立命館大学日本文学会 第158回研究例会(2019年12月8日(日)、立命館大学 学而館4階GJ403教室)

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研究会情報です。

●公式サイトはこちら
http://ritsnichibunkai.blog.fc2.com/blog-entry-223.html

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日 時:12月8日(日)13:00~
 会 場:学而館4階GJ403教室
 参加費:無料

  ***** 発表者・題目・要旨 *****

◆中島敦「狐憑」論
 立命館大学文学部3回生  北川 泰成

 中島敦「狐憑」は、〈未開社会〉において〈最も平凡な一人〉であった主人公・シャクがある日〈物語作者〉となり、やがて社会に排斥されて死に至る様を描いた作品である。多くの先行研究はシャクが突然語れなくなった理由を重視していないが、本作品があくまでもシャクを中心に描いている以上、彼に対する詳細な考察を避けることはできない。その際、〈空洞化〉というキーワードを軸にして〈詩人〉が辿る一つの顛末を読み解きたい。

◆夢野久作「支那米の袋」論――〈利己的な語り〉を視座として――
 立命館大学大学院博士課程前期課程1回生  畑中 千奈

 夢野久作の短編小説「支那米の袋」(初出1929年)は、ロシア人の踊り子・ワーニャが「日本の軍人」を聞き手に、アメリカの軍人・ヤングとの恋物語を話すという一人称口語体の形式をとる作品である。ワーニャが語る、ヤングから教えられた「遊び」である「シンヂウ」は、ワーニャが追想することでワーニャなりに再解釈され、「遊び」の定義に齟齬が生れると考えられる。物語における、聞き手の意志を重要視しない一方的な語りからワーニャの利己的性質を抽出し、「シンヂウ」が「恋」の結果ではないという解釈へ波及するか考証を試みる。

◆芭蕉全句集という営み――土芳の「蕉翁句集草稿」を契機として――
 芭蕉翁記念館 学芸員  髙井 悠子

 伊賀蕉門の土芳による『蕉翁句集』は、芭蕉の発句を網羅的に収集しようとした最初期の句集である。その草稿が現在も芭蕉翁記念館(芭蕉翁顕彰会蔵)で保管され、現在も一部が展示されている。
 草稿では、土芳が元禄11年刊『泊船集』から句を採録していることも明記され、推敲の跡が確認できるが、これらの検討を通して芭蕉の死の直後から行われた全句を集めようとする営みについて、その様相と背景を考察する。