古代文学研究会 2019年12月例会(2019年12月8日(日)、同志社大学 今出川キャンパス 寧静館5F会議室)
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2019年12月例会案内
[日時]12月8日(日)13:00~17:30
[会場]同志社大学 今出川キャンパス 寧静館5F会議室
☆会場がいつもの教室と異なりますので、ご注意下さい。
[発表者および発表題目]
・辻和良「『源氏物語』、端役たちの和歌 ― 人物を象るものとして」
・乾澄子「源氏物語の和歌を考える―四季の歌語に着目して―」
[発表要旨]
・辻和良「『源氏物語』、端役たちの和歌 ― 人物を象るものとして」
物語において和歌はどのように主題論的に働いているのか、その意味で「物語の和歌」とはどういうものであると 把握できるのか。物語にとって和歌の存在が不可欠であるだけに、この問題設定は切実である。勅撰集や家集などの中にある和歌を向こうに回して、物語の和歌の存在根拠を分析したいと思う。
本稿では、端役たちの和歌を考察の対象とする。彼らの和歌においては、物語の和歌の特質が比較的単純化されていて、和歌が人物造型に関与する論理が見やすくなっているのではないかという予測を立てるからである。
末摘花や近江の君など、この後に分析を進めていく中で明らかになると思うが、和歌が人物造型に関わっているという印象は強い。それは特徴的な詠歌であるからというのでなく、花散里などのような標準的な詠歌の場合にも、この視点で攻めることができるように思う。すなわち、和歌が人物造型を考えていくひとつの指標となる可能性を、「端役たちの和歌」を分析することによって探っていこうとするものである。
・乾澄子「源氏物語の和歌を考える―四季の歌語に着目して―」
物語文学は作中に必ず和歌を有している。登場人物による作中詠歌はもちろん、引き歌や、和歌の修辞である縁語、掛詞などの技法が散文に応用されてその表現世界を広げている。物語の和歌に関するアプローチには様々な方法が考えられよう。 今回は一つの試みとして源氏物語の作中詠歌における四季の歌語に着目してみる。
発表者は先に春の歌語について、和歌史とのかかわりの中で論じたことがあるが、今回は源氏物語の作中詠歌に使われている四季の歌語全体を見渡すことによって、その特性について考えてみたい。
また、同様に物語世界の構築において和歌の表現が重要な働きを持っている狭衣物語においては、季節に関する語より歌枕(地名表現)が多く使われている。そのあり方との比較も通して、物語において和歌のことばが喚起する力について考えてみたい。