竹間芳明『戦国時代と一向一揆』日本史史料研究会ブックス(文学通信)

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6月上旬刊行予定です。

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日本史史料研究会監修・竹間芳明著
『戦国時代と一向一揆』日本史史料研究会ブックス
日本史史料研究会ブックス005
ISBN978-4-909658-55-5 C0221
新書判・並製・272頁
定価:本体1,600円(税別)

高校の日本史の教科書では一向一揆は単にその名称が書かれているだけで、その具体的な内実が説明されることはほとんどなく、仮に説明があったとしても、浄土真宗本願寺派の門徒が中心的な役割を果たした一揆だった、という簡略な記述にとどまることが多い。
しかし、門徒らの行動の源泉は必ずしも信仰にもとづいたものばかりではなかった。
では戦国の時代とほぼ時期が重なる一向一揆とはそもそもどのような闘争で、構成員らを突き動かしていた行動原理とはなんだったのか。

本書は一括りでは捉えきれない一向一揆の多様さと面白さを、地域や時代、そして宗主(八代宗主・蓮如〜十一代宗主・顕如)の変遷とともに追い、明らかにする。一向一揆入門に最適の書。

【一向一揆は、戦国時代の幕開けに活躍した八代宗主蓮如の時代に始まり、戦国末期に織田信長と死闘を繰り広げた十一代宗主顕如の時代に終結する。まさに、戦国時代と一向一揆の時代は、ほぼ重なっているのだが、この間の宗主(蓮如・実如・証如・顕如)の立場や彼らを取り巻く社会情勢は大きく変遷しており、それは一向一揆にも影響を及ぼしている。そのため、各宗主の時代に即した一向一揆について、その特徴を提示しなければならないと考える。】......「はじめに」より





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【著者紹介】

竹間芳明(たけま ほうみん)

1959年生まれ。都立高校教諭。
主な著書・論文に『北陸の戦国時代と一揆』(高志書院、2012年)、「白山麓国境地域の検討―越境する人々―」(『若越郷土研究』58-1、2013年)、「「誠照寺文書」信長朱印状の考察」(『北陸史学』66、2017年)、「本願寺・加賀一揆と上杉謙信―敵対から和睦・提携への道程―」(『戦国史研究』79、2020年)など。

【監修者紹介】

日本史史料研究会

2007年、歴史史料を調査・研究し、その成果を公開する目的で設立。主な事業としては、①定期的な研究会の開催、②専門書籍の刊行、③史料集の刊行を行っている。最近では、一般の方々を対象に歴史講座を開講し、同時に最新の成果を伝えるべく、一般書の刊行も行なっている。会事務所は、東京都練馬区石神井5-4-16 日本史史料研究会石神井公園研究センター。主な一般向けの編著に『信長研究の最前線』(朝日文庫)、『戦国僧侶列伝』(星海社新書)、監修に『戦国時代の天皇と公家衆たち』、『六波羅探題研究の軌跡 研究史ハンドブック』(文学通信)、「南朝研究の最前線(朝日文庫)、『日本史を学ぶための古文書・古記録訓読法』(吉川弘文館)、『戦国期足利将軍の最前線』(山川出版社)、『関ヶ原大乱、本当の勝者』(朝日新書)、『伝奏と呼ばれた人々』、『家司と呼ばれた人々』(ミネルヴァ書房)など。
http://www13.plala.or.jp/t-ikoma/index.html

【目次】
  
はじめに

第一章 蓮如の時代―戦国時代の幕開け 
一、本願寺破却と金森一揆
[山門(延暦寺)による弾圧/史上最初の一向一揆/分かれる金森一揆の解釈]
二、堅田大責
[湖上の権益の没収と奪回/変貌する堅田/堅田門徒間の対立]
三、文明一揆
[吉崎御坊建立/文明六年一揆/蓮如の吉崎退去/山科本願寺・大坂御坊の建立]
四、越中砺波郡一向一揆
[ 「闘諍記」に描かれた一向一揆/石黒氏・惣海寺の滅亡]
五、飛騨白川郷一揆
[照蓮寺と内島氏/一次史料の発見]
六、長享一揆(加賀一向一揆)
[加賀守護富樫氏の実情/加賀の半国守護体制/応仁・文明の乱と加賀/富樫政親への反発/富樫政親滅亡/門徒増大の要因]
七、明応の政変
[細川政元のクーデター/北陸の諸守護の動向/各階層の利害と思惑/郡一揆、細川政元と敵対する/基層の一揆の目的]
八、第一章のまとめ

第二章 実如の時代―宗主による戦闘指令の始まり
一、大坂一乱
[反政元派の巻き返し/細川政元政権の動揺/宗主の動員令が出される/反発する摂津・河内の門徒/本願寺の宿命/親鸞の教説からの乖離]
二、永正一揆―北陸の動乱と一向一揆
[北陸の一揆、政元派として戦う/寺社本所領還付のスローガン/長尾能景の敗死/戦禍を被る住民/一揆、朝倉勢に大敗する]
三、永正の錯乱―細川政元暗殺とその後の権力闘争
[細川政元暗殺/細川高国・大内義興連合政権/ 法義軽視と実利優先の現実/実如の改革/一門一家制/加賀での対立]
四、大永一揆
[長尾為景の越中侵攻/総力戦の指示が下される/法=正義の戦い/対長尾・能登畠山戦/変わらぬ加賀北二郡/実如の憂慮/自立する北二郡/実如の死]
五、第二章のまとめ

第三章 証如の時代―本願寺教団の内紛・本願寺焼亡
一、享禄の錯乱―本願寺教団の最大の内紛勃発す
[超勝寺実顕と下間頼秀の台頭/幕府の権力闘争/加賀一門寺院、本願寺と対立する/加賀一門寺院の没落/三河坊主衆/郡と組の変容]
二、天文一揆―本願寺焼失への道
[証如、細川晴元の要請に応える/堺公方府消滅する/奈良の一揆蜂起/本願寺、細川晴元と敵対する/法華一揆、対本願寺戦に加わる/追い詰められる本願寺/本願寺の焼失/摂津・山城の国人の動向/下間頼盛の立場/摂津での戦い/大坂御坊の攻防戦/細川晴国の戦闘継続/和睦の破棄/戦いの終結/下間頼秀・頼盛兄弟の追放/証如の代償]
三、一揆の余燼と下間頼秀・頼盛兄弟の粛清
[中島門徒、戦闘を継続する/下間兄弟の殺害指令/下間兄弟、殺害される]
四、加賀の統制と金沢御堂建立
[若松方騒動/加賀への統制強化/下田長門成敗指令をめぐる混乱/洲崎兵庫助・河合八郎左衛門の逃亡/山門との交渉/洲崎・河合支持者の存在/尼子氏と洲崎・河合の関係/加賀の抗争の要因/加賀の番衆、大坂寺内で武力行使する/金沢御堂の建立/元加賀一門派・別心衆の赦免/加賀の統制強化の実態]
五、美濃の争乱と一揆
[美濃の番衆、帰国を許可される/多芸一揆への対応/迷走する証如/美濃門徒の巧みな動き]
六、寺内町特権
[半済免除/徳政・諸公事の免除/「大坂並」体制の広がり]
七、第三章のまとめ

第四章 顕如の時代―戦国末期の争乱と大坂退去
一、朝倉氏との攻防と和睦
[朝倉勢の加賀侵攻/和睦をめぐる混乱/朝倉勢、加賀に再侵攻する/本願寺と武田信玄の同盟/筆頭坊官下間頼総の加賀下向/亡命寺院の越前還住]
二、三河一向一揆
[西三河の反家康派蜂起する/三河一向一揆の発端/家康家臣団の分裂/本願寺門末の三河追放/家康、西三河を掌握する]
三、上杉謙信との戦い
[上杉謙信の越中侵攻/神保長職、越中一揆と敵対する/加賀北二郡の越中派兵/日宮城攻防戦/一揆勢の鉄砲の威力/上杉謙信の出馬/上杉謙信、越中東部を征圧する/上杉謙信、越中西部へ侵攻する/上杉謙信、加賀まで侵攻し放火する]
四、石山合戦(対織田戦)
A、対織田戦と近江一揆
[織田信長の征服戦/石山合戦開始/諸国門末の動静/志賀の陣― 朝倉・浅井勢、進軍する/織田信長、危機を脱する/筆頭坊官下間頼総の生害事件/三宅城・金森城の陥落/江北一揆の奮戦/足利義昭の挙兵と降伏、追放/第一次和睦]
B、奥美濃安養寺の動向
[安養寺・遠藤氏と武田信玄/対織田戦の城を構築する/郡上の人質、岐阜で全員処刑される/安養寺、通路封鎖を依頼される/織田信長朱印状と奉書の疑問点/長篠合戦後の郡上/遠藤氏、再び織田方になる/安養寺、教如を支持する/潜伏し続ける安養寺]
C、長島一揆の根切(殲滅)
[長島一揆蜂起する/第一次長島攻撃/第二次長島攻撃/織田信長の憎悪/第三次長島攻撃/長島陥落]
D、越前一揆―一揆の内訌と崩壊過程を追う
[国中の一揆蜂起する/一揆勢、富田長繁と敵対する/国中の一揆の内情/平泉寺焼亡/本願寺坊官、越前を支配する/専修寺賢会の書状/苛立つ賢会/門徒の争奪戦/財施・法施の理論/門徒の抵抗と恐怖政治/意のままにならぬ門徒/越前本願寺政権の内部崩壊/織田信長の越前再征/殲滅戦の状況/一揆蜂起と捕虜の処刑]
E、毛利氏との同盟と雑賀一揆
[足利義昭の策動と毛利氏/雑賀衆、反信長連合に加わる/本願寺包囲戦と第一次木津川口海戦/織田信長の雑賀攻撃/播磨の攻防戦と雑賀衆/荒木村重、本願寺に通じる/荒木村重の有岡城脱出の真相/尼崎城・花熊城と摂津西部の百姓/雑賀の権力闘争/雑賀衆の壊滅]
F、石山合戦の終焉
[上杉謙信、本願寺・加賀一揆と和睦する/加賀一揆の内紛と上杉謙信/上杉謙信、加賀湊川で織田勢を敗る/上杉謙信の急死と織田方の反撃/抗戦を続ける加賀一揆/越中、北信濃の一揆/一向一揆の消滅]
五、第四章のまとめ

おわりに

年表
あとがき