日本演劇学会2018年度1月例会 パネルディスカッション「演劇にみる《王の二つの身体》―軍神,天皇,Kaiserin―」(2019年1月12日14時~18時、成城大学3号館1F 311教室)

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研究会情報です。

●公式サイトはこちら
http://www.jstr.org/project/pro02/project_d_02.html

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※要旨等、詳細は上記サイトへ。

【エルンスト・H・カントーロヴィチは,著書King's Two Bodiesにおいて,国王における「自然的身体(ボディ・ナチュラル)」と「政治的身体(ボディ・ポリティック)」の共存とその緊張関係をヨーロッパ中世政治神学の視点から考究した.「自然的身体」とは人間としての身体であり,可視的であり,病みもすれば死も迎える.他方,「政治的身体」とは象徴としての身体であり,不可視的であり,不変,不死の身体である.この二つの身体は,自然的身体の中に象徴的身体が含まれたり,また逆の形をとったり,あるいは並行しつつも儀式,衣装,所作,用語法など演劇的振舞いに媒介されて一時的に統合されたりする.しかし,その一方が「自然的身体」である以上,この二つの身体は,国王の退位や死によって分離し,新国王において,新たに再構成されることになる.平成の天皇が退位によって(生きたまま)政治的身体を失う(かもしれない)今日の日本において,この問題は演劇学がその独自の視点から考究すべき問題であろう.このパネルでは,象徴的身体はどのように成立しているのか? 自然的身体と象徴的身体はどのような関係において表象されるのか? 自然的身体と象徴的身体を媒介している演劇的メカニズムはどのようなものか? といった問題について,演劇というレンズを通して考えてみたい.
本パネルは,萩原健,宮川麻理子,田中里奈,熊谷知子,稲山玲,小菅隼人(代表)をメンバーとするJapanese Bodies / Royal Bodies 研究グループの一つの活動として行われる.小菅(司会)の趣旨説明の後,熊谷知子,稲山玲,田中里奈がそれぞれの視点から発表を行い,萩原健がディスカッサントとして論点を明確化する.その後,フロアに開きこの問題について議論を行いたい.この研究グループは,萩原,田中,宮川,小菅によって,国際演劇学会(IFTR)および国際パフォーマンス・スタディーズ学会(PSi)で既に3回の発表を行い,成果を『西洋比較演劇研究』(第17巻1号,2018)に公開した.さらに新たに熊谷,稲山を迎えて後,数回の打ち合わせ討論を行った.今回の発表にあたっては,カントーロヴィチ『王の二つの身体』(平凡社)とT・フジタニ『天皇のページェント―近代日本の歴史民族誌から』 (NHKブックス)を共通テキストとして,三人の発表者がそれぞれの専門分野を題材として発表を組み立てている.なお,この発表で言う「ロイヤル・ボディ」とは,狭い意味での国王に限らず,軍神や皇女を含めて,なんらかの意味で権威(Authority)を持ち,象徴的存在となっている身体を指している.(小菅隼人)】

パネルディスカッション
「演劇にみる《王の二つの身体》―軍神,天皇,Kaiserin―」

日時 2019年1月12日14時~18時
会場 成城大学3号館1F 311教室

コーディネーター・司会:小菅隼人(慶應義塾大学)
コーディネーター・ディスカッサント:萩原健(明治大学)
発表①:熊谷知子「「軍神」の二つの身体―眞山青果『乃木将軍』を中心に―」
発表②:稲山玲「戦後日本演劇における天皇の身体表象 野田秀樹作品を中心に」
発表③:田中里奈「皇后・王妃の身体表象の多重性,または宝塚化されたKaiserin/Queen」