中野貴文『徒然草の誕生 中世文学表現史序説』(岩波書店)
Tweet中野貴文氏より頂きました。
刊行日 2019/02/26
ISBN 9784000014106
Cコード 3091
体裁 A5・上製・カバー・352頁
定価 本体9,000円+税
版元公式サイト
https://www.iwanami.co.jp/book/b432933.html
【後世において「随筆」と呼ばれるジャンルを先取りするかのような独得の文章表現を達成した徒然草.その内容と文体は,いかにして獲得されたものであったのか.消息文や楽書,教訓書など,先行する様々なテクストとの格闘を通して,書記行為の可能性を広げていった徒然草の姿を,時代のなかに浮かび上がらせる.】
中野貴文(なかの たかふみ)
1973年 山口県生まれ.
1997年 東京大学文学部卒業.
2005年 東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得満期退学,博士(文学).
日本学術振興会特別研究員(PD).熊本大学准教授を経て,現在,東京女子大学現代教養学部教授.
日本中世文学専攻.
著書に『大学生のための文学レッスン古典編』(三省堂,2010年,共著),『女学生とジェンダー ――女性教養誌『むらさき』を鏡として』(笠間書院,2019 年,共著)など.
【目次】
序 章 「随筆」という陥穽
第一篇 『徒然草』「第一部」の始発――「消息」という方法
第一章 「消息」の時代――中世文学史のなかの『徒然草』
第二章 楽書の批評性――藤原孝道と「消息」
第三章 「文」の特質――阿仏尼と「消息」
一 『阿仏の文』
二 『十六夜日記』
第四章 「つれづれ」と光源氏――無聊を演じること
第二篇 『徒然草』「第二部」の転回――新ジャンルの創成
第一章 「よき人」の語り――不特定読者への意識
第二章 つぶやく兼好――世継との交錯
第三章 心構えの重視――書記行為と「心」
第四章 立ち現れる兼好――断片化が要請する実作者像
第五章 「忍びやか」な精神――『徒然草』が目指したもの
付 篇 各段鑑賞
一 第八九段――奥山に猫またといふ物
二 第一〇五段――北の屋陰に消え残りたる雪
三 第二三六段――丹波に出雲といふ所
跋 章 随筆の誕生――式部から兼好へ
引用出典一覧
あとがき
初出一覧
索 引