東洋大学東洋学研究所公開講演会・フレデリック・ジラール氏「『近代艶隠者』の思想的背景」(平成29年12月16日(土)午後3時より、東洋大学白山キャンパス 6号館2階 6217教室)

このエントリーをはてなブックマークに追加 Share on Tumblr

講演会情報です。


--------------------

東洋大学東洋学研究所
大型研究「日本文化の背景となる仏教文化の研究」
公開講演会

『近代艶隠者』の思想的背景
フレデリック・ジラール 先生
 (東洋大学東洋学研究所客員研究員、フランス国立極東学院名誉教授)
(Directeur d'etudes emerite du l'Ecole francaise d'Extreme-Orient)

日時: 平成29年12月16日(土)午後3時より
場所: 東洋大学白山キャンパス 6号館2階 6217教室

【講演要旨:
貞享三年(1686)書肆河内屋善兵衛刊の『近代艶隠者』という著作は、十七世紀に生きた人物の伝記、随想、人生観の記録であり、同時代のヨーロッパと比較していえば、ジャンルとしては哲学思想小説(roman philosophique)と呼ぶべきものである。作者については、本文・挿絵ともに、井原西鶴の自筆自画であるとされるが、西鶴の名と花押が示されている序文に「西鷺軒橋泉是を書残しぬ」とあり、西鶴の友人である西露仮託の西鶴作品か、あるいは西鶴仮託の西露の作品か、現在に至るまで、作者西鶴説あるいは西鷺説の議論が繰り広げられている。
内容は、西鷺が五年ぶりに西鶴に再会し、西鷺が大阪を出発して諸国をめぐり、隠逸の人々を訪ねその境涯を書き残したかたちになっている。本書は、当時の社会生活、経済的生活を知る上で貴重な歴史的な書物であり、思想的には、道教、仏教、儒教の哲学を多く取り入れ、思想的、歴史的な価値が高く、西鶴の小説、詩的世界、思想的世界を理解するためには非常に重要な著作といえる。】

講演者 フレデリック・ジラール(Frederic Girard)先生のプロフィール:
フランス国立極東学院名誉教授。東洋大学東洋学研究所客員研究員。パリ第7大学にて哲学博士号を取得後、高等研究実践院第4門(歴史・哲学)を卒業。専門は日本仏教の宗教的・哲学的思想。
著書に『大乗起信論』フランス語訳 Traite sur l'acte de foi dans le Grand Vehicule(2004年、慶應義塾大学出版会)、『風鈴頌にみる鎌倉初期の禅と念仏』The Stanza of the Bell in the Wind: Zen and Nenbutsu in the Early Kamakura Period(2007年、国際仏教学大学院大学附置国際仏教学研究所)、『日本仏教語彙集』Vocabulaire du bouddhisme japonais(Deux Tomes, Droz, Geneve, 2008)、『日仏哲学語彙集』Glossaire de philosophie japonais-francais(East-West Center for Research into Culture and Aesthetics, Tokyo, 2011)、『エミール・ギメ:日本の宗教者との対話』Emile Guimet, Dialogues avec les religieux japonais (Editions Findakly, avec le concours du musee Guimet, Paris, 2012)、『近代艶隠者』フランス語訳 Aimables ermites de notre temps(Publications de l'Ecole Francaise d'Extreme-Orient, Paris, 2017)などがある。

※東洋大学東洋学研究所では、谷地快一研究所長を研究代表者とする、東洋大学井上円了記念研究助成・大型研究特別支援助成による研究「日本文化の背景となる仏教文化の研究」が平成29年度より2年間の計画で行われています。このたび、本プロジェクトにおきまして、本研究所の客員研究員をされているフランス国立極東学院名誉教授のフレデリック・ジラール先生にご講演をお願いし、公開講演会を開催する運びとなりました。

*入場無料・予約不要 皆様のご参加をお待ち申しあげます。

お問い合わせ先 東洋大学東洋学研究所 TEL 03-3945-7483 FAX 03-3945-7483