言語系学会連合・日本英語学会共催2019 年度公開シンポジウム「ことばは現実をどう捉えるか─ことばの対照研究のおもしろさ─」(2019年11月9日(土)、関西学院大学西宮上ヶ原キャンパス G 号館 3 階 301 教室)

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研究会情報です。

●公式サイトはこちら
http://www.nacos.com/gengoren/pdf/2019sympo/sympo2019.pdf

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テーマ:「ことばは現実をどう捉えるか─ことばの対照研究のおもしろさ─」

日 時:2019 年 11 月 9 日(土)15:15〜18:00
会 場:関西学院大学西宮上ヶ原キャンパス G 号館 3 階 301 教室
参加費無料・事前登録不要


司 会 廣瀬幸生(筑波大学) 趣旨説明

講 師 松本 曜(国立国語研究所)
「移動事象の言語化:実験調査による英語と日本語との対照」

講 師 井上 優(麗澤大学)
「話し手の気持ちは言語にどう反映されるか─日本語と中国語の場合─」

講 師 岡本順治(学習院大学)
「ドイツ語の心態詞と日本語の終助詞を使った『驚き』と『独白』の表示:その共通性と違い」

講 師 渡邊淳也(東京大学)
「フランス語の語彙の抽象性・操作性と日本語の語彙の具象性・指示性」


<シンポジウム趣旨>
「ことばは、それを使う人のこころや、それが使われている文化・社会のありようを映す」
ということが古くから言われている。そして、この考えは、人文系学問のみならず、心理学
や社会学ひいては精神医学などの諸学問において、「人間とは何か」を研究する際の重要な礎
となっている。しかしながら、経済優先で英語中心のグローバル化が進む現代社会において
は、言語のコミュニケーションツールとしての実用性のみが強調されるあまり、英語以外の
外国語はおろか母語である日本語でさえも軽視される風潮にある。しかも、その風潮は学問
の府であるべき大学をも席巻しているというのが昨今の現状である。
このような現状に鑑み、言語系学会としては、「人間のこころ・文化・社会を映し出す鏡」
としての言語という原点に立ち戻り、その観点の重要性を改めて社会に向けて発信していく
必要がある。その際とくに重要なのが、言語が語る世界は客体世界そのものではなく、人間
の目を通した世界であり、したがって言語の意味を考えるには、人間がものごとをどのよう
に理解し、経験するかという視点が不可欠だということである。そして、このような点を実
感させてくれるのが、母語と外国語を比較対照して考える対照研究である。近年の対照研究
においては、言語はその話し手の思考や経験のありように影響を与えるとする言語相対論と、
人間に共通の基本的な認知のあり方が言語に反映されるとする認知論が折り合うように注意
が払われており、やたらと言語間の違いを強調する傾向の強かった伝統的な対照研究とは様
相を異にしている。
グローバル化には、本来、多様な異文化理解・他者理解が不可欠であり、さらに、異文化
理解・他者理解を通して自文化理解・自己理解も深められるのである。したがって、言語系
学会連合として、この目的にかなう方向で、ことばの対照研究の面白さと奥深さを一般向け
に語る公開シンポジウムを開催することは大いに社会的意義がある。