伝承文学研究会:名古屋・京都例会 令和3年11月例会(2021年11月28日(日)13時30分~16時、Zoomミーティング)※要申し込み
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日 時 2021年11月28日(日)13時30分~16時00分
研究発表 金 陀美
名古屋大学大学院生(博士後期課程)
研究論題 「『光明真言功徳絵詞』に見る明恵の光明真言思想」
時 間 13時30分~14時30分(発表40分+質疑応答20分)
【要旨】
本発表では、室町時代に成立した『光明真言功徳絵詞』における明恵の光明真言思想に注目する。この作品は中世における光明真言の信仰形態や展開を知るたまめの史料として重要な研究対象であるが、今までの研究では梅津次郎をはじめとして美術的面からの考察が中心であった。先行研究は『光明真言功徳絵詞』には明恵の光明真言思想の影響があったという指摘はあるものの、それ以上の具体的な考察は行われていない。光明真言は平安時代以来から行われていたと伝えられているが、中世において光明真言の深義をもっとも理解し、衆生に流布しようとしたのが明恵である。よってこの『光明真言功徳絵詞』には明恵の光明真言関連の著作と共通する表現や内容をが見出すことができると考える。本発表は『光明真言功徳絵詞』に明恵の光明真言思想がいかに受け継がれていったかについて考察する。特に晩年に明恵が著した五つの光明真言関連の著書が『光明真言功徳絵詞』においてどのように受容され、語られているかを明らかにする。
研究発表 岩井 哲治
江戸川女子高等学校教諭
研究論題 「歌書としての『神道集』」
時 間 14時40分~15時40分(発表40分+質疑応答20分)
【要旨】
『神道集』の巻九‐四九「北野天神事」は、『神道集』全体が東国重視の姿勢で記述される中で、京畿の神でありながら唯一「物語的縁起」で記述されている点、全五〇章段の締めくくりにある点で、重視すべき章段と言える。その「北野天神事」の末尾に登場する「為世」なる人物は、御子左家の正統を自認する二条為世と考えられるが、この記述は数ある北野天神縁起の中で、『神道集』のみに書かれた特異なものである。この二条為世を起点に、和歌世界との関係性を軸足として『神道集』を捉えたときに、「蟻通明神事」以下の和歌説話の章段群の存在理由や、「御神楽事」でいわゆる「神祇歌」が満載されている理由が、見えてくるのではないか。ただし、『神道集』の中で住吉明神が強調されていない状況や、『神道集』が成立した南北朝という時代を考えたときに、その背景にあるものは、和歌そのものというより、和歌世界と近接した連歌世界と考えるのが妥当であろう。