堀川貴司『詩のかたち・詩のこころ―中世日本漢文学研究―【補訂版】』(文学通信)

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5月下旬刊行予定です。

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ISBN978-4-86766-011-9 C0095
A5判・上製・448頁
定価:本体10,000円(税別)

日本の文学表現に漢文学が果たした役割とは。
「院政期から鎌倉時代にかけて、日本漢詩を特徴づけるのは、句題詩と無題詩という二つの詠法である――」という一文ではじまる、日本中世漢文学研究における名著の補訂版。

そのときどきに中国文学の新たな潮流を受け止めた日本の漢文学は、それらを血肉として、より広いジャンルへその栄養を供給していく。その営為こそが、それぞれの時代の日本文学の「全き姿」である。本書は、日本の文学表現の源流を丁寧に掘り起こしていくものである。

本書は2006年に若草書房より刊行された『詩のかたち・詩のこころ―中世日本漢文学研究―』の補訂版です。

【句題詩に代表される平安漢文学の成果が、中世文学の豊かな表現の一源泉となったように、禅林の文学もまた、次代の文学、仮名草子・俳諧に始まる近世文学の中に入り込んでいく。これには、中世にはなかった要素、すなわち商業出版の発達も大きく貢献している(本書第一八章・第一九章参照)。
 このようにそのときどきに中国文学の新たな潮流を受け止めた日本の漢文学は、それをよく咀嚼し(初学書を中心とした読解・注釈)、自分たちの血肉として(詩文の創作)、より広いジャンルへとその栄養を供給していった。それらの営為を含めた文学活動の総体こそが、それぞれの時代の日本文学の全き姿なのである(本書第一五章・第一九章参照)。】......「総説」より





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【著者紹介】

堀川貴司(ほりかわ・たかし)

1962年、大阪府生まれ。
東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。
東京大学(助手)、帝京平成大学、愛知県立女子短期大学・愛知県立大学、国文学研究資料館、鶴見大学を経て、現在、慶應義塾大学附属研究所斯道文庫教授。博士(文学)。
著書に『瀟湘八景―詩歌と絵画に見る日本化の様相』(臨川書店、2002)、『詩のかたち・詩のこころ―中世日本漢文学研究―』(若草書房、2006)、『書誌学入門 古典籍を見る・知る・読む』(勉誠出版、2010)、『五山文学研究―資料と論考』(笠間書院、2011)、『続 五山文学研究―資料と論考』(笠間書院、2015)等がある。

【目次】

総説 中世漢文学概観――詩を中心に――
一 句題詩をめぐって
二 鎌倉時代の漢文学
三 禅林の文学
(一)鎌倉から室町へ
(二)日本化の時代
(三)文化の広がり
(四)二つの視点から――その一、『三体詩』をめぐって
(五)二つの視点から――その二、一休という問題
(六)禅林という場
四 漢文学の役割

第一部 院政期・鎌倉時代

第一章 句題詩の詠法と場
第二章 『本朝無題詩』試論――句題詩との対比から――
第三章 『元久詩歌合』について――「詩」の側から――
第四章 新古今時代の漢文学――真名序を中心に――
第五章 『真俗擲金記』小論
第六章 詩懐紙通観

第二部 南北朝・室町時代

第七章 瀟湘八景詩について
第八章 足利直義――政治・信仰・文学――
第九章 「等持院屏風賛」について
第一〇章 「大慈八景詩歌」について
第一一章 絶海中津小論
第一二章 『狂雲集』小論
第一三章 『自戒集』試論――詩と説話のあいだ――
第一四章 『三体詩』注釈の世界
第一五章 『新選集』『新編集』『錦繍段』
第一六章 中世禅林における白居易の受容
第一七章 『倒痾集』試論
第一八章 こぼれ咲きの花々――禅林ゆかりの小作品群――
第一九章 中世から近世へ――漢籍・漢詩文をめぐって――

再刊に際しての補足(初版訂正およびその後の研究状況について)

あとがき
補訂版あとがき

初出一覧
索引