新入社員週報第2回「呟きは慎重にして(大学構内での書籍販売について)」(松尾彩乃)

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入社して1週間が経ちました。Twitterでの呟きに悩み、これがInDesignと驚き、1日1日がとんでもないスピードで過ぎ去っていきます。2回目の新入社員週報もあっという間にやって来ました。今回は、自分の経験より「大学構内で本を売ることについて」をお話させてください。

毎日が戦いでした。

そこは大学構内。私が作る棚を覗きにいらっしゃるのは、専門家である大学の先生方と、日々新しい知識を手に入れ、カルチャーに対してもアンテナの高い学生さんたちです。棚に差す1冊1冊に全く気が抜けません。そして、この仕事で日々注意していたことも、少し変わっていたかもしれません。

フェア棚やテーマのある企画棚を作ったとき、「こんなフェア開催中です」と広く伝えるべきところ、Twitterではお知らせできないものがいくつかありました。今まさに必要でフェアを開催するものの、このタイミングで世に発信すれば、ネット上で誤解が生じ、批判が巻き起こると予想できるものです。自分の所属する組織は大学とは別ではありますが、いつもお世話になっている方々まで巻き込む訳にはいかないので呟かないようにしていました。

あるとき、そのようなフェアのひとつが、本当に偶然、国外のSNS上で拡散されているのを発見しました。学生さんが写真を撮って、その国の言葉で発信してくれたようでした。小さな書店の棚にかけられた言葉たちを少しずつ翻訳し、読み、噛み締めました。おかげで私は文学の持つ大きな力を知りました。そして今日まで本屋の持つ力を信じ続けることができています。

「大学構内で本を売る」仕事で出会ったことは書き尽くせませんが、特に思い出深い本たちが何冊かあります。

1冊目は『ヒロインズ』(C.I.P. Books)。

小さな購買店(本と一緒に文具や食品も取り扱っている)に異動したとき、お店の規模から思うように話題書が入荷できないことが多々ありました。きっと「本屋あるある」です。町の大型書店を見に行っては、自分の店は棚の数も限られていて本の点数もこんなに揃えられないし、TVのランキングに登場するような文芸書を確保するのも難しい...と悩んでいたときに出会いました。読んでみるととても面白かったこと、なにより学生さんたちも好きそうだと勝手に思い入荷しました。売れました。有難い。初めて「本を売ること」を実感した1冊です。この店の中で見えないお客さまに売る本は無理に仕入れないようにしようと決めることができました。実際、本屋の棚は、棚の前に立つ人を映す鏡のようでした。

来週もどうぞよろしくお願いいたします。