アルバイト日誌「残らないもの、失われるものへの眼差し」(2020.3.24、れい)

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 本日は、地方史の本の校正作業を行っています。私は今年度大学で主に古典の和歌を中心に勉強をしたので、地方史について新たに学ぶことも多く日本文学、その周辺領域の深さや大きさに改めて感動します。
 文学を学んでいると、その中の作品が全てのように感じてしまいがちですが、日本文学を支えたのはたった数百人だったと言われるように、むしろ残らなかった文学や記録、埋もれてしまった資料は莫大なものだと考えられます。その最たるものは、各地方に伝わる祭りや行事、習俗、芸能や芸術の世界ではないでしょうか。私は毎年地元のお祭りに参加しているのですが、祭りはその地ならではで魅力の大きいものだと感じています。ただその多くは、口で伝えられることも多く、都のように制度も整わず災害といった何らかの理由で資料が消えたり、その伝統が消え去ってしまうこともあります。しかしなぜ私がこれらに注目したいのかといえば、習俗や芸能といったものが人々の営み、生活や祈りに一番近いものではないかと思うからです。近年、天災も多く過疎化も進む一方でこうした土地に根付くものがなくなってしまうことも多いように思います。
 散逸物語が多くあるように、失われてしまったもの、失われつつあるものへの眼差しを忘れたくないと感じます。