国際ワークショップ「グローバル・ヒストリーと世界文学」(2019年6月1日〜2日、大阪大学豊中キャンパス大阪大学会館、事前申込:要(定員に達し次第、締め切らせていただきます))

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研究会情報です。

●公式サイトはこちら
http://topics.nichibun.ac.jp/pc1/ja/sheet/2019/05/13/s003/

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日時:2019年6月1日(土)〜2日(日)
テーマ:グローバル・ヒストリーと世界文学
主催:「国際日本研究」コンソーシアム
場所:大阪大学豊中キャンパス大阪大学会館
参加対象者:研究者向け(院生含む)
事前申込:要(定員に達し次第、締め切らせていただきます)
参加費:無料
お申し込み・お問い合わせ先:「国際日本研究」コンソーシアム事務局cgjs*nichibun.ac.jp(*を@に置き換えてください)

プログラム:
6月1日(土)
15:00-17:00 基調講演
「アジアからグローバル・ヒストリーを問い直す」
  講師:秋田 茂(大阪大学大学院文学研究科教授)
  進行:宇野田尚哉(大阪大学大学院文学研究科教授)

6月2日(日)
10:00-15:00 パネルディスカッション
①「世界文学は何語で書かれるか?」
  パネリスト:西 成彦(立命館大学大学院先端総合学術研究科教授)
②「グローバル・ヒストリーとアジア史と漢語概念」
  パネリスト:岡本隆司(京都府立大学文学部教授)
③「「翻訳」における「時差」――「世界文学」における「時間」について」
  パネリスト:阿部賢一(東京大学大学院人文社会系研究科准教授)
④「バチカンと国際機関──グローバル・ヒストリーとしての宗教と国際政治の考察」
  パネリスト:松本佐保(名古屋市立大学人文社会学部教授)

  進行:瀧井一博(国際日本文化研究センター教授)
     坪井秀人(国際日本文化研究センター教授)
15:00-17:00 ラウンドテーブル
  ディスカッサント:麻田雅文(岩手大学人文社会科学部准教授)
          飯島 洋(金沢大学人間社会研究域准教授)
  司会:瀧井一博

【開催趣旨:
1980年代の日本では学術や教育の分野でも「国際化」ということがさかんに喧伝された。その国際化は実質を伴うものもあれば浮薄なものもあったが、世紀転換期頃から時代は「グローバル化」へとすぐに舵を切った。大学などの研究教育機関や学会なども「国際」から「グローバル」への看板の架け替えに忙しかった時期である。大学等では予算を競争資金にもとづく研究体制へと劇的にシフトし、人文学や社会科学においても従来の個人研究中心の研究スタイルから共同研究を主体とするスタイルへと、研究のあり方自体が変質を遂げた。
そのような中で歴史学においては旧来の各国史やその統合形態である世界史の限界をのりこえるグローバル・ヒストリーの方法に注目が集まり、現在では日本史学においてもこの方法にもとづく取り組みが進んでいる。ナショナル・ヒストリーの枠内では見えてこなかった交易や文化接触、言語の混淆、そして人々の移動など、国境線をこえる動的な状況について歴史化しようという気運が高まってきている。
一方、同様に文学研究においても各国文学の境域をこえるものとして世界文学(world literature)という考えが提唱されたが、その理念も方法意識も、いまだ評価は定まっていない。世界文学の理念は良くも悪くもグローバル化に適応できているとは言えず、理論的な議論が深められるのはまだこれからという状況である。一方で、日本文学の翻訳はかつてない勢いで活発化しており、国語概念から解放された日本語非母語話者による日本語文学、あるいは移民文学や植民地期文学を基盤とする日本語文学に関する研究はますます活況を呈している。
歴史学と文学研究におけるこれら二つの新しい動向は、それぞれ独立した形でこれまで展開してきたが、歴史と文学とは近年理論的にも実証的にも相補的な関係を強めてきており、とりわけグローバル・ヒストリーと世界文学が投げかけている議論は中心と周縁的な二元的構図を再検討させる方向性を共有するものであると考えることができる。
もちろんグローバル・ヒストリーと世界文学の方法論については、いずれに対しても西欧覇権主義的であるといった批判も少なからず見られる。そうした批判的視座を含めて、歴史学や文学研究以外の人文学全体にもあいわたるような今日的課題について、講演講師、パネリストとフロアの間で生産的な議論を行いたい。】