星槎グループ[監修]飯倉洋一・日置貴之・真山蘭里[編]『真山青果とは何者か?』(文学通信)

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7月下旬の刊行予定です。

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星槎グループ[監修]飯倉洋一・日置貴之・真山蘭里[編]
『真山青果とは何者か?』(文学通信)
ISBN978-4-909658-15-9 C0095
A5判・並製・272頁
定価:本体2,800円(税別)





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元禄忠臣蔵の作者、真山青果。その驚くべき全貌を初めて明らかにする書。
あまりに理屈っぽく長大な台詞、「暗い」人間認識は、今日の観客からは敬遠されるのかもしれない。
しかし、こうした苦悩を描いた点にこそ、青果が昭和初期の大劇場を代表する劇作家として広く支持された理由があったのではないか。
孤独感や人生のままならなさは、現代の人間にとってもけっして無縁のものでななかろう--。
劇作家、小説家、研究者等、容易に捉えきれない様々な顔を持つ青果に、改めて光を当て、その全貌に迫る。

全貌を照らすべく、全体を「交友関係」「小説家・研究者」「劇作家」「青果作品小事典」「ビジュアルガイド」にわけ構成。「交友関係」では「真山青果の交友関係見取り図」を掲載。文壇、劇壇、近世文学研究の交流マップとしました。中村梅玉氏出席の【座談会】青果劇の上演をめぐっても収録し、演者からの視点も取り込み、ぼんやりとしていた真山青果像の輪郭を捉えます。

執筆は、飯倉洋一、日置貴之、真山蘭里、青木稔弥、青田寿美、有澤知世、井上泰至、大橋幸泰、神山 彰、熊谷知子、河野光将、後藤隆基、高野純子、寺田詩麻、仲 沙織、丹羽みさと、広嶋 進、福井拓也、宮本圭造、村島彩加、山中剛史、中村梅玉、織田紘二、中村哲郎、桑原寿紀の全25名。

○真山青果の台詞から
「恐れても恐るべきものは、人間、自分を赦しあまやかすと云ふ感情だ。年月を経る......、人は忘れる......、おれのやうな弱い者は、時に自分の過失を赦し、忘れようとする......場合がないとも限らん。おれは終生自分と戦ひ、自分を苦しめ、自分を虐げ、自己心中の賊を退治しなければならない。それがおれの一生の修行だ、おれが一生の......練習なのだ。」
『乃木将軍』初篇第一幕その二(『真山青果全集』第14巻)より

「おれは何日も、自分の議論が、流動し漂うてゐなければ不安でならない。議論が一に決定し固着する時、最も恐ろしい時と思ってゐる。天文に見ても、地球は自らを回転させつゝ、太陽の周囲を公転してゐる。時候に見れば、春に向ふ冬は、三寒四温の順序を繰り返しつゝその節に進んでゐる。ものはみな流動のなかに進歩をとってゐる。」
『坂本龍馬』第一幕・その二(『真山青果全集』第7巻)より

発行、星槎グループ。編集・制作・発売、文学通信。


【編者紹介】

[監修者]
星槎グループ(せいさぐるーぷ)
「共生社会の創造」を目的として、幼稚園から大学院をはじめ、その学びにつながるさまざまな法人を全国に展開。現行の学びだけに囚われず、社会に必要とされる新しい学びや、その人に必要な学びを創造し、0歳から90歳まで約35,000人が学ぶ。グループ全体を貫く共生理念、星槎の3つの約束「人を認める・人を排除しない・仲間を作る」の日常的な実践と、共感理解教育「身近なところから学ぶ・命のつながりを学ぶ・仲間と共に学ぶ」の学習環境における実践を通して、社会と共同した未来創造に挑み続けている。https://www.seisagroup.jp/about/group

[編者]
飯倉洋一(いいくら・よういち)
大阪大学教授。専門は日本近世文学。著書に『秋成考』(翰林書房、2005年)、『上田秋成 絆としての文芸』(大阪大学出版会、2012年)、『前期読本怪談集』(校訂代表、国書刊行会、2017年)、『文化史のなかの光格天皇 朝儀復興を支えた文芸ネットワーク』(共編、勉誠出版、2018年)など。

日置貴之(ひおき・たかゆき)
白百合女子大学准教授。専門は日本近世演劇(歌舞伎)。著書に『変貌する時代のなかの歌舞伎 幕末・明治期歌舞伎史』(笠間書院、2016年)、論文に「河竹黙阿弥作「水天宮利生深川」における新聞の機能」(『演劇学論集 日本演劇学会紀要』62、2016年5月)など。

真山蘭里(まやま・らんり)
真山青果の長女、真山美保が創立した劇団 新制作座代表。3歳で初舞台。真山美保作・演出『泥かぶら』の三郎兵衛、真山青果作『坂本龍馬』の高松太郎等を演じ、現在は『泥かぶら』の老爺と太郎兵衛の二役を演じている。舞踊名 藤間晃保として新制作座の研修生の日本舞踊の指導に当っている。

【目次】

監修者まえがき(星槎グループ会長 宮澤保夫)
真山青果とは何者か(日置貴之)

1 交友関係

真山青果の交友関係見取り図
[ひとびと]青果の多彩なる人脈(青木稔弥)

2 小説家・研究者

[小説家]青果と国木田独歩(高野純子)
[研究者]青果の西鶴研究(広嶋 進)
[研究者]真山青果の「切支丹屋敷」研究とシドッチ(大橋幸泰)

3 劇作家

[総説]多面的劇作家としての青果─多彩な人物像(神山 彰)
[元禄忠臣蔵]サムライの文学の伝統と近代─真山青果「大石最後の一日」(井上泰至)
[元禄忠臣蔵]『元禄忠臣蔵』の「歴史的真実」─徳川綱豊の演能場面とその虚実(宮本圭造)
[明治から見る]明治維新劇の系譜における青果(日置貴之)
[近代から見る]三島由紀夫からみた青果(山中剛史)
[現代から見る]【座談会】青果劇の上演をめぐって(中村梅玉・神山 彰・中村哲郎・日置貴之・織田紘二)
   * * *
[真山家のその後]【インタビュー】真山家と新制作座の現在(真山蘭里・桑原寿紀)

4 青果作品小事典--戯曲・小説・評論・研究

01 南小泉村/02 敗北者/03 茗荷畑/04 第一人者/05 市川左団次氏に与ふ/06 癌腫/07 家鴨飼/08 喜多村緑郎/09 新しき種子を播け/10 五人女/11 松井須磨子の芸/12 七色珊瑚/13 椀屋久兵衛/14 酒中日記/15 仮名屋小梅/16 歴史小説の本領について/17 西鶴置土産/18 浅草寺境内/19 玄朴と長英/20 平将門/21 随筆滝沢馬琴/22 富岡先生/23 仙台方言考/24 江戸城総攻/25 小判拾壱両/26 桃中軒雲右衛門/27 坂本龍馬/28 颶風時代/29 井原西鶴の江戸居住時代/30 乃木将軍/31 血笑記/32 江藤新平/33 頼朝の死/34 荒川の佐吉/35 新門辰五郎/36 八百屋お七/37 元禄忠臣蔵 大石最後の一日/38 樽屋おせん/39 元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿/40 西鶴語彙考証(丹羽みさと・日置貴之・有澤知世・熊谷知子・河野光将・後藤隆基・寺田詩麻・仲 沙織・福井拓也・村島彩加)

5 ビジュアルガイド--画像で辿る真山青果(青田寿美編)

附録 真山青果略年譜

本書成立の経緯─あとがきに代えて(飯倉洋一)
あとがき(真山蘭里)

執筆者一覧


【執筆者一覧】

●編著者
飯倉洋一・日置貴之・真山蘭里→上記参照

●執筆者(五十音順)1=所属(専門) 2=著作等

青木稔弥(あおき・としひろ)
1 神戸松蔭女子学院大学教授(日本小説史) 
2 新日本古典文学大系 明治編第18巻『坪内逍遙・二葉亭四迷集』(岩波書店、二〇〇二年)、「ゆっくりとおやすみになって下さい─うさぎとかめの話─」(『文学史研究』45、二〇〇五年三月)、「明治時代の西鶴復興」(『近代文献調査研究論集』2、二〇一七年三月)

青田寿美(あおた・すみ)
1 国文学研究資料館・総合研究大学院大学准教授(日本近代文学)
2 「『鷗外全集』第三十五巻 日記索引(人名篇)」(『森鷗外研究』9、和泉書院、二〇〇二年)、「書物を隅々まで〈読む〉─「近代書物流通マップ」「蔵書印データベース」のビジョン」(『人文情報学月報』79【前編】、二〇一八年二月)他、科学研究費補助金等による構築データベースに「明治期出版広告データベース」「蔵書印データベース」「近代書物流通マップβ版」

有澤知世(ありさわ・ともよ)
1 国文学研究資料館特任助教(日本近世文学、特に江戸戯作) 
2 「京伝作品における異国意匠の取材源─京伝の交遊に注目して─」(『近世文藝』104、二〇一六年七月)、「山東京伝の考証と菅原洞斎─『画師姓名冠字類鈔』に見る考証趣味のネットワーク」(『国語国文』86─11、二〇一七年十一月)、「文化五年─異国情報と尚古 知のダイナミズム」(鈴木健一編『輪切りの江戸文化史─この一年に何が起ったか?』勉誠出版、二〇一八年) 

井上泰至(いのうえ・やすし)
1 防衛大学校教授(日本近世文学・近代俳句・日本思想)
2 『近世刊行軍書論』(笠間書院、二〇一四年)、『子規の内なる江戸』(角川学芸出版、二〇一一年)、『近世日本の歴史叙述と対外意識』(編著、勉誠出版、二〇一七年)

大橋幸泰(おおはし・ゆきひろ)
1 早稲田大学教授(日本近世史)
2 『潜伏キリシタン 江戸時代の禁教政策と民衆』(講談社、二〇一四年)、『近世潜伏宗教論─キリシタンと隠し念仏』(校倉書房、二〇一七年)

神山 彰(かみやま・あきら)
1 明治大学教授(近代日本演劇) 
2 『河竹黙阿弥集』(共編、岩波書店、二〇〇一年)、『近代演劇の来歴』(森話社、二〇〇六年)、『近代演劇の水脈』(同、二〇〇九年)

熊谷知子(くまがい・ともこ)
1 明治大学兼任講師(近代日本演劇) 
2 「小山内薫と晩年の偉人劇─『森有礼』『戦艦三笠』『ムッソリニ』」(神山彰編『交差する歌舞伎と新劇』森話社、二〇一六年)、「小山内薫『第一の世界』論─宗教信仰と心霊主義をめぐって」(『演劇学論集』62、二〇一六年五月)他

河野光将(こうの・みつまさ)
1 大阪府立大学客員研究員(国語学) 
2 「『紐鏡』『玉緒』再考」(『鈴屋学会報』32、二〇一五年十二月)、「近世後期係り結び研究史─『てにをは紐鏡』『詞玉緒』の受容と展開─」(『待兼山論叢』49、二〇一五年十二月)、「『詞玉橋』の学説展開について─北野天満宮本『詞玉橋』の特徴─」(『語文』108、二〇一七年六月)

後藤隆基(ごとう・りゅうき)
1 早稲田大学坪内博士記念演劇博物館助教(近現代日本演劇・文学・文化)
2 『高安月郊研究─明治期京阪演劇の革新者』(晃洋書房、二〇一八年)、「企業が〈演出〉する渋谷の劇場文化」(神山彰編『興行とパトロン』森話社、二〇一八年)、「占領期東京の小劇場・軽演劇・ストリップ」(井川充雄・石川巧・中村秀之編『〈ヤミ市〉文化論』ひつじ書房、二〇一七年)など

高野純子(たかの・じゅんこ)
1 国文学研究資料館 管理部学術情報課 非常勤職員(日本近代文学) 
2 安藤宏編『日本の小説101』(新書館、二〇〇三年)所収「国木田独歩 春の鳥」「金達寿 玄海灘」「小島信夫 抱擁家族」「司馬遼太郎 空海の風景」、「『奇警』なる表現との出会い─花袋とThérèse Raquin英訳本─」(『田山花袋記念文学館研究紀要』28、二〇一六年三月)、花袋研究学会編『田山花袋「近代の小説」注釈書』(花袋研究学会、Ⅰ巻 二〇一六年、Ⅱ巻 二〇一七年既刊。全三巻刊行予定)

寺田詩麻(てらだ・しま)
1 龍谷大学文学部講師(近代の歌舞伎) 
2 『歌舞伎登場人物事典』(共著、白水社、二〇〇六年)、「歌舞伎の映画─記録の側面を中心に」(『能・狂言映像史研究序説 啓蒙・教育映画《Noh Drama》《狂言》を中心に』武蔵野大学能楽資料センター・二〇一六年)、「歌舞伎座そして田村成義」(『興行とパトロン 近代日本演劇の記憶と文化 七』森話社、二〇一八年)

仲 沙織(なか・さおり)
1 佛教大学非常勤講師(日本近世文学)
2 「「執心」への対処をめぐる物語─『新可笑記』巻四の一「舟路の難義」考─」(『語文』100・101、大阪大学国語国文学会、二〇一三年十二月)、「『新可笑記』の描く「油断」─巻五の二「見れば正銘にあらず」考─」(『近世文藝』99、日本近世文学会、二〇一四年一月)、「『新可笑記』における〈眼〉の機能」(『待兼山論叢』50、大阪大学文学会、二〇一六年十二月)

丹羽みさと(にわ・みさと)
1 立教大学江戸川乱歩記念大衆文化研究センター助教(日本近世・近代文学)
2 「江戸川乱歩の半生と近世資料」(『立教大学日本文学』95、二〇〇五年十二月)、「山崎紫紅の八百屋お七─戯曲「お七吉三涙橋」の趣向と反応─」(『国語国文』85─10、二〇一六年十一月)、「真山青果の『好色五人女』解釈─八百屋お七の「匂い」─」(『立教大学日本文学』118、二〇一七年七月)

広嶋 進(ひろしま・すすむ)
1 神奈川大学教授(井原西鶴研究) 
2 『西鶴研究 町人物の世界』(ぺりかん社、二〇〇四年)、『大晦日を笑う 『世間胸算用』』(清文堂、二〇〇五年)、 『西鶴新解 色恋と武道の世界』(ぺりかん社、二〇〇九年)

福井拓也(ふくい・たくや)
1 東京大学大学院博士課程(日本近代文学)
2 「久保田万太郎「朝顔」論」(『国語と国文学』二〇一六年十二月)

宮本圭造(みやもと・けいぞう)
1 法政大学能楽研究所教授(能楽史)
2 『上方能楽史の研究』(和泉書院、二〇〇五年)、『近代日本と能楽』(編著、法政大学能楽研究所、二〇一七年)、『金春家文書の世界』(編著、同、二〇一七年)など

村島彩加(むらしま・あやか)
1 明治大学兼任講師(近代日本演劇)
2 「近代歌舞伎と宝塚歌劇の交流」(吉田弥生編著『歌舞伎と宝塚歌劇─相反する、密なる百年』開成出版、二〇一四年)、「表情をめぐる冒険─明治時代末期、新旧俳優の挑戦と挫折─」(神山彰編『交差する歌舞伎と新劇』森話社、二〇一六年)

山中剛史(やまなか・たけし)
1 中央大学大学院文学研究科兼任講師(近代文学〈三島由紀夫、谷崎潤一郎〉)
2 『決定版三島由紀夫全集42年譜・書誌』(共著、新潮社、二〇〇五年)、『混沌と抗戦─三島由紀夫と日本、そして世界』(共編著、水声社、二〇一六年)、『谷崎潤一郎と書物』(秀明大学出版会、近刊)など

座談会
中村梅玉(なかむら・ばいぎょく)
歌舞伎俳優。屋号は高砂屋。立役。六代目中村歌右衛門の養子となり、昭和31年、初舞台。平成4年、四代目中村梅玉を襲名。

中村哲郎(なかむら・てつろう)
演劇評論家・歌舞伎研究家。著書に『歌舞伎の近代』(2006年、岩波書店)、『花とフォルムと』(2011年)ほか。戯曲に『天壇の西太后』。

織田紘二(おりた・こうじ)
日本芸術文化振興会(国立劇場)顧問。昭和42年以来、国立劇場で歌舞伎や新派・古典芸能の制作・演出に携わる。著書に『芸と人』(2011年、演劇出版社)ほか。

インタビュー
桑原寿紀(くわはら・としのり)
1‌9‌6‌7年生まれ。星槎グループ副本部長。星槎グループ会長・宮澤保夫の命により、公益財団法人新制作座文化センターの整理及び劇団の存続そして施設の学校化にあたる。現在、星槎湘南大磯キャンパス勤務。