日本史史料研究会監修・神田裕理編『ここまでわかった 戦国時代の天皇と公家衆たち―天皇制度は存亡の危機だったのか? 新装版』日本史史料研究会ブックス(文学通信)

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7月下旬刊行予定です。

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日本史史料研究会ブックス004
ISBN978-4-909658-33-3 C0221 ¥1350E
新書判・並製・288頁
定価:本体1,350円(税別)


戦国時代、朝廷や公家は無力な存在で、単なるお飾りだったのか。
伝統の権威をふりかざしていただけの存在だったのか?
世の中の常識では、戦国時代の朝廷は、室町幕府の衰亡と日本各地の戦乱によって存亡の危機に陥っており、内裏の塀は朽ち果て、貴族たちも貧困に喘ぎ、天皇は、儀式の執行さえままならなかったというイメージが先行しているが、本書はその嘘を覆す。
天皇と貴族たちはこの時期どう生きていたのか。武士たちの陰に隠れ謎に包まれていた朝廷勢力の実像を13のテーマで解明する。
史料は可能な限り意訳し、難解な用語にはふりがなや説明を施しています。
執筆は、渡邊大門、水野智之、神田裕理、生駒哲郎、菅原正子、後藤みち子、木下昌規、遠藤珠紀、久保貴子、中脇聖、大薮海、谷口研語、赤坂恒明の全13名。
なお本書は洋泉社・歴史新書yで2015年に刊行したものを新装版として復刊するものです。





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【監修者紹介】

日本史史料研究会

2007年、歴史史料を調査・研究し、その成果を公開する目的で設立。主な事業としては、①定期的な研究会の開催、②専門書籍の刊行、③史料集の刊行を行なっている。最近では、一般の方々を対象に歴史講座を開講し、同時に最新の成果を伝えるべく、一般書の刊行も行なっている。会事務所は、東京都練馬区石神井5-4-16 日本史史料研究会石神井公園研究センター。主な一般向けの編著に『信長研究の最前線』『秀吉研究の最前線』(洋泉社・歴史新書y)、監修に『日本史を学ぶための古文書・古記録訓読法』(苅米一志著・吉川弘文館)、『戦国期足利将軍研究の最前線』(山田康弘編・山川出版社)、『関ヶ原大乱、本当の勝者』(白峰旬編・朝日新書)がある。
http://www13.plala.or.jp/t-ikoma/index.html

【編者紹介】

神田裕理(かんだ・ゆり)

一九七〇年東京生まれ。日本女子大学大学院文学研究科史学専攻博士課程後期満期退学。元京都造形芸術大学非常勤講師。主な著書に、『戦国・織豊期の朝廷と公家社会』(校倉書房、二〇一一年)、『戦国・織豊期朝廷の政務運営と公武関係』(日本史史料研究会、二〇一五年)、『朝廷の戦国時代ー武家と公家の駆け引きー』(吉川弘文館、二〇一九年)、編著に『伝奏と呼ばれた人々ー公武交渉人の七百年史ー』(ミネルヴァ書房、二〇一七年)などがある。


【目次】

はじめに―時代に必要とされていた天皇と公家衆たち(神田裕理)
影の薄い天皇と公家衆/本書の構成/本書の特徴

・天皇家略系図
・足利氏(室町幕府将軍家)家系図
・戦国〜織豊期、堂上公家の家格と官職相当表

第1部 必死に天皇を守る公家衆たち

1 儀式や政務にこだわり時間を支配した天皇【即位式・改元・大嘗祭】(渡邊大門)
多岐にわたる天皇の業務/即位式の実際/財政難と人材不足/朝儀の執行/後柏原の執念/改元の仕組み/改元の手続き/提示された疑問/尊号の授与/勅願寺の指定/大嘗祭が行えない理由/綸旨の発給/難しい行事の遂行

2 禁裏で天皇を警護する公家たち【家門の維持・幕府との分担】(水野智之)
応仁の乱と天皇・公家/戦国時代の朝廷と公家/公家の存続をめぐって/公家への家門安堵/戦国時代の家門安堵/朝廷の警固と「禁裏小番」/内々と外様/伝奏の職務と動向/足利義昭・織田信長の上洛と天皇・公家/織豊期の公家の家領と家業

3 公家の女性が支える天皇の血脈維持【後宮女房の役割】(神田裕理)
素朴な疑問/「正妻」のいない天皇/後宮女房たちの横顔/後宮女房のはたらき①―朝廷内部での仕事/後宮女房のはたらき②―朝廷外部との折衝/1.「女房奉書」の発給と取次役/2.収支の管理/3.使者としての派遣/後宮女房への手当/後宮女房の一生/天皇を支えた女性たち

4 世俗権力に左右される門跡寺院【門主は天皇家・公家・武家の子弟】(生駒哲郎)
時の権力者と門跡/摂関家・征夷大将軍と門跡/醍醐寺三宝院門跡の系譜/義演は門跡をどうとらえていたのか/興福寺一乗院と近衛家/法親王と門跡/江戸幕府と門跡/延暦寺から寛永寺へ/武家の動向と門跡寺院

第2部 家門・一族の存続をはかる公家たちの知恵

5 公家の生活基盤を支えていたものは何か【荘園経営と公家の家僕】(菅原正子)
戦国時代の荘園/山科家領の荘園の場合/京都近郊の荘園の経営―山城国山科東荘/地方荘園の経営―播磨国下揖保荘/和泉国日根荘に在国した九条政基/若狭国名田荘に在国した土御門有春・有脩/荘園の消滅

6 武家も重宝した公家の「家業」とは?【装束の家・和歌の家】(後藤みち子)
公家の家業成立と近世への展開/山科言国と装束の家の成立/山科言継と装束調製の覚書/山科言経・言緒と家業の発展/戦国時代の家業から近世の法令へ/三条西実隆と和歌の家の成立/細川幽斎と古今伝授/八条宮智仁親王の活動/和歌の家確立から天皇の教養へ/天皇・親王・公家の役割

第3部 武家とともに時代を動かした天皇・公家

7 将軍家と天皇家の二つの主人をもつ公家衆がいた【室町幕府と公家衆の関係】(木下昌規)
将軍家と公家衆の従者/「武家昵近公家衆」とは何か(①昵近衆の家②戦国期の昵近衆と側近公家衆③将軍の政務運営と昵近衆)/将軍家の縁戚(①将軍家と日野家②足利義政と日野勝光③将軍家と近衛家)/将軍と公家衆との関係の終焉

8 朝廷官位を利用しなかった信長、利用した秀吉【天下人の政治支配】(遠藤珠紀)
急速に進む研究/官位叙任の儀式/武士と官位/(1)信長と朝廷官位(信長の官位認識/右大将任官/官人たちへの御訪/右大臣任官と辞官/三職推任)/(2)秀吉と朝廷官位(秀吉の急速な官位上昇/座次相論と秀吉の裁定/豊臣への改姓/「豊臣」秀吉政権のお披露目)/おわりに

9 豊臣時代からじょじょに朝廷に食い込む家康【近世朝廷・公家再生への道】(久保貴子)
叙爵と改姓/家康の献金/秀吉政権下の家康/後陽成天皇の譲位発言/譲位無用へ/儲君は良仁親王か三宮か/家康と昵近衆

第4部 「戦国領主」化した貴族たちの戦い

10 摂関家の当主自らが土佐国に下向する【土佐一条氏】(中脇 聖)
摂関家一条氏と土佐一条氏/土着した理由/朝廷・公家衆とのかかわり/土佐一条氏と伊予西園寺氏/土佐一条氏は武家化したのか/「両面性」を有した存在

11 中流公家が国司となって飛騨に土着したが...【飛騨姉小路氏】(谷口研語)
姉小路三家と飛驒の諸勢力/文明飛驒の乱/台頭する三木氏/三家の抗争と三木氏の介入/三木直頼没後の戦乱/三木氏、飛驒国司家を乗っ取る/京都の自綱と信長/姉小路自綱の飛驒統一と滅亡

12 幕府から武力を期待された公家衆【伊勢北畠氏】(大薮 海)
忘れ去られた存在/伊勢北畠氏の初代は誰か/南北朝期の北畠氏/「知行主」北畠氏/二度の反乱と恭順/政具・政郷・政勝/応仁・文明の乱と北畠氏/描き直された肖像画/逸方・具方(材親)の二頭体制/明応の内乱/足利義材派としての活動/安定から滅亡へ/公家衆としての意識

13 最北の地に栄えた"南朝北畠系"の堂上公家【奥州浪岡氏】(赤坂恒明)
尊称は「浪岡御所」/浪岡氏の出自/浪岡氏の祖の浪岡移住/北日本地域に君臨する浪岡氏/浪岡氏三代の叙位・任官/一次史料による浪岡氏(波岡家)に関する新出情報/津軽における浪岡具永・具運の社寺再興/「川原御所事件」と浪岡氏の衰退/『補略』の記載に関する諸問題/浪岡御所の一族・親類/浪岡氏の分家の家格/浪岡御所の滅亡と津軽氏・安藤(秋田)氏/滅亡後に四散した一族/浪岡氏の経済活動と文化生活

あとがき
新装版あとがき
執筆者紹介
編者紹介
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