俳文学会 第454回東京研究例会(2021年12月25日(土)14:30~17:00、江東区芭蕉記念館)
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第454回
2021年12月25日(土)14:30~17:00
江東区芭蕉記念館
●研究発表
"蕪村は晩成型"は本当か / 冨田 鋼一郎 氏
【要 旨】
蕪村は、"遅咲きの天才、画・俳とも晩成型"といわれる。百年前に河東碧梧桐が各地に埋もれている資料を探索した結果、結城下館時代の作品にはさして見るべきものはないとして以来、この見方は定着してしまった。本当にそうなのか。若き蕪村のことは、まだまだヴェールに包まれたままだ。近刊『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)で、四明筆の風景画や漢画・和画の手習いの跡がうかがえる未公開絵画を公表した。これらは蕪村絵画史の再検討を迫ることになるのではないか。今後のさらなる研究に俟ちたい。
●研究発表
連歌・俳諧の懐紙書様の変遷―「藤の花形」と称されるまで / 廣木 一人 氏
【要 旨】
百韻連歌・俳諧の懐紙の様式は、四枚の折紙、表裏の句数、一句二行書き、などこれまでも明らかにされてきたことである。しかしながら、端作、賦物の位置、一面における字配りなどの詳細は、ほとんど言及されてこなかった。この書式は南北朝期にほぼ完成し、その後の固定期を経て、近世後期には、俳諧において、「藤の花形」と称されるまでに至ったと考え得る。会席の文芸としての連歌・俳諧の成就はこの懐紙に実現されるのであり、このあり様の確認は連歌・俳諧を考察する上で重要なことである。本発表では、主として鎌倉期から室町初期までの現存懐紙のあり様を追いつつ、懐紙書様史を示してみたい。
参考・拙稿「連歌・俳諧における懐紙という料紙-和歌懐紙を見据えて」(「近世文学研究」新編第5号」)