西脇 康編著『新徴組(しんちょうぐみ)の真実にせまる 最後の組士が証言する清河八郎・浪士組・新選組・新徴組』(文学通信)
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西脇 康編著『新徴組の真実にせまる 最後の組士が証言する清河八郎・浪士組・新選組・新徴組』(文学通信)
日本史史料研究会ブックス001
ISBN978-4-909658-06-7 C0221 ¥1300E
新書判・並製・306頁
定価:本体1,300円(税別)
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骨抜きにされた、知られざる幕末の剣客集団の真実にせまる。
京都で分裂した浪士組。ごく一部が異を唱え誕生したのが、かの新選組であったが、圧倒的多数は、江戸に引き上げた。そこで誕生したのが、新徴組である。
彼らはいわば、幕末の剣客集団の本家であった。その後、彼らはいかに生きたのか。
新徴組を語る証言録を、やさしく読めるようにし、基礎史料として公開する。
【史実と創作とはきちんと区別されるべきである。
創作が先行すると、さまざまの虚像が暴走して史実への回帰が不可能となってしまう! そんな危機感が編者の重い腰に火をつけ実現した出版であった。
清河八郎・浪士組・新徴組・新選組・庄内藩、および組士それぞれの実像を史料に基づいて描く際には、ぜひ本書をまず読んでいただきたい。
それにしても、「尽忠報国」の名のもとに幕府に集められた浪士組の志士たちの、その後の身の置きどころのなさは、新選組であろうと新徴組であろうと、組士にとっては不本意の連続であったに違いない。新選組は士分化の時期こそ新徴組に遅れたが、会津藩御預りを経て、幕臣(旗本・御家人)に登用され、旧幕府軍(義軍)として戊辰戦争を戦い抜けた。最後まで残った土方歳三らは、蝦夷地に新国家構想を抱きその実現をめざすなかの、壮絶な箱館(函館)における敗北であった。
他方、新徴組はといえば、早期に最下級幕臣の身分を手に入れたが、幕府のご都合主義によってすぐに庄内藩の足軽級身分に転落させられた。そして、江戸の「お廻り」として治安維持活動に尽忠報国の志を実現しようと、日夜忍耐強くつとめはした。しかし、譜代中藩とはいえ、庄内藩がとった新徴組への措置は、最下級武士でこそあれ安定した生活に慣れ親しませ、尽忠報国の志を忘却させる思惑であった。新徴組を藩内に封じ込め、心身ともに「志士」を換骨奪胎する作戦であった。戊辰戦争で庄内藩兵は連戦連勝のまま降伏にいたるが(一度も負けた戦がない)、その軍団の強さに通底する結束と戦術と戦略はどこか謎めいている。】...おわりにより
【著者紹介】
西脇 康(にしわき・やすし)
1956年、岐阜県養老町生まれ。
東京大学史料編纂所所員(専門職員)・東京国立博物館客員研究員・日野市立新選組のふるさと歴史館運営審議会委員・日本計量史学会理事。元早稲田大学・東京農業大学等講師。早稲田大学大学院博士後期満期退学。
著書に『旗本三嶋政養日記』『絵解き金座銀座絵巻』『佐渡小判・切銀の研究』『甲州金の研究』『新選組・八王子千人同心関係史料集』など多数。映画時代考証に「必死剣鳥刺し」(平山秀幸監督)「桜田門外ノ変」(佐藤純彌監督)など。
【目次】
《口絵》
黐木坂新徴組屋敷絵図、新徴組役所見取図(『新徴組御用私記』附録)
はじめに
例言
第一章 清河八郎と新徴組
附 言/清河八郎の上書と幕府浪士組の結成/浪士組の上洛 浪士組の東下/横浜攘夷決行と清河八郎/浪士組から新徴組へ/飯田町黐坂下の新徴組屋敷/幕臣伊賀者次席から庄内藩委任へ/禁門の変と麻布檜坂の長州藩邸没収/庄内藩士新徴組と同藩江戸市中一手取り締まり/狼藉幕臣永島直之丞の斬殺事件/庄内藩の幕府への弁明/新徴組への諭告書/三組士切腹と幕府・庄内藩の対応/切腹三士の遺書・辞世/亡兄の辞世への疑義
第二章 新徴組と庄内藩
庄内藩の江戸引き揚げと新徴組/湯田川寄宿舎から庄内戦争へ/矢島城攻撃と新徴組/越後口への転陣/庄内藩の降伏と処分/追加記事
第三章 新徴組人名移動詳細
第一節 上京有志姓名録
幕臣姓名/浪士姓名/道中先番宿割/道中目附/狼藉者取押役/道中世話役/取締役手附/遊軍/一番/弐番/三番/四番/五番/六番/七番
第二節 新徴組田川温泉場寄宿帳
宿隼人/宿七兵衛/宿彦右衛門/宿孫左衛門/宿久内/宿重助/宿惣八/宿靱負/宿理次郎/宿左之助/宿七内/宿久左衛門/宿惣兵衛/宿善右衛門/宿与惣治/宿治部/宿由右衛門/宿野左衛門/宿杢兵衛/宿幸四郎/宿作右衛門/宿長右衛門/宿九兵衛/宿多右衛門/宿彦兵衛/宿五右衛門/宿甚内/宿五郎右衛門/宿半三郎/宿与右衛門/宿角右衛門/宿三太郎/宿茂右衛門/宿又右衛門
第三節 新徴組別名 和田助弥自筆横折帳
第四章 新徴組と庄内藩雑話
第一節 慶応三年(一八六七)秋 忍び廻りの開始
第二節 慶応三年(一八六七)十月 猿若町酒屋強盗一件
第三節 慶応三年(一八六七)十一月二十三日 表二番町旗本徳永帯刀屋敷白昼強盗一件
第四節 慶応三年(一八六七)十二月 新徴組非常詰の開始
第五節 組士山口三郎より聞書
長屋玄平の山口三郎評/井伊直弼評/小栗上野介評/庄内藩閣老と田辺儀兵衛評
第六節 新徴組投獄記事
新徴組脱走連の司法省告訴/東京司法省護送と収監/入檻中の藤田東湖次男任との交流/一転して酒田臨時裁判所へ護送/酒田臨時裁判所の開廷・判決
第五章 新徴組人名録に属する断片記事
山田寛司/中川一/分部宗右衛門/新徴組学術役附/天野静一郎/桂田寛吾・尾崎恭蔵/稲田隼雄/桑原玄達
第六章 新徴組史料
緒 言
第一節 新徴組の組織
第二節 新徴組のできごと
第三節 板橋町のできごと
第四節 吉原遊廓のできごと
第五節 新徴組瓦解の顛末
第六節 百姓一揆、一名「ワッパ」事件
第七節 訂正および増補記事
明治の新徴組投獄事件/「ワッパ」事件/薩摩屋敷焼き打ちの事実/江戸市中見巡りにおける新徴組の功労/慶応三年(一八六七)十月浅草猿若町一丁目酒屋強盗と新徴組の活躍
第八節 名士に関する断片記事の二 新徴組の部
浪士組から新徴組に至る前後の組士の動向
第九節 無告亡霊志士之姓名と題する松本十郎翁の記事について 第一
天野静一郎・稲田隼雄・尾崎恭蔵の自刃
第十節 無告亡霊志士之姓名と題する松本十郎翁の記事について 第二
桂田寛吾の自殺顛末/椿佐一郎の横死/新整隊中田良吉・小林幡郎の横死
第十一節 千葉弥一郎の父兄に関する記憶
父千葉新六郎/兄千葉雄太郎
解説
原著について/登場人物と内容紹介/慶応三年庄内藩重役の不祥事/史料批判の重要性と小山松勝一郎氏の著書/編者のこれまでの活動
おわりに
新徴組略年表
浪士組・新徴組士一覧
人名索引