古代文学会 三月例会(第732回)(2021年3月6日(土)午後2:00〜、zoom)※要申し込み
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日時:2021年 3月 6日(土) 午後2時より5時まで
場所:Zoom(登録後、参加用URLを含むメールがZoomより送信されます)
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発表者:山本 大介 氏
題目:本居宣長「出雲国なる黄泉の穴」と『出雲国風土記』注釈
要旨:
本居宣長「出雲国なる黄泉の穴」(『玉勝間』十の巻に所収)は、宣長の門人小篠敏の弟子の斎藤秀満が出雲国の山中にある「黄泉の穴」を実地踏査した記録『雲州黄泉穴一見之覚』をもとに書かれたテキストである。先行研究では主に宣長と小篠敏との関係を示す資料の一つとして取り上げられ、近年では「雲州黄泉穴一見之覚」との比較や『雲陽誌』との関係、『玉勝間』における位置付けなどについての考察がなされてきた。
一方、「出雲国なる黄泉の穴」では、山中にある「黄泉の穴」が『出雲国風土記』出雲郡宇賀郷条の「腦の礒」にある「黄泉の穴」であるか否かに言及している。この山中にある「黄泉の穴」と『出雲国風土記』記載の「黄泉の穴」との関係については、近世における『出雲国風土記』注釈の端緒である岸崎佐久次時照『出雲風土記抄』以来、注釈書や地誌等において注目されてきた。小篠敏が所持していた『出雲風土記抄』が宣長の手に渡り書写されたことも併せて鑑みるに、「出雲国なる黄泉の穴」は『出雲国風土記』の注釈言説との関係において捉えられるべきであろう。
本発表では、「出雲国なる黄泉の穴」について、『出雲風土記抄』以降の『出雲国風土記』注釈および宣長とその門下たちによる『出雲国風土記』の知との関係から考察を試みる。加えて、「黄泉」は『古事記伝』をはじめ宣長の著作に頻繁にみえる言葉でもある。それらにみえる宣長の「黄泉」観との関係についても視野に入れながら、「黄泉」に対する関心から垣間見える「古代」への思考の一端に迫ってみたい。
司会:谷口 雅博 氏
※なお、発表資料及び要旨の著作権は発表者に帰属します。