菊地暁・佐藤守弘編『学校で地域を紡ぐ 『北白川こども風土記』から』(小さ子社)
Tweet小さ子社さまより頂きました。
定価:本体2,800円(税別)
A5判・408頁
初版発行年月2020年6月25日
ISBN:9784909782052
版元公式サイト
https://www.chiisago.jp/books/?code=9784909782052
オンライントークイベントアーカイブ
https://www.chiisago.jp/kkf/
■内容紹介■
京都盆地の東北、京都市北白川の地で、1946年生まれの「戦後の子」の3年間の課外学習をまとめた成果『北白川こども風土記』(1959年)。
民俗学、歴史学、考古学、学校資料論、アーカイブズ、視覚文化論、メディア論......、さまざまな分野の研究者、クリエーター、ファシリテーターたちが、この不思議な魅力をたたえたテクスト、それを生み出した北白川という地の歴史的・文化的コンテクストと向かい合い、議論を経てまとめた一書。
その先に照らし出されるのは、多様な情報と社会関係が交錯する、地域の結節点としての学校の過去・現在・未来。
北白川から、さらにいくつもの〈こども風土記〉へ――これから地域で歴史と文化を紡いでいくための、多くのヒントを投げかける。
■目次■
はじめに(菊地暁)
『北白川こども風土記』抄
(『北白川こども風土記』から8編を復刻再録)
大文字の送り火/石器時代の北白川/白川街道を歩いて/小さなおじぞうさんたち/天神さんのお祭/湖から盆地へ/白川石と石屋さん/古い地名は生きている
『北白川こども風土記』目次項目一覧
北白川こども風土記の出来るまで(山岡亮平)
序章 学校で地域を紡ぐ ―北白川から、さらにいくつもの〈こども風土記〉へ(菊地暁)
はじめに あらためて「これはおどろくべき本である」
1 『北白川こども風土記』の解剖学
(1)「花うり族」と「大学族」:北白川という地域
(2)「おじさん」と「おとうさん」:子どもたちのサポーター
(3)映画版と『郷土学習のしかた』:二つの映像化
(4)郷土史と郷土資料:その後の北白川
2 〈こども風土記〉の系譜学
(1)柳田國男と宝塚歌劇:『こども風土記』とその舞台化
(2)銃後そして大東亜:戦下の〈こども風土記〉
(3)〈こども風土記〉の時代:一九五〇年代まで
(4)高度成長以降のこども風土記:一九六〇年以降
おわりに:「あんたとこやからできたのや」を超えて
《コラム1》北へ渡った『北白川こども風土記』―北海道綴方教育連盟事件と坂本亮(菊地暁)
《コラム2》敗北の「こども風土記」(福島幸宏)
《コラム3》「こども風土記」の魅力に迫る ―「発見者」から「発信者」へ(一色範子)
こども風土記一覧
第1章 京都市立北白川小学校の郷土室 ―学校博物館の活動とその役割の可能性(村野正景)
1 『北白川こども風土記』誕生のきっかけ ― 北白川小学校郷土室 ―
2 「学校博物館」の一つとしての郷土室 ― 学校博物館の誕生と展開 ―
3 北白川小学校「郷土室」の特設前夜の学校博物館
4 北白川小学校「郷土室」の特設
(1)郷土室設置の契機とその背景
(2)郷土室を作った教員たち
(3)郷土室の展示構成と展示品
(4)郷土室の位置と空間
(5)理科研究集会後の郷土室
5 郷土室の新設とその利用
(1)新たな場所に設置された郷土室
(2)郷土室の利用
6 その後の郷土室
7 今後の「学校博物館」と継承されてきた資料の価値の多層化
第2章 地域のちから ―『北白川こども風土記』の出版(堀内寛昭)
1 『北白川こども風土記』との出会い
2 京都大学の存在
3 出版のきっかけとなった郷土室での原稿展示
4 北白川小学校創立八〇周年記念事業
5 寄付金から見える教育向上への期待
6 保存と活用に向けて
《コラム4》『北白川こども風土記』にかかる学校所在資料(村野正景)
《コラム5》北白川小学校と「おやじの会」(池側隆之)
第3章 〈先生たち〉〈おじさんたち〉と地域の歴史(黒岩康博)
1 〈先生たち〉と郷土研究 ― かく ―
2 〈おじさんたち〉と郷土研究 ― かたる ―
第4章 戦後社会科教育と考古学(石神裕之)
1 北白川の遺跡・史跡の発見
2 新しい社会科の誕生と郷土教育の発展
3 月の輪教室と「概念くだき」の武器としての考古学
4 和島誠一の「郷土教育」論
第5章 評言からみえるもの ―小中「総合的な学習の時間」から「生涯学習」へ(高木史人)
1「語りの水準」と「評言の重なり」と
2 ストーリーの中に評言性が込められている
3 話者の評言から新しい解釈が生まれる
4 聴き手の評言が新しい伝承を創り出す
5「総合的な学習の時間」から「生涯学習」へ
《コラム6》上山春平と北白川城(菊地暁)
《コラム7》小林行雄と北白川(石神裕之)
こども風土記33選〈カラー掲載〉(一色範子・菊地暁・佐藤守弘)
白川道中膝栗毛〈カラー掲載〉(谷本研・中村裕太)
「白川道中膝栗毛」について(佐藤守弘)
第6章 綴ることと彫ること―『北白川こども風土記』の視覚(佐藤守弘)
1 『北白川こども風土記』と視覚的イメージ
2 『山びこ学校』と生活綴方
3 『夜明けの子ら』と生活版画
4 ミニ・メディアとしての版画文集
5 『北白川こども風土記』の視覚
《コラム8》映画『北白川こども風土記』と脚本家・依田義賢(森脇清隆)
映画『北白川こども風土記』(佐藤守弘)
映画『郷土学習のしかた』(菊地暁)
第7章 関係性を紡ぐ ―ディア・プラクティスとしての『北白川こども風土記』(池側隆之)
1 「記録」を軸とするメディア・プラクティス
2 コミュニティとメディア
3 価値発見過程という物語 ① 農山漁村文化協会
4 価値発見過程という物語 ②『北白川こども風土記』
5 メディアミックスまたはクロスメディア
第8章 新編 湖から盆地へ ―北白川の地形と風土 その成り立ちと変遷(藤岡換太郎)
はじめに:旧編「湖から盆地へ」
1 近畿の大構造と地質
2 北白川の地形と地質
3 白川の流路を歩いて
4 白川扇状地の断面
5 北白川の災害小史:洪水と地震
6 この半世紀の間に何が変わったのか:環境と文明の変遷
あとがき(佐藤守弘)