アルバイト日誌「高校・大学を振り返り―興味の幅を広げることのできる授業―」(2022.2.3、れい)

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 4年生も終わりに差し掛かり、大学4年間を振り返る最近です。前にも書いたように思いますが、私が日本文学を専攻するきっかけとなったのは、和歌集や『伊勢物語』の歌でした。その思いは大学入学後も変わらず、和歌を扱う授業を多く履修しました。しかし、友人に和歌の印象を尋ねてみると、歌は「難しい」と言います。日本文学を学んだ4年生であっても、です。私も歌の難しさに頭を抱えることも多いのですが、想像以上に和歌はハードルの高いものとして認識されているのだと知りました。

 反対に、高校時代苦手だったものは『源氏物語』などの物語文学でした。授業では、本文を中心に便覧の系図を確認しつつ読み進めていったのですが、系図が複雑で私の頭は常に混乱。人間関係を覚えるのに必死で本文を楽しむ、味読するところまでは全く到達することができませんでした。その後大学の演習で『源氏物語』の魅力を知った私ですが、未だに系図には苦手意識があります...。しかし、私とは反対に『源氏物語』を学びたいと思い、進学した人もいるのでしょう。

 このように、どこに興味を惹かれるかというのは実に多種多様ですし、古典が苦手・嫌いという中学生、高校生に対して、古典に対する敷居をどのように下げたら良いのだろうかと考えた時、興味の幅を広げることのできる―何か心に取っ掛かりを作れるような授業展開が必要になるのだと思います。昨今、分かりやすいもの、すぐに理解しやすいもの、共感できるものが求められているように感じます。文法などの基礎的事項は分かりやすく伝えることが大切ですが、古典作品への共感、現代との共通意識だけを押し出すような進め方には疑問があります。私自身、和歌への共感よりも憧憬の気持ちや、ある種の「分かりにくさ」に虜になったからです。「難しさ」が興味の幅を広げることもあるのだと思いますし、生徒がもっと知りたいと思えるような授業展開ができれば良いな、と思っています。