【2刷】国立歴史民俗博物館監修 後藤 真・橋本雄太編『歴史情報学の教科書 歴史のデータが世界をひらく』(文学通信)

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2019.5.15付けで増刷いたします。
第1版第2刷の刊行です。


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国立歴史民俗博物館監修 後藤 真・橋本雄太編『歴史情報学の教科書 歴史のデータが世界をひらく』(文学通信)
ISBN978-4-909658-12-8
C0020
A5判・並製・208頁
定価:本体1,900円(税別)





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文学通信

人文学に必要なこれからの情報基盤の作り方とは。
複数の手段を用いて、新たな歴史像に迫るために。情報を共有して課題を解決するプラットフォームを構築するために。情報を可視化して、社会の深層にコミットしていくために。
人文学は社会そのものを考え、社会のあるべき姿を考える学問である。その可能性を追求するために、強力な援軍となっている歴史情報学の現在と未来を解説し、学問の基盤の今後を問いかけ、参加を促す。歴史情報学で出来ることを、まずは知るところからはじめよう!
人文学研究者はもとより、行政機関、図書館・博物館等の学術機関などにだすさわる方必携の書。
執筆は、後藤 真、橋本雄太、山田太造、中村 覚、北本朝展、天野真志、関野 樹、鈴木卓治、永崎研宣、大河内智之。

【 人文学は社会そのものを考え、社会のあるべき姿を考える学問である。そして、これらの人文学の成果が社会に展開されないということは、社会的な矛盾や課題を解決できないということにもつながる。場合によっては、光が当てられなければならないマイノリティなどが圧殺されるような事態につながり得る恐れすらある。そのように考えれば、人文学や社会科学は人の生命を、それも大量の人の生命の維持を担う学問であるといってよい。
 人文学や社会科学は、社会を支える必須の学問であるとともに、「可能性」を持っているのだ。わたし自身は、そのような人文学の「可能性」にかけている。可能な限り「人文学を可視化」させるための研究の基礎に、人文情報学が貢献することを切に願うものである。】......後藤真「はじめに」より

なお、本書は、2019年3月31日に全編web公開いたします(web、PDF、epub)。

【編者・監修者紹介】

[編者]

後藤 真(ごとう まこと)
国立歴史民俗博物館准教授。専門分野は人文情報学、総合資料学。主要論文に、「日本における人文情報学の全体像と総合資料学」(国立歴史民俗博物館編『歴史研究と「総合資料学」』吉川弘文館、2018年)、「総合資料学の射程と情報基盤」(国立歴史民俗博物館編『〈総合資料学〉の挑戦』吉川弘文館、2017年)、「アーカイブズからデジタル・アーカイブへ」(NPO知的資源イニシアティブ編『アーカイブのつくりかた』勉誠出版、2012年)など。

橋本雄太(はしもと ゆうた)
国立歴史民俗博物館助教。専門分野はデジタル人文学、近代西洋科学史。主要論文に、「みんなで翻刻プロジェクト」(『日本歴史』 848号、2019年1月、68-73頁)、Minna de Honkoku: Learning-driven Crowdsourced Transcription of Pre-modern Japanese Earthquake Records. In Proceedings of Digital Humanities 2018, pp. 207-210, July 2018.など。

[監修者]

国立歴史民俗博物館(こくりつれきしみんぞくはくぶつかん)
千葉県佐倉市城内町にある、日本の考古学・歴史・民俗について総合的に研究・展示する博物館。通称、歴博(れきはく)。歴史学・考古学・民俗学の調査研究の発展、資料公開による教育活動の推進を目的に、昭和56年に設置された「博物館」であり、同時に大学を中心とする全国の研究者と共同して調査研究・情報提供等を進める体制が制度的に確保された「大学共同利用機関」。現在、基幹的な研究として「総合資料学の創成」事業を推進する。
〒285-8502 千葉県佐倉市城内町 117
https://www.rekihaku.ac.jp/index.html


【目次】

ご挨拶○新たな学の創成に向けて(久留島 浩)

はじめに(後藤 真)
1.瀬戸際の人文学/2.人文学の「可能性」にかける/3.学問自体を「場」として設定する/4.本書の読み方

chapter1 人文情報学と歴史学
後藤 真(国立歴史民俗博物館)
1.はじめに―人文情報学とは何か/2.日本における歴史情報学・人文情報学の研究状況/3.情報を得るために人文情報に関わる学会とその傾向/4.どのような研究があるか―ツールとデータベース/5.おわりに

chapter2 歴史データをつなぐこと―目録データ―
山田太造(東京大学史料編纂所)
1.はじめに/2.目録を整理していく/3.東京大学史料編纂所所蔵史料/4.史料を分類していく/5.目録を階層化していく/6.目録を記述する/7.記述要素を拡張していく/8.周囲の歴史データを関連付けていく/9.おわりに

chapter3 歴史データをつなぐこと―画像データ―
中村 覚(東京大学情報基盤センター)
1.はじめに/2.画像データの基礎/3.IIIF(International Image Interoperability Framework)/4.まとめ

●column.1 画像データの分析から歴史を探る―「武鑑全集」における「差読」の可能性―
北本朝展(ROIS-DS人文学オープンデータ共同利用センター/国立情報学研究所)
1.文字と非文字/2.差読とは?/3.画像ベース差分検出/4.「武鑑全集」プロジェクト

chapter4 歴史データをひらくこと―オープンデータ―
橋本雄太(国立歴史民俗博物館)
1.はじめに/2.オープンデータ普及の背景/3.ライセンス/4.機械可読性/5.人文学資料のオープンデータ化がもたらす可能性/6.歴史学・人文学分野のオープンデータ/7.オープンデータの普及に向けた諸課題/8.おわりに

chapter5 歴史データをひらくこと―クラウドの可能性―
橋本雄太(国立歴史民俗博物館)
1.はじめに/2.クラウドソーシング登場の背景/3.学術領域に広がるクラウドソーシング/4.市民との協働手段としての「クラウドソーシング」/5.クラウドソーシングの諸課題/6.おわりに

chapter6 歴史データはどのように使うのか―災害時の歴史文化資料と情報―
天野真志(国立歴史民俗博物館)
1.災害と歴史文化資料/2.歴史データを活用した災害対策/3.災害対策に求められる情報とは/4.歴史文化資料を対象としたデータ活用は可能なのか

●column.2 歴史データにおける時空間情報の活用
関野 樹(国際日本文化研究センター)
1.歴史データのための空間情報基盤/2.空間情報を用いた歴史研究/3.歴史データのための時間情報基盤

chapter7 歴史データはどのように使うのか―博物館展示とデジタルデータ―
鈴木卓治(国立歴史民俗博物館)
1.はじめに/2.展示は資料を見る最良の手段ではない/3.資料の画像の撮影と管理/4.「江戸図屛風」の超拡大コンテンツ/5.超拡大コンテンツを用いた展示/6.超拡大コンテンツ技術の可能性-準3次元表示を例に/7.超拡大コンテンツをインターネットで楽しむ時代にあって/8.おわりに

chapter8 歴史データのさまざまな応用―Text Encoding Initiative の現在―
永崎研宣(人文情報学研究所)
1.デジタルテクストの特徴を活かすには?/2.TEI登場のコンテクスト/3.TEIガイドラインとは/4.アップデートされるTEIガイドライン/5.TEIガイドラインの活用事例/6.マークアップの深さをどう考えるか/7.テクストデータやツール・ノウハウを共有するには/8.どうやってマークアップするか/9.おわりに

chapter9 デジタルアーカイブの現在とデータ持続性

後藤 真(国立歴史民俗博物館)
1.はじめに/2.「アーカイブズ」と「デジタルアーカイブ」/3.「デジタルアーカイブ」とは/4.「デジタルアーカイブ」の現在/5.「デジタルアーカイブ」の持続性/6.デジタル「アーカイブ」を考えるために

●column.3 さわれる文化財レプリカとお身代わり仏像―3Dデータで歴史と信仰の継承を支える―
大河内智之(和歌山県立博物館)
1.はじめに/2.さわれる文化財レプリカによる博物館展示のユニバーサルデザイン化/3.「お身代わり」仏像による盗難被害防止対策/4.おわりに

chapter10 歴史情報学の未来
後藤 真(国立歴史民俗博物館)
1.はじめに/2.ディープラーニング?-古文書OCRの研究から考える/3.データプラットフォーム-歴史情報データの未来/4.歴史情報に関わるデータや情報の持続性/5.研究成果のアウトプット/6.これまでと違う未来?-情報学の手段として歴史学を使う/7.総合資料学と歴史情報学の未来/8.歴史情報学の未来・歴史学の未来

おわりに

用語集
学会・雑誌案内
大学案内

執筆者一覧

【執筆者一覧】

● 編者
後藤 真・橋本雄太

● 執筆者(掲載順)

山田太造(やまだ たいぞう)
東京大学史料編纂所前近代日本史情報国際センター助教/データ工学、歴史情報学/山田太造「ガラス乾板に関するデータはどこに向かうのか」(久留島典子・高橋則英・山家浩樹編『文化財としてのガラス乾板』勉誠出版、2017年、180-183頁)、山田太造・畑山周平・小瀬玄士・遠藤珠紀・井上聡・久留島典子「前近代日本史史料における人物関係とその時空間変化:天正期古記録『上井覚兼日記』を例に」(『人文科学とコンピュータシンポジウム論文集:じんもんこん2017』2017年12月、61-68頁)、山田太造「文字データベース連携の課題」(石塚晴通監修/高田智和・馬場基・横山詔一編『漢字字体史研究 二』勉誠出版、2016年、395-419頁)

中村 覚(なかむら さとる)
東京大学情報基盤センターデータ科学研究部門助教/デジタルアーカイブ、Linked Data、人文情報学/中村覚・大和裕幸・稗方和夫・満行泰河・鈴木淳・吉田ますみ「Linked Dataを用いた歴史研究者の史料管理と活用を支援するシステムの開発」(『情報処理学会論文誌』Vol.59、 No.4、2018年、1240-1249頁)、中村覚「Linked Dataを用いた軍艦オントロジーの構築と平賀譲デジタルアーカイブへの活用」(『人文科学とコンピュータシンポジウム論文集:じんもんこん2017』 2017年12月、133-138頁)、中村覚・稗方和夫・満行泰河・加藤諭・宮本隆史・高嶋朋子「『文部省往復』を中心としたデジタルアーカイブの構築とその活用」(『東京大学文書館紀要』No.35、2017年、30-43頁)

北本朝展(きたもと あさのぶ)
情報・システム研究機構 データサイエンス共同利用基盤施設 人文学オープンデータ共同利用センター センター長/国立情報学研究所 コンテンツ科学研究系准教授/情報学/北本朝展・堀井洋・堀井美里・鈴木親彦・山本和明「時系列史料の人機分担構造化:古典籍『武鑑』を参照する江戸情報基盤の構築に向けて」(『人文科学とコンピュータシンポジウム論文集:じんもんこん2017』2017年12月、273-280頁)、西村陽子・北本朝展「ディジタル史料批判と歴史学における新発見」(『人工知能学会誌』Vol. 31、No. 6、2016年11月、769-774頁)、北本朝展「デジタル・アーカイブの鍛え方〜公開から始まる継続的な改善を駆動する方法論」(岡本真・柳与志夫編『デジタル・アーカイブとは何か- 理論と実践」勉誠出版、2015年、157-180頁)

天野真志(あまの まさし)
国立歴史民俗博物館特任准教授/日本近世・近代史、資料保存/『記憶が歴史資料になるとき』(蕃山房、2016年)、「秋田藩佐竹家中長瀬氏系図の成立と旧領常陸」(近代茨城地域史研究会編『近世近代移行期の歴史意識・思想・由緒』岩田書院、2017年)、「地域歴史資料と災害対策」(『文化財保存修復学会誌』60、2017年)

関野 樹(せきの たつき)
国際日本文化研究センター教授/時間情報学/関野樹「コンピューターによる時間情報の記述と活用」(国立歴史民俗博物館編『〈総合資料学〉の挑戦 異分野融合研究の最前線』吉川弘文館、2017年、76-97頁)、Tatsuki Sekino, Basic linked data resource for temporal information. Proceedings of the 2017 Pacific Neighborhood Consortium Annual Conference and Joint Meetings (PNC), 76-82, 2017.、関野樹「Web HuTime - 時間情報のためのWebプラットフォーム」(『情報処理学会シンポジウムシリーズ』 2016(2)、 2016年、125-132頁)

鈴木卓治(すずき たくじ)
国立歴史民俗博物館教授/博物館情報システム学/鈴木卓治・大久保純一「江戸図屏風を起点に他の風景と比べたら何がわかるか?」(国立歴史民俗博物館編『歴史研究と〈総合資料学〉』吉川弘文館、2018年、34-55頁)、『画像色彩技術を用いた錦絵画像の色彩分析とデジタル展示』(千葉大学大学院融合科学研究科博士論文、2015年、https://opac.ll.chiba-u.jp/da/curator/900119186/)、鈴木卓治編『〈共同研究〉デジタル化された歴史研究情報の高度利用に関する研究』(『国立歴史民俗博物館研究報告』189、2015年、http://id.nii.ac.jp/1350/00002140/)

永崎研宣(ながさき きよのり)
一般財団法人人文情報学研究所主席研究員/人文情報学、仏教学/Kiyonori Nagasaki, Contexts of Digital Humanities in Japan,Digital Humanities and Scholarly Research Trends in the Asia-Pacific,IGI Global, Jan 2019, pp. 71-90.、永崎研宣・下田正弘「オープン化が拓くデジタルアーカイブの高度利活用: IIIF Manifests for Buddhist Studiesの運用を通じて」(『人文科学とコンピュータシンポジウム論文集:じんもんこん2018』 2018年12月、389-394頁)、 永崎研宣「インド学仏教学を未来につなぐために―研究資料ネットワークの再形成に向けて―」(『印度学仏教学研究』2017年3月、1015-1022頁)

大河内智之(おおこうち ともゆき)
和歌山県立博物館主査学芸員/日本美術史/『道成寺と日高川-道成寺縁起と流域の宗教文化-』(和歌山県立博物館、2017年)、『さわって学ぶ 仏像の基礎知識』(和歌山県立博物館施設活性化事業実行委員会、2017年)、「成立期の丹生高野四社明神像について-鋳造神像とその木型-」(『佛教藝術』346、2016年)、『熊野-聖地への旅-』(和歌山県立博物館、2014年)、「さわれるレプリカとさわって読む図録-展示のユニバーサルデザイン-」(『博物館研究』549、2014年)、『高野山麓 祈りのかたち』(和歌山県立博物館、2012年)