プログラム
開催日:8月26日(金)・27日(土) オンライン(Zoom)同時中継

8月26日(金)
会場:文学部A棟331教室(予定)

10:30~10:40 開会の辞 樋口大祐

10:40~15:45 研究発表会
香取千春(修士2年) 『吾妻鏡』文治五年奥州合戦記事における武功譚の作為性 ――畠山氏と小山氏を中心に――
穆逢春霖(博士1年) 『松浦宮物語』研究――「唐土」の再構築について―― 都田康仁(博士1年) 高浜虚子「俳諧師」と印象描写
朱信樺(博士1年) 内田百閒『冥途』における聯想
星住優太(博士1年) 小島信夫「アメリカン・スクール」論――記憶の行軍――

16:00~17:00 総会

8月27日(土)
会場:文学部B棟132視聴覚室

13:30~ 受付

14:00~ 開会

■シンポジウム 近世俗文芸の作者の〝姿勢〟[ポーズ]――序文を手掛かりとして
 中村幸彦は『戯作論』(角川書店、1966)で、近世俗文芸の作者は基本的に知識人であり、〝余技〟とし て綴った読本や狂歌といった俗文芸作品に対して、彼ら自身が見識や見得を以て「戯」の遁辞を用いたこ とを指摘する。
 遁辞を用いたのは、〝余技〟を、和歌や漢詩といった雅文芸と区別する意識があるためである。言い換 えれば、作者は、雅俗にわたる文芸、営為の中に自身の作品を位置づけながら、その位置にふさわしい姿 勢(ポーズ)をとっているのであり、作者の姿勢の在り方は、俗文芸の世界に遊ぶという営為の本質であ ると考えられよう。我々は、作品とともに〈作者〉の虚構性について意識的にならなければならない。
 さて、飯倉洋一が「『春雨物語』序文考」(『秋成考』翰林書房、2005)で「『春雨物語』の虚構は序文か らすでにはじまっており、『春雨物語』各篇の語り手同様、序の書き手も秋成によって設定された虚構の人 物である、という考え方も成立しうる。」と述べたように、〈作者〉のふるまいを考える上で、序文の虚構性 は重要な手がかりとなるだろう。
 このシンポジウムでは、特に 18 世紀・19 世紀の上方・江戸の知識人たちによって綴られた、演義小説、 読本、狂詩・狂文、草双紙といった諸ジャンルの序文を切り口に作者の姿勢について論じ、当時の知識人 らにおける雅俗観や作者の虚構性といった問題について、新見を得ることを目指す。

14:00~14:10 開催趣旨説明・登壇者紹介

14:10~15:55
丸井貴史(専修大学准教授) 序文の虚実――『太平記演義』を中心に
天野聡一(九州産業大学准教授) 『雨月物語』序文小考
飯倉洋一(大阪大学名誉教授) 作られた序者――『ぬば玉の巻』と『春雨物語』に即して」
小林ふみ子(法政大学教授) 主体の虚構性と実体性――大田南畝周辺から
有澤知世(神戸大学助教) 自序に登場する〈作者〉――山東京伝の戯作から

16:15~17:50 登壇者討議・全体質疑

17:50~18:00 閉会の辞 樋口大祐

■シンポジウム登壇者プロフィール
丸井 貴史
専修大学准教授。初期読本を中心とする近世中期小説と、近世期における白話小説の受容 について研究する。主な業績に、『白話小説の時代―日本近世中期文学の研究―』(汲古書院、 2019 年)、『読まなければなにもはじまらない―いまから古典を〈読む〉ために―』(文学通 信、2021 年、共編)等。

天野 聡一
九州産業大学准教授。国学・読本を中心に近世期における古典受容について研究する。主 な業績に、『三弥井古典文庫 雨月物語』(三弥井書店、2009年、共編)、『近世和文小説の 研究』(笠間書院、2018 年)等。

飯倉 洋一
大阪大学名誉教授。上田秋成を中心とする上方文壇人的交流、「奇談」を中心とする十八 世紀の仮名読物史について研究する。主な業績に、『秋成考』(翰林書房、2005 年)、『上田 秋成―絆としての文芸―』(大阪大学出版会、2012 年)等。

小林 ふみ子
法政大学教授。江戸狂歌および大田南畝周辺の文事について研究する。主な業績に、『天 明狂歌研究』(汲古書院、2009 年)、『大田南畝―江戸に狂歌の花咲かす―』(岩波書店、2014 年)等。

有澤 知世
神戸大学助教。山東京伝の諸活動を中心に、近世後期の俗文芸について研究する。主な業 績に、「京伝作品における異国意匠の取材源―京伝の交遊に注目して―」(『近世文藝』104、 2017 年 6 月)、「山東京伝の考証と菅原洞斎―『画師姓名冠字類鈔』に見る考証趣味のネッ トワーク―」(『国語国文』86(11)、2017 年 11 月)等。

■使用する Zoom(26・27 日ともに同じです)
ミーティング ID: 589 781 1270
パスコード: 5537
・事前のご連絡は不要です。
・Zoom 入室時にはご氏名(ご本名)をお示しください。
・非会員の方で会場への入室をご希望の場合は、8 月 25 日までに下記問い合わせ先にご連絡ください。

■レジュメ・資料
オンラインで参加される方につきましては、当日、Zoom のチャット欄に資料をアップロ ードします。会場では紙媒体を配布します。

■問い合わせ先
kokubun_ronsou@yahoo.co.jp (『国文論叢』編集事務局)

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