アルバイト日誌「何気なく読んでいる本の奥には」(2022.5.20、れい)

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 こんにちは、れいです。今までアルバイトで何冊か校正のお手伝いをさせていただいたのですが(その本が本屋さんに並んでいるのを見た時、とても嬉しいのです!)、その作業を通して本の見方が大きく変わりました。

 文章を書くとき,誰しも一発で完成することはなく、加筆・修正を経るのが当たり前で、またその中で自分の文章の癖を発見していくのだと思います。しかしながら、自分以外の人がどのように文を紡ぎ、それを一つのまとまり(レポートや論文、書籍など)にしていくか、という過程は意外と知らないものです。私たちが見られるのは、基本的に「完成した文章」なのですよね。

 しかし校正作業していると、著者の方の赤や、また体裁をはじめこちら(文学通信)側の校正や修正の提案を見ることになります。その種類は、大きな加筆から句読点の位置まで様々です。初めて校正された原稿を見たときは、一冊の本ができるまでにこれほどの作業を経ているのかと驚いた覚えがあります。そして、私が何気なく読んでいる文章が作られるまでには、書き手の方と出版社、双方の熱意やこだわりが詰まっているのだと知りました。

 (会話を含め)言葉や文章は、発する側と受け取り手の認識やニュアンスにずれや違いが生まれることが往々にしてあります。作品・文章を解釈していく過程には、そのような「違い」が生まれるのは必然であり、またそれを正すことが正解ではないと思っています。しかし、受け手のことを想像して見解や意見がより正確に伝わる工夫をしたり、また読み手として文章をより精密に読解する、という点は非常に大切です。その作業は大変に難しいのですが、面白く、豊かな営みだと感じます。

 何気なく読んでいる本のその奥には、何度も検討を重ねられた文章があります。一読者としても、そのことを忘れないでいたいと思っています。