俳文学会東京研究例会 第446回例会(2018年12月22日(土)14:30~、聖心女子大学)第30回テーマ研究「歴史史料と連歌・俳諧」 【和田健一氏・小川剛生氏】
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第446回
2018年12月22日(土)14:30~17:00
聖心女子大学1号館204教室
第30回テーマ研究 「歴史史料と連歌・俳諧」
司会 深沢 眞二 氏
●講演 多胡碑の江戸時代~『上毛多胡郡碑帖』と『俳諧多胡碑集』 和田 健一 氏
【要旨】
昨年10月にユネスコ「世界の記憶」に登録された上野三碑(こうづけさんぴ)は、飛鳥~奈良時代の重要な石碑群として江戸時代から知られていた。そのうち多胡碑は、わが国唯一の建郡記念碑として青木昆陽・伊能忠敬などの知識人が、書物に記し、また碑を訪れている。その転機となったのが、江戸の書家沢田東江『上毛多胡郡碑帖』(宝暦7年/共著)と、加賀の俳人高桑闌更『俳諧多胡碑集』(安永3年)の出版である。本発表では、東江・闌更と地方文人・俳人との交流を通して、古代の石碑を題材とした両書の文化史的意義を考える。
●講演 菟玖波集前後--後光厳天皇と二条良基 慶應義塾大学教授 小川 剛生 氏
【要旨】
菟玖波集は後光厳天皇の延文二年(一三五七)に成立し、綸旨によって閏七月に勅撰和歌集に准じられた。
これは連歌の地位向上を企てた二条良基が武家の圧力を借りて実現した、というのが通説であるが、この点、新たな史料をもとに考え直す。
ここで多数遺されている後光厳天皇の宸翰が活用できる。当時の書札礼等を踏まえて差出人・年代を特定することで、後光厳と良基との関係が新たに浮かび上がる。菟玖波集の成立事情を再考するとともに、当時の歌壇・連歌界の動向に及びたい。