古代文学会:古代文学会一月例会(第742回)(1月9日(日)午後2時〜5時、Zoom)
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日時:2022年 1月 9日(日) 午後2時より5時まで
※zoom開始時刻は発表開始の三〇分前となっています
場所:Zoom(登録後、参加用URLを含むメールがZoomより送信されます)
発表者:谷口潤 氏
題目: 『古事記』の草薙剣
要旨:
『古事記』の草薙剣は『日本書紀』(以下両書を『記』・『紀』とする。)のそれと同じく草薙剣に関する言説の最初のものであるが、その言説には微妙な差異がある。こうした差異はなぜ生まれたのかを『記』・『紀』の成立した八世紀初頭という時代を視野に入れ検討することで、『記』における草薙剣の意義について考察していく。
『記』の歴史的な位置づけについて呉哲男は、『記』は律令国家の正統性を示す書物である『紀』を補完するものとして、壬申の乱を乗り越えた天武朝にとって必要不可欠なものであるとする。具体的には群臣の推戴によって政治を行うという公共性と、永久王朝を望む王権の私性という王権の二重性を乗り越えんとする書物と位置付ける。(呉哲男「古事記と日本書紀の世界観」『古代文学における思想的課題』57、58頁(森話社2016)、こうした呉の『記』に対する歴史的な位置づけを踏まえ、『記』の草薙剣を改めて読み直したとき、注目すべきは草薙剣が出雲から登場したという記述である。草薙剣が天皇の地上支配の正統性を保証するものであるとすれば、それが出雲から登場したことにはどのような意味があるのか。本発表では律令国家が八世紀において出雲をどのように捉えていたかという点からこれを考察することで、『記』が群臣の推戴という国家支配から一歩抜け出た律令国家の地方支配という課題と密接に関わりを持ち、その中で草薙剣が必要とされたことを確認する。
(司会:津田博幸 氏)