伴野文亮・渡辺尚志編『金原明善 日本の〈偉人〉を捉えなおす』(文学通信)

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2023年12月下旬刊行予定です。

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伴野文亮・渡辺尚志編『金原明善 日本の〈偉人〉を捉えなおす』(文学通信)
ISBN978-4-86766-028-7 C0020
四六判・並製・208頁
定価:本体2,000円(税別)


ひとりの歴史上の人物〈偉人〉をどう捉えなおすのか。
本書は、地域史の視座から〈偉人〉金原明善(きんぱらめいぜん)を捉えなおし、さまざまな視座から、近世・近代転換期日本における地域史像を豊かにしていく。その人物の辞書的記述だけではわからない、知られていないさまざまな〈顔〉をどう探すのか。
そのために本書は以下、3つの点に重点を置く。1つは明善の活動を、一人の偉人が自己の理想を一筋に貫いていく過程と捉えるのではなく、当時の全国的な政治・経済・社会状況や、周囲の多くの人々との相互関係のなかに位置づけようとしたこと。2つ目は明善と金原家のこれまであまり知られてこなかった側面に光を当てようとしたこと。3つ目は明善を長い時間軸のなかに置いて見直したこと、以上である。
金原明善から人物・地域史の可能性をどう切り拓いていけるか。〈偉人〉はどう捉えなおせばいいか。根源的に考える。執筆は、伴野文亮・渡辺尚志・伊故海貴則・棚井仁・高柳友彦・佐藤敏彦・井口裕紀・浜名高校史学部(畑陽日希・伊藤晴信・森下陽斗)・武田真幸。





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【編者紹介】

伴野文亮(ともの・ふみあき)

1989年生まれ、静岡県出身。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了、博士(社会学)。鹿児島大学法文学部附属「鹿児島の近現代」教育研究センター特任准教授。専門は19世紀日本史、書籍文化史。著書に『日本学の教科書』(共編著、文学通信、2022年)、「摩訶庵蒼山追善句集『しら露集』にみる明治期「旧派」の位相―俳諧と「教化」の関係に着目して」(『連歌俳諧研究』第144号、2023年)、「金原明善研究の課題と展望」(『静岡県近代史研究』第48号、2023年)など。

渡辺尚志
(わたなべ・たかし)

1957年生まれ、東京都出身。東京大学大学院博士課程単位取得退学、博士(文学)。一橋大学名誉教授、松戸市立博物館長。専門は日本近世村落史。著書に『近世の村と百姓』(勉誠出版、2021年)、『川と海からみた近世』(塙書房、2022年)、『藩地域論の可能性 信濃国松代藩地域の研究Ⅶ』(岩田書院、2023年)など。

【目次】

はじめに―〈偉人〉の全貌を明らかにするには ●伴野文亮 
 一 金原家文書の一枚の写真から 
 二 明善の複数の〈顔〉 
 三 本書の構成 

第1章 金原明善とは何者か ●伴野文亮 
 一 はじめに 
 二 金原明善の人物像 
 三 明善の〈偉人〉化とその受容 
 四 金原明善の研究史と今後の課題 

第2章 江戸時代からみた金原明善―近世・近代の転換期から見直す ●渡辺尚志
 一 はじめに 
 二 近世の安間村と金原家 
(一)安間村とはどういう村か/(二)水害に苦しむ/(三)金原家とはどういう家か
(四)金原家の政治的位置/(五)明善、名主になる
 三 近世における天竜川の水防・治水 
(一)水防・治水組合の結成/(二)広域水防組合の結成
(三)治水の面におけるさまざまな取り組み/(四)請負という方式/(五)幕末の状況
 四 おわりに─明治初年の明善 

第3章 天竜川地域からみた治河協力社―「地域」の集団と個人から捉える ●伊故海貴則 
 一 はじめに 
 二 明善の治水論 
 三 村との関係 
 四 同職団体との関係―材木商会を事例に 
 五 広域地域団体(小区)との関係 
 六 水防組合の形成へ 
 七 おわりに 

第4章 銀行家としての金原明善―東里為換店の経営実態からせまる ●棚井仁 
 一 はじめに 
 二 銀行家としての金原明善 
 三 天竜川治水事業における資金調達 
 四 おわりに 

コラム(1) 地方名望家・資産家としての金原明善―地域経済史研究から紹介する ●高柳友彦 
 一 地方名望家としての金原明善 
 二 資産家・企業家と地域経済  
 三 今後の金原明善研究と地域 

第5章 農業経営の改革を担った金原農場蔬菜部―明治末期の野菜栽培を描き出す ●佐藤敏彦 
 一 はじめに 
 二 蔬菜部による野菜栽培の概要―売上帳の記録を中心に 
(一)蔬菜部の月別売上高/(二)蔬菜部の品種別売上高
 三 蔬菜部が運営した野菜栽培事業の実際―日誌の記録を中心に 
(一)日誌の記録例/(二)蔬菜部の菜園施設と野菜繁殖の方法
(三)肥料の施用と生育の手入れ/(四)収穫物の販売/(五)従業員の勤務実態
 四 蔬菜部の位置づけと経営の諸課題 
(一)蔬菜部の成立ち/(二)金原家経営における蔬菜部/(三)野菜栽培事業の外部環境
(四)野菜栽培の事業構造と採算性/(五)蔬菜部の事業運営―努力の足跡
(六)自然災害の頻発と打撃
 五 おわりに 

第6章 民衆「教化」と社会「改良」を目指す金原明善―その啓蒙活動から考える ●伴野文亮 
 一 はじめに 
 二 俳諧の「善用」 
(一)明善と俳諧/(二)『しら露集』制作の背景①蒼山への思慕
(三)『しら露集』制作の背景②民衆「教化」のモチベーション
 三 免囚保護の実践 
(一)勧善会の概要/(二)活動の内実/(三)「賞与金」の施与
(四)勧善会のその後と明善の関与
 四 講演と揮毫による「教化」 
(一)国家主義者としての肖像/(二)明治後期の時代状況との対峙/(三)揮毫による啓蒙
(四)講演による啓蒙/(五)郷里浜松の地域指導者として
(六)躬行同志会の活動と明善の立ち位置
 五 むすびにかえて 

第7章 地域史教育のなかの金原明善―高校での教育実践から考える ●井口裕紀 
 一 はじめに 
 二 「地域史」と「郷土史」 
 三 地域史学習の素材としての明善―六つの視点 
(一)防災学習の視点/(二)用水事業に注目した、天竜川の恵みの視点
(三)地域産業学習の視点/(四)日本の更生保護事業の現状と課題に注目した視点
(五)なぜ教科書から消えたか?―教育史学習の視点
(六)神様になった明善―思想教育としての視点
 四 まとめ 

コラム(2) 高校生が調べた金原明善―明善研究に挑んだ高校生の声から 
●井口裕紀・浜名高校史学部 
 一 はじめに 
 二 金原明善研究をとおして 
(一)明善との再会 ●畑陽日希
(二)充実した瞬間 ●伊藤晴信
(三)人間、明善と向き合って ●森下陽斗

おわりに―〈偉人〉金原明善を見直す ●渡辺尚志 
 一 ローカルな〈偉人〉金原明善 
 二 明善を見直す三つの視点 

あとがき 

金原明善 関連年表 
金原家文書へのアクセス

執筆者プロフィール