新入社員週報第1回「転々としながらも決まっていたかのように」(松尾彩乃)

このエントリーをはてなブックマークに追加 Share on Tumblr

初めまして、文学通信の新入社員の松尾彩乃です。

2021年10月下旬に入社いたしました。今後とも何卒よろしくお願いいたします。
本日より毎週金曜日に新入社員週報(全5回予定)をお届けいたします。
今回は初めましての自己紹介をさせてください。

生まれは大阪です。その後は転々とし、引っ越し回数はおおよそ11回。さまざまな地域で暮らしてきました。頭を抱えながら勉強していた数ⅢCを宇都宮に一度置き去りにし、やっぱり私は古典のはじまりが見たい!と京都の大学の文学部に進学しました。大学で勉強することが幼少期からの秘めた夢でしたので、はやくも私の大きな夢は10代にして叶ってしまいます。「変体仮名100本ノック」と呼ばれる必修科目(ひたすらくずし字を解読する)や仏像の梱包方法を学ぶ講義など、大学4年間で受けたものすべてが面白く、京都の毎日は夢のようでした。

そもそも大学進学を人生の目標にしていた理由は、民俗学を学びたかったからです。小学生の私は、「民俗学」という言葉は知らなかったので、「なぜ人が神社で手を合わせるのか知りたい」と母には話していました。しかし私の口下手のせいで変なものに興味を持ってしまったと勘違いした母がひどく悲しんで以降、「こういうの」はやめようと誓っておりました。そして入学したのは古典文学を中心に学ぶ学科。民俗学は少し学べたら良いかと納得させていましたが、私の所属する学科にも民俗学のゼミが存在していました。(入学後まで知りませんでした...。)幼少期に描いた通りの夢が目の前にあることは非常に怖く、民俗学の研究室に足を踏み入れたのは2回生の冬です。その後は古典作品に登場する鬼に変化する女性たちを民俗学の視点から調べていました。

大学卒業後、東京に上京、大学構内で書籍の販売などをしていました。まだ大学の近くにいたかったのと、現代アートを見てみたくなり、東京での就職を選びました。とは言いつつ、東京国立博物館で本物の土偶に出会った私は岡本太郎のごとく衝撃を受け、すっかり土偶の魅力にハマり、京都で見てきたものより遥か昔の時代に思いを馳せるようになりました。縄文好きの皆様に知り合えたご縁もあり、土偶を愛した幕末明治の放浪画家・蓑虫山人の生涯を追いかけた『蓑虫放浪』(国書刊行会)という本で、お役に立てた自信はありませんが、ほんの少しだけ翻刻のお手伝いをさせていただきました。大学での「変体仮名100本ノック」のおかげです。

たくさんの方々から本当に多くのことを教えてもらい、文学通信までやってきました。これから自分がどのようにお役に立てるか分かりませんが、お返しできるよう精一杯尽力して参ります。

次回は「大学構内で本を売ることについて」をお送りする予定です。
Twitterアカウントを作りました。