仁平政人・原善編『〈転生〉する川端康成Ⅰ 引用・オマージュの諸相』(文学通信)

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11月下旬の刊行予定です。

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仁平政人・原善編『〈転生〉する川端康成Ⅰ 引用・オマージュの諸相』(文学通信)
ISBN978-4-909658-89-0 C0095
A5判・並製・268頁
定価:本体2,700円(税別)

優れた小説家は何度でもよみがえる。

大正から戦後にかけて活躍し、『雪国』や『伊豆の踊り子』をはじめ、かずかずの作品を世に送り出してきた小説家・川端康成(1899-1972)。その作品だけでなく、日本で初めてノーベル文学賞を受賞した作家として、現代においても高い知名度を誇ります。

「美的」・「抒情的」・「伝統的」といった固定的な、古めかしいイメージで語られがちな川端の文学作品ですが、しかし、彼の小説の受け止められ方は一様ではなく、後代の作家の創作にもさまざまなかたちで刺激をもたらしてきました。いったい川端の何が多くの作家たちを刺激しつづけるのでしょうか。

本書ではとりわけ後代の作家らによる川端文学の引用・オマージュの世界をたどります。それらを通じて川端のイメージが従来のものであることを再認識することもあれば、意想外の受けとめられ方をされてきたことも見えてきます。

川端の文学がいかに作家たちによって創造的に受容され、創作の源になったか。本書を通じて新たな意味を持つものとして生まれ変わる川端と後代の作家らによる文学作品を読み直します。

執筆は、仁平政人/原善/藤田祐史/西岡亜紀/三浦 卓/髙根沢紀子/李 雅旬/平井裕香/見田悠子/坂元さおり/李 哲権/深澤晴美/大石征也/髙畑早希/東雲かやの/菅野陽太郎/熊澤真沙歩/奥山文幸/谷口幸代/崔 順愛/高橋真理/杉井和子/青木言葉/永栄啓伸/長谷川 徹/内田裕太/劉 東波/原田 桂/田尻芳樹/李 聖傑/姜 惠彬/恒川茂樹/小池昌代/小谷野 敦/乗代雄介

【川端文学のオマージュ・引用やアダプテーションは、固定した川端のイメージをなぞり補強することもあれば、川端作品の持つ意想外の特性を照らし出すことも、あるいは批評的に変形することを通して、その潜在的な可能性を浮かび上がらせることもある。いずれにしても、これらは川端の文学をただ一方向的に受容するものではなく、それぞれの文脈のもとで(また多様なファクターとのかかわりのなかで)作り変え、生まれ変わらせるものに他ならない。そして、このような川端文学の多様な〈転生〉のあり方に光をあてることは、現代の文学・文化における「川端康成」の位相を捉え直し、また川端作品を新たに再読する視点を得ることにもつながると考えられる】......「はじめに」より

■本書の特徴
▼川端康成の文学がいかに後代の作家の創作の源になったか、各作品を徹底分析。
▼巻末には「川端康成〈転生〉作品年表【引用・オマージュ編】」を収録。

■本書で取り上げられた川端作品
雪国、伊豆の踊り子、心中、叩く子、片腕、美しさと哀しみと、虹いくたび、古都、山の音、弓浦市、死者の書、眠れる美女、浅草紅団、有難う、たんぽぽ、掌の小説、千羽鶴、みづうみ、十六歳の日記

■本書で取り上げた作家
恩田陸・梶井基次郎・松本清張・福永武彦・小池昌代・石田衣良・小川洋子・原田マハ・乗代雄介・ガブリエル・ガルシア=マルケス・朱天心・李昂・中里恒子・瀬戸内寂聴・大庭みな子・清水義範・荻野アンナ・西村京太郎・笹倉明・多和田葉子・吉本ばなな・祐光正・川上未映子・花房観音・綿矢りさ・彩瀬まる・田中慎弥・井上靖・三浦哲郎・カズオ・イシグロ・莫言・金衍洙





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【編者紹介】
仁平政人
(にへい まさと)
東北大学大学院文学研究科准教授
著書・論文に、『青森の文学世界 〈北の文脈〉を読み直す』(共編著、弘前大学出版会、2019年)、「「旅行」する言葉、「山歩き」する身体―川端康成『雪国』論序説―」(『日本文学』第66巻第6号、2017年6月)、『川端康成の方法 二〇世紀モダニズムと「日本」言説の構成』(東北大学出版会、2011年)など。

原 善(はら ぜん)
武蔵野大学元教授
著書に『川端康成作品研究史集成』(共編著、鼎書房、2020年)、『村上春树超短篇小说100%解謎』(頼明珠訳、台湾聯合文學出版、2020年)、『川端康成-その遠近法』(大修館書店、1999年)、『〈新鋭研究叢書10〉川端康成の魔界』(有精堂、1982年)など。

【目次】

はじめに
本書の目的/本書の構成

Ⅰ 引用・オマージュによる〈転生〉

【恩田陸・梶井基次郎】
1 オマージュの照らしだす力――総論にかえて......原善
 I 生誕一〇〇年の喧騒/生誕一二〇年・没後五〇年の静謐/II 先行からの影響/後進への影響/III 〈夜の底〉にこだわる恩田陸/IV 恩田陸が照らし出す川端康成/V 梶井基次郎がオマージュを捧げた「心中」/VI 〈解釈〉としてのヴァリエーション/VII オマージュの力/後進による読みの更新

【松本清張】 
2 〈転生〉する「伊豆の踊子」――松本清張「天城越え」とトラベルミステリ......藤田祐史
 I はじめに/II 「伊豆の踊子」から「天城越え」へ/III 「伊豆の踊子」から推理小説へ/IV 「日本近代文学」から推理小説へ

【福永武彦】 
3 雪と鏡と二人の女――『雪国』と『死の島』を結ぶフィクションの文法......西岡亜紀 
 I 「末世の人」に写る反橋/II 『雪国』におけるフィクションの文法:雪と鏡と二人の女/III 『死の島』の雪:フィクションに辿り着くフィクション/IV 『死の島』のミッション:歴史性と芸術性の追及/V おわりに

【小池昌代】 
4 腕をつけかえること、「どうぶつ」になること――小池昌代「左腕」と川端康成「片腕」......仁平政人
 I はじめに― 〈転生〉する「片腕」/II 小池昌代「左腕」と川端康成「片腕」/III 「円」と「回」/IV 「翼」を得る、「ケモノ」になる/V 二つの「転生」の文学

【石田衣良】 
5 裏返されなかったもの――石田衣良『娼年』と川端康成『眠れる美女』......三浦卓
 I 『眠れる美女』を「裏返した」作品/II 〈ぼく〉の自分探しの物語/III 祝福できない〈転生〉

【小川洋子】 
6 小説家として生きること――川端康成と小川洋子......高根沢紀子
 I いちばん好きな作家― 「眠れる美女」と「ミーナの行進」/II 部分と全体-- 「片腕」と「バックストローク」/III 見えないものを見る-- 「たんぽぽ」と「人体欠視症治療薬」

【原田マハ】 
7 絵画小説としての『異邦人』――川端康成との関連性に触れて......李雅旬
 I はじめに/II 『異邦人』の文体/III 絵画小説としての『異邦人』/IV 川端康成の京都小説との関連性/V おわりに

【乗代雄介】 
8 スパイより愛を込めて――「最高の任務」と川端文学......平井裕香
 I はじめに/II 「最高の任務」の記憶と風景/III 川端文学の記憶と風景/IV (小説を)書くことと愛すること/

【ガブリエル・ガルシア=マルケス】
9 『眠れる美女』以後のガルシア=マルケス――紡がれる文学の糸......見田悠子
 I はじめに/II 孤独とは愛(=連帯)の欠如/III エレンディラとデルガディーナ/IV 世界への解/V 『眠れる美女』と『わが悲しき娼婦たちの思い出』、紡ぎ合わされる思考の糸

【朱天心】 
10 〈引用〉による共振――朱天心『古都』と川端文学......坂元さおり
 I はじめに/II 朱天心「古都」が書かれる背景/III 朱「古都」と川端文学〈引用〉による共振/IV さいごに

【李昂】 
11 毒を盛られたオマージュ――李昂の『眠れる美男』を読む......李哲権
 I オマージュと父殺し/II 川端康成の文体 李昂の文体/III 結び

Ⅱ 現代作家と川端康成の〈対話〉

12 極悪について......小池昌代

13 川端康成と立原正秋と「通」......小谷野敦

14 単なる比喩でないような空虚......乗代雄介

Ⅲ 作家の〈交流〉/作品の〈変異〉

【中里恒子】 
15 「生涯一片山水」の覚悟/「夢幻の如くなり」――中里恒子における川端康成、或いは川端文学......深澤晴美

【瀬戸内寂聴】
16 川端を語りつづけた寂聴の京――冬の虹がむすぶもの......大石征也

【大庭みな子】
17 〈記憶〉の揺らぎをいかに描くか――大庭みな子と川端康成......髙畑早希

【清水義範】
18 〈抒情〉を更新する――清水義範のパスティーシュについて......東雲かやの

【荻野アンナ】 
19 「雪国の踊子」の踊りっぷり――荻野アンナの川端理解の卓抜さ......菅野陽太郎

【西村京太郎】 
20 焼き直された〈駒子〉たち――西村京太郎『「雪国」殺人事件』......熊澤真沙歩

【笹倉明】 
21 『新・雪国』の新しさ――笹倉明のパスティーシュ......奥山文幸

【多和田葉子】
22 テクストの中の遊歩者――川端康成と多和田葉子......谷口幸代

【吉本ばなな】 
23 エスニック歌の響き――吉本ばなな「ちんぬくじゅうしい」......崔順愛

【祐光正】
24 「そんな街や、そんな時代があった」――祐光正『浅草色つき不良少年団』......高橋真理

【川上未映子】
25 「雪国」の〈世界〉を四字熟語で飛翔する――「わたくし率 イン 歯ー、または世界」......杉井和子

【花房観音】
26 〈男〉を知らぬ片腕、あるいは〈女〉のすみずみまでを知る片腕――花房観音「片腕の恋人」......青木言葉

【綿矢りさ】
27 悪夢という異界――綿矢りさ『手のひらの京』の連想......永栄啓伸

【彩瀬まる】 
28 片腕との〈暮らし〉――彩瀬まる「くちなし」が描く愛執の辺境......長谷川徹

【田中慎弥】 
29 飛翔する〈言葉〉――川端康成と田中慎弥......内田裕太

【井上靖】 
30 川端康成文学の振興に力を尽くした井上靖――鬱然たる大樹を仰ぐ......劉東波

【三浦哲郎】 
31 〈短篇の名手〉を保証する存在――書簡と川端康成文学賞にみる三浦文学の礎......原田桂

【カズオ・イシグロ】 
32 「まごついてしまうほど異国的」?――川端康成を読むカズオ・イシグロ......田尻芳樹

【莫言】 
33 「秋田犬」と「白い犬」――莫言が読んだ『雪国』について......李聖傑

【金衍洙】 
34 韓国現代作家は川端をどう読むか――川端康成と金衍洙文学における表現論の考察......姜惠彬

執筆者一覧

川端康成〈転生〉作品年表【引用・オマージュ編】......恒川茂樹

■執筆者一覧(※五十音順)

青木言葉(あおき ことは)
早稲田大学非常勤講師等
「川端康成作品における〈幻想〉の構造」(博士論文、慶応義塾大学、二〇二一年十月)、「マルクス主義と〈形容詞の幽霊〉―川端康成「死者の書」―」(『三田國文』第六五号、二〇二〇年十二月)、「科学という〈輪廻〉―川端康成「花ある写真」―」(『三田國文』第六十四号、二〇一九年十二月)

内田裕太(うちだ ゆうた)
桐朋学園大学非常勤講師

大石征也(おおいし せいや)
文学研究家
「寂聴文学私論 追悼を超えて」(『飛行船』第二七号、二〇二二年三月)、「森内俊雄の小説「眉山」精読―定本に至る推敲過程を追って」(徳島県立文学書道館研究紀要『水脈』第十七号、二〇二一年三月)

奥山文幸(おくやま ふみゆき) 
元熊本学園大学教授 
「宮沢賢治と〈動物〉―「フランドン農学校の豚」について―(上)」(「試想」第一〇号、二〇二二年四月)、「明治期における学士の英語教員と教頭職について―夏目漱石を中心として」(「海外事情研究」第四八号、二〇二一年三月)、『渦動と空明 日本近代文学管見』(蒼丘書林、二〇一九年)

姜惠彬(かん へびん)
医療創生大学特任准教授
「偶然とポエジーの探究―横光利一「純粋小説論」を視座として―」(『日本近代文学』一〇一巻、二〇一九年十一月)、「川端康成「散りぬるを」論―昭和初期の物語性の中で―」(『川端文学への視界』三三号、二〇一八年六月)、「川端康成『浅草紅団』論―〈遊戯〉と〈虚構〉を視座として―」(『川端文学への視界』第三一号、二〇一六年六月)

菅野陽太郎(かんの ようたろう)
高崎健康福祉大学講師
「「読むこと」の指導への句読点の応用―川端康成『雪国』の用例の分析から―」(『文藝空間』第十二号、二〇二〇年六月)、「空筆部の距離を中心とした筆順の機能性に関する研究―『筆順指導の手びき』の分析から―」(『書写書道教育研究』第三四号、二〇二〇年四月)

熊澤真沙歩(くまざわ まさほ)
東京外国語大学博士後期課程総合国際学研究科国際日本専攻、日本学術振興会特別研究員D‌C2
「『文芸時代』における表現手段の拡張―演劇から映画へ―」(『文藝空間』第十四号、二〇二二年四月)、「川端康成「禽獣」のモダンダンスと身体―「架空的生命」の創出―」(『国文学言語と文芸』第一三七号、二〇二二年二月)

小池昌代(こいけ まさよ)
詩人・作家
一九五九年東京生まれ。主な著作に、詩集『コルカタ』(萩原朔太郎賞)、『赤牛と質量』、小説集『タタド』(表題作で川端康成文学賞)、『たまもの』(泉鏡花文学賞)、『かきがら』、『ときめき 百人一首』など。

小谷野敦(こやの あつし)
作家、比較文学者
一九六二年茨城県生まれ。東京大学英文科卒。同大学院比較文学比較文化博士課程修了。学術博士。大阪大学言語文化部助教授を務めた。著書に『もてない男』、『聖母のいない国』(サントリー学芸賞)、『川端康成伝 双面の人』、小説に「悲望」「童貞放浪記」(映画化)「母子寮前」「ヌエのいた家」(ともに芥川賞候補)「蛍日和」。

坂元さおり(さかもと さおり)
台湾・輔仁大学日本語文学系副教授
「『ナニカアル』の〈傷痕〉―戦争・植民の「記憶」と「記録」」(『思想』no.1159、二〇二〇年十一月) 、「船戸与一『蝦夷地別件』論―「寛政アイヌの蜂起(メナシ・クナシリの戦い)」を「ハードボイルド・ミステリ」はどう描くか―」(『跨境』九号、二〇一九年)、「生島治郎が描く「傷痕」としての「租借地・上海」―「もう一つの戦後文学」としての「ハードボイルド・ミステリ」―」(『跨境』八号、二〇一九年)

東雲かやの(しののめ かやの)
明治学院高等学校非常勤講師
「〈幽霊〉を語ること―川端康成『無言』論」(『文藝空間』第十二号、二〇二〇年六月)

杉井和子(すぎい かずこ)
元茨城大学教授
「山川方夫の「「夏の葬列」論―自己と対峙する風景」(『成蹊国文』二〇二一年)、「尾崎紅葉における言文一致体の模索とその達成―「をさな心」」(『成蹊大学文学部紀要』二〇二〇年)

高根沢紀子(たかねざわ のりこ)
江戸川大学准教授
編著『〈現代女性作家読本②〉小川洋子』(鼎書房、二〇〇五年)、須藤宏明・髙根沢紀子共編『〈川端康成作品論集成 第3巻〉禽獣・抒情歌』(おうふう、二〇一〇年)、「物語の力―阪田寛夫「桃次郎」」(江戸川大学メディアコミュニケーション学部こどもコミュニケーション学科編『探究―こどもコミュニケーション』北樹出版、二〇二二年)

高橋真理(たかはし まり)
近代文学研究者
「「たんぽぽ」研究史」「「たんぽぽ」研究文献目録」(羽鳥徹哉・林武志・原善編『川端康成作品研究史集成』鼎書房、二〇二〇年)、
「江口渙「太平洋漂流記」―「亜墨新話」から「童話」へ―」(『近代文学研究』Ⅵ、二〇一七年三月)、「久生十蘭「重吉漂流紀聞」から見えてくるもの―「船長日記」をめぐる言説―」(『近代文学研究』Ⅴ、二〇一五年三月)

髙畑早希(たかばたけ さき)
名古屋大学大学院博士後期課程
「一九五〇年代の民話運動―雑誌『民話』をめぐって―」(『人文学フォーラム』第五号、二〇二二年三月)、「戦争記憶を民話として継承するということ―松谷みよ子等による第二次民話運動の頃を中心に」(『戦後日本の傷跡』臨川書店、二〇二二年)、「世間話または現代民話としての「二人の役人」―宮沢賢治の忘れられた民譚をめぐって」(『人文学フォーラム』第三号、二〇二〇年三月)

田尻芳樹(たじり よしき)
東京大学教授
『ベケットとその仲間たち―クッツェーから埴谷雄高まで』(論創社、二〇〇九年)、『カズオ・イシグロと日本―幽霊から戦争責任まで』(共編著、水声社、二〇二〇年)、『三島由紀夫小百科』(共編著、水声社、二〇二一年)など。

谷口幸代(たにぐち さちよ)
お茶の水女子大学准教授
谷川道子・谷口幸代共編著『多和田葉子の〈演劇〉を読む』(論創社、二〇二一年)、羽鳥徹哉・林武志・原善編『川端康成作品研究史集成』(共著、鼎書房、二〇二〇年)

崔順愛(ちぇ すね)
文教大学講師
羽鳥徹哉・林武志・原善編『川端康成作品研究史集成』(共著、鼎書房、二〇二〇年)、秋山駿・原善・原田桂編『三浦哲郎全作品研究事典』(共著、鼎書房、二〇二〇年)、翻訳に『羅聖の空』、『女たちの在日』 『村上春樹超短篇小説案内』など

恒川茂樹(つねかわ しげき)
近代文学研究者
「アフォリズムの教える春樹文学の魅力 付・村上春樹アフォリズム集(その1)」(共著、『文藝空間』第十四号、二〇二二年四月)、「能喩の中の児童文学―村上春樹と児童文学Ⅰ―」(共著、『敬心・研究ジャーナル』第四巻第一号、二〇二〇年六月)、「「海のふた」―ささやかな反乱の〈hajimari〉」(『現代女性作家読本⑬よしもとばなな』鼎書房、二〇一一年)

永栄啓伸(ながえ ひろのぶ)
元智弁学園中学・高等学校教諭
『評伝 谷崎潤一郎』(和泉書院、一九九七年)、『谷崎潤一郎論―伏流する物語』(双文社出版、一九九二年)、『谷崎純一郎試論―母性への視点』(有精堂書店、一九八八年)

西岡亜紀(にしおか あき)
立命館大学教授
「個を持った少女の憂愁 ―『おもひでぽろぽろ』『かぐや姫の物語』の時間の表象」(中丸禎子他編『高畑勲をよむ』三弥井書店、二〇二〇年)、「『日本語』でフィクションを書くという格闘~マチネ・ポエティクと大岡信をつなぐ線」(『昭和文学研究』七八集、二〇一九年三月)、「福永武彦におけるボードレール ―研究と創作のあいだ―」(坂巻康司編『近代日本における象徴主義』水声社、二〇一六年)、『福永武彦論―「純粋記憶」とボードレール』(東信堂、二〇〇八年)など。

乗代雄介(のりしろ ゆうすけ)
作家
一九八六年北海道生まれ、法政大学社会学部メディア社会学科卒業。二〇一五年「十七八より」で第五八回群像新人文学賞受賞。二〇一八年『本物の読書家』で第四〇回野間文芸新人賞受賞。二〇二一年『旅する練習』で第三四回三島由紀夫賞、坪田譲治文学賞受賞。

長谷川徹(はせがわ とおる)
青山学院大学講師
『哲学する漱石 天と私のあわいを生きる』(春秋社、二〇二一年)、「明治文学界の思想的交響圏―満之・漱石・子規の近代」(『清沢満之と近代日本』法蔵館、二〇一六年)、「フォークロアにおける死生の〈物語り〉―『遠野物語』第九九話をめぐって」(『死生学・応用倫理研究』第十九九号、二〇一四年)

原田桂(はらだ かつら)
上武大学専任講師
秋山駿・原善・原田桂編『三浦哲郎全作品研究事典』(鼎書房、二〇二〇年)、「川端康成からの書簡―〈結婚〉を描き続ける三浦哲郎へ」(『文藝空間』第十四号、二〇二二年四月)、「名作再見 三浦哲郎「火の中の細道」」(『季刊文科』第五一号、鳥影社、二〇一一年二月)

平井裕香(ひらい ゆうか)
日本学術振興会特別研究員(PD)
「『雪国』と〈わたくし〉―川上未映子『わたくし率 イン 歯ー、または世界』を通して」(『川端文学への視界』第三七号、二〇二二年六月)、「近さとしての曖昧さ―川端康成「眠れる美女」のリアリティの構成をめぐって」『言語情報科学』第十九号、二〇二一年三月)、「「散りぬるを」研究史」「「散りぬるを」研究文献目録」(羽鳥徹哉・林武志・原善編『川端康成作品研究史集成』鼎書房、二〇二〇年)

深澤晴美(ふかさわ はるみ)
和洋女子大学総合研究機構近代文学研究所上席主任研究員、准教授
『川端康成 新資料による探求』(鼎書房、二〇二二年)、小谷野敦・深澤晴美共編『川端康成詳細年譜』(勉誠出版、二〇一六年)、「川端康成と生方たつゑ・生方記念文庫所蔵資料を踏まえて―「虹いくたび」から『虹ひとたび 能楽幻想』・「冬の虹」へ」(『芸術至上主義文芸』第四七号、二〇二一年十一月)

藤田祐史(ふじた ゆうじ)
金城学院大学准教授
「俳句と疫病―コレラとコロナウイルスの句を読む」(日比嘉高編『疫病と日本文学』三弥井書店、二〇二一年)、「久保田万太郎と関東大震災―俳句を中心に」(『原爆文学研究』第一九号、二〇二〇年一二月)

三浦卓(みうら たく)
志學館大学人間関係学部准教授
千葉一幹ほか編『シリーズ・世界の文学をひらく⑤ 日本文学の見取り図―宮崎駿から古事記まで―』(ミネルヴァ書房、二〇二二年)、「文壇ゴシップを随筆として書くこと―『サンデー毎日』の川端康成―」(『川端文学への視界』第三四号、二〇一九年)、「教室でミステリを考えること―江戸川乱歩「二銭銅貨」を中心に―」(『志學館大学教職センター紀要』二〇一六年)

見田悠子(みた ゆうこ)

ラテンアメリカ文学研究者・非常勤講師(スペイン語、文学)
訳書:サマンタ・シュウェブリン『七つのからっぽな家』(河出書房新社、二〇一九年)、ジョシュ『バイクとユニコーン』(東宣出版、二〇一五年)
論文:「いくつもの世界のひしめく文学」(『ユリイカ』第四六巻第八号、青土社、二〇一四年七月)

李聖傑(り せいけつ)
武漢大学外国語言文学学院教授、院長
『川端康成の「魔界」に関する研究―その生成を中心に―』(早稲田大学出版部、二〇一四年)、「川端康成『舞姫』における『魔』の様相について―占領、舞踊、そして『魔界』―」(『川端文学への視界』二〇一二年六月)

李哲権(り てつけん)
聖徳大学文学部准教授
「隠喩から流れ出るエクリチュール―老子の水の隠喩と漱石の書く行為」(国際日本文化研究センター紀要『日本研究』第四一号、二〇一〇年)、「心をよむ難しさ―漱石の『こころ』を読む」(国際日本文化研究センター紀要『日本研究』第二八号、二〇〇四年)、「漱石とエクリチュール」(国際日本文化研究センター紀要『日本研究』第二七号、二〇〇三年)

李 雅旬(り がしゅん)
浙江大学外国語学院研究員
「言葉と絵のコラボレーション―川端康成『春景色』の再検討―」(『日本近代文学会北海道支部会報』第二二号、二〇一九年五月)、「挿絵から小説へ―川端康成『白馬』論―」(『芸術至上主義文芸』第四三号、二〇一七年十一月)

劉東波(りゅう とうは)
南京大学日本語学科研究員
『井上靖とシルクロード 西域物の誕生と展開』(七月社、二〇二〇年)