東京大学ヒューマニティーズセンター:第51回HMCオープンセミナー「木版口絵の世界」(2022年1月21日(金)17:30〜19:30、Zoom)※要申し込み
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●公式サイトはこちら
https://hmc.u-tokyo.ac.jp/ja/open-seminar/2022/51-woodblock-kuchi-e-prints/
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※詳細は上記サイトをご確認ください。
第51回
木版口絵の世界
日時:2022年1月21日(金)17:30 - 19:30
場所:Zoomオンライン開催
講師:朝日智雄(木版口絵コレクター)
企画者・司会・ディスカッサント:出口智之(東京大学准教授)
主催:東京大学ヒューマニティーズセンター
日本における木版多色摺の版画といえば、まず江戸の浮世絵が思い浮びます。あるいは、明治後期から昭和期にかけてさかんに制作された、橋口五葉・川瀬巴水・吉田博らのいわゆる新版画も、高い人気と知名度を誇っています。しかし、その両者をつなぐ接続期に広く行われた木版多色摺口絵には、長いこと光があたってきませんでした。文学作品に取材した二次的作品という印象が強かったり、書籍や雑誌に折込みで挿入されるためにかならず折込み線が入ったりする、そうした点で軽んじられてきたのかもしれません。
出口は近年、明治の近代作家たちも江戸の戯作者と同様、自作に入る口絵や挿絵に細かな指示を出していたという事実から、絵と文学がセットになって構成されていた明治文学のありかたを捉えなおす研究を展開してまいりました。その研究成果は各種論文のほか、本センターにおけるオープンセミナーの講演録として、昨2021年秋にHumanities Center Booklet Vol.12が刊行されています。しかし、木版から石版、写真版、新聞の墨刷挿絵まで、印刷技術にかかわらず様々な作品を扱う一方で、文学とセットでない作品については研究の対象から洩れてきました。そこで今回は、明治の口絵文化を別角度から考えるべく、世界最大の木版多色摺口絵コレクターである朝日智雄氏をお呼びし、お話をうかがいたいと思います。
朝日氏はこれまで、長年にわたって木版口絵を蒐集してこられ、その所蔵総数は実に数千点にもおよびます。学術界に身を置いてこられたかたではないにもかかわらず、関連文献の蒐集にもつとめられ、多岐にわたる木版口絵の全貌を体系的に視野に収められています。圧倒的に多くの現物を実見された結果の知見はきわめて貴重で、国内外の大学や美術館等と連携し、プロジェクトや展覧会にも多数参加してこられました。知られざる市井の蒐集家ではなく、2000年代に入って急速に進展しつつある木版口絵研究の火つけ役であり、現在なおこの分野を牽引する存在と言って過言ではありません。
今回は、朝日氏が関わってこられた国内外の木版口絵研究の状況、版画制作の実態と鑑賞点、多種多様な木版口絵の諸相などをお話しいただく予定です。