古代文学会2月例会(第731回)(2021年2月6日(土)午後2時〜5時、Zoom)※要申し込み

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研究会情報です。

●公式サイトはこちら

http://kodaibungakukai.org/
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※申し込みは上記サイトをご確認ください。


日時:2021年 2月 6日(土) 午後2時より5時まで
場所:Zoom(登録後、参加用URLを含むメールがZoomより送信されます)

発表者:加藤希 氏

題目:祝詞の継承 ―和歌に見る祓詞―

要旨:
大祓詞とは、大祓という罪穢を祓う神事に際して唱えられる祝詞であり、『延喜式』巻八の「六月晦大祓」が現存最古のものである。天武朝に国家祭祀として確立した大祓は、平安時代にも継続された。平安時代になると貴族たちは祓を私的に行い、その場では大祓詞の形式を変えた中臣祓詞が唱えられたが、大凡の文言は同じである。大祓詞は他の祝詞にはない独自の言葉が見られ、その流麗な文体から、文芸的であると評されている。
大祓詞の言葉や表現は和歌や物語文学に散見され、『うつほ物語』『源氏物語』に引用された言葉のほとんどが和歌の中にあらわれる。大祓詞は解釈が難しく、鎌倉時代以降、注釈研究が盛んになった。それ以前に祝詞の言葉はどのように理解されていたのか、和歌に引用された大祓詞から検討したい。主に「八重雲」「科戸の風」「塩の八百会」といった大祓詞の中でもの特徴的な言葉に着目する。本発表では、勅撰集、私撰集、私家集の中の和歌にあらわれる祓の言葉から、古代の人々に祝詞がいかに受け止められていたかを探る。また、『うつほ物語』『源氏物語』への祓詞引用が、物語の展開にいかに作用するのかということも併せて考えたい。祝詞が文学へ与えた影響、祭祀と文学の結びつきを明らかにしていくことが本発表の目的である。

司会:津田博幸 氏