伴野 文亮・茂木 謙之介編『日本学の教科書 Handbook for Japanese Studies』(文学通信)

このエントリーをはてなブックマークに追加 Share on Tumblr

4月上旬刊行予定です。

9784909658739.jpg

伴野文亮・茂木謙之介編『日本学の教科書 Handbook for Japanese Studies』
ISBN978-4-909658-73-9 C0036
四六判・並製・208頁
定価:本体1,800円(税別)

これから「日本」を捉え返す視座をどう獲得していくのか。
「日本」を考えるうえで、既存の取り組みにとどまらない、新たな展開を考えるために。
日本学の「方法」と「実践」を提示した、初学者をはじめとした日本学に関心を持つすべての人への「導き」の書。

グローバルヒストリーや文学研究、表象文化論や宗教研究といった人文科学から、「キャラクタ」研究や東北経済学、家族社会学といった社会科学まで、多種多様な学問領野の先鋭的な研究を結集し、さらに〈東北〉という〈場〉を問題意識として共有した新しい日本学の取り組みを示す。

執筆は、茂木謙之介、伴野文亮、クリストファー・クレイグ、佐藤弘夫、高橋章則、大野晃嗣、仁平政人、荒井美咲、君島彩子、オリオン・クラウタウ、雲然祥子、田中重人

【現代日本学は、安易な日本賛美の学問ではなく、「日本」というフィールドの実態を、複眼的視座から構造的に把握する学問でなくてはならない。現代日本学が健全な学問として存立し続けるためにも、現代日本学の実践に従事するすべての人は、国際と学際という2つの「際」に徹底的にこだわり、かつホンモノの資料をもとに研究を立ち上げるという緊張感を、絶えず持ち続けるべきである。現代日本学の挑戦は、はじまったばかりだ。】...おわりに(伴野文亮)より





PayPalでお支払い(各種クレジットカード対応)
入金を確認次第、すぐに発送(送料無料)。
案内をメールでお送りいたします。





b1.jpg

b3.gif

b4.gif

【編者プロフィール】

伴野 文亮 (ともの・ふみあき)

東北大学大学院文学研究科助教。専門は19世紀日本史、書籍文化史。
主要業績:
・『移行期の東海地域史 中世・近世・近代を架橋する』(共著、勉誠出版、2016年)
・「近代天皇制国家と「偉人」 ―金原明善の「偉人」化とその歴史的意味―」(『歴史評論』第848号、2020年)
・「金原明善のなかの天皇」(『学際日本研究』第1号、2021年)

茂木 謙之介 (もてぎ・けんのすけ)

東北大学大学院文学研究科准教授。専門は表象文化論・日本近代文化史。
主要業績:
・『表象天皇制論講義 皇族・地域・メディア』(白澤社、2019年)
・『オンライン授業の地平 ―2020年度の実践報告―』(共編著、雷音学術出版、2021年)
・『〈怪異〉とナショナリズム』(共編著、青弓社、2021年)

【目次】

はじめに(茂木謙之介)
1...本書の目的
2...「日本学」が抱える課題
3...二つの「際(=きわ)」
4...本書の構成

第Ⅰ部 日本学の現状

第1章 海外における日本学の来歴(クリストファー・クレイグ)
1...はじめに
2...日本研究の歴史
3...チェンバレン・フェノロサらの功績
4...ライシャワーとキーン
5...日本研究が直面している課題

column 「国際日本学」のゆくえ(佐藤弘夫)
1...専門分野を異にする人々が集いあって議論を進めるために
2...誰もが関心を持たざるをえないような問題を掲げる
3...わたしたちが直面する社会的課題に向きあう
4...日本学と、近代そのものを相対化しうるような視座

第2章 日本学の「場」をつくる―東北大学を事例に―(高橋章則)
1...はじめに
2...「大学院文学研究科・文学部」の改革
3...専門分野の認知と社会からの要請
4...海外の日本研究
5...「現代日本学」の研究、そのおさらい

column 日本学国際共同大学院プログラムと「日本学」(大野晃嗣)
1...はじめに
2...視点と方法としての日本学
3...海外の連携大学とのネットワーク
4...アカデミズムにおさまらない

第Ⅱ部 現代日本学の実践

第3章 現代日本学の実践1[グローバル・ヒストリー]
日本学のための歴史学的手法とその実践(クリストファー・クレイグ)

1...日本学のなかの歴史学
2...既存学科との差別化
3...地域研究に対する批判への応答
4...ローカルからグローバルへ
5...「日本史」という考え方から離れる

第4章 現代日本学の実践2[地域文化史]
「地域文化史」の視点から考える現代日本学
―俳諧の「旧派」の文化的実践を手がかりに―(伴野文亮)

1...はじめに
2...松島十湖の俳諧実践
3...十湖と「旧派」俳人にとっての芭蕉
4...八戸における俳諧と「旧派」の展開
5...むすびにかえて

column 現代日本文学へのアプローチ
―若竹千佐子『おらおらでひとりいぐも』を例に―(仁平政人)

1...「お手本」におさまらない文学表現
2...『おらおらでひとりいぐも』の「標準語」と「東北弁」
3...先行する文学を取り込み、語り直す
4...おわりに

第5章 現代日本学の実践3[表象文化論]
表象文化研究から日本学を考える
―芥見下々『呪術廻戦』における〈東北〉イメージを導きに―(茂木謙之介)

1...〈表象〉を通じた日本学へのアプローチ
2...〈表象〉の定義と人間の思考
3...〈表象〉を問う4つの方法
4...〈表象〉研究を実践する

column 現代日本の「キャラ(クター)」文化(荒井美咲)
1...はじめに
2...「キャラクター」「キャラ」概念の概観
3...「キャラ(クター)」研究の現在と未来

第6章 現代日本学の実践4[宗教学]
仏像から考える日本の「宗教」と「美術」(君島彩子)

1...はじめに
2...仏像とはなんだろう?
3...美術品・文化財になった仏像
4...仏像は完全に鑑賞対象へと変化したのか?
5...仏像は偶像なのだろうか?
6...日本的な宗教観と仏像
7...日本の伝統としての仏像へのまなざし
8...ヴァナキュラーとしての仏像

column 宗教研究からみた日本学(オリオン・クラウタウ)
1...はじめに
2...宗教研究として問うべきもの
3...おわりに

第7章 現代日本学の実践5[経済学]
「東北」の産業・経済から見る日本(雲然祥子)

1...はじめに
2...東日本大震災の発生による日本経済への影響
3...サプライチェーンの中の「東北」
4...おわりに

第8章 現代日本学の実践6[社会学]
家族の変化と生活保障システム(田中重人)

1...はじめに
2...日本型生活保障システムの形成
3... 家族の変化と生活保障システムの綻び
4...家族の弱体化と逆機能
5...親族の支援とその地域差
6...おわりに

おわりに(伴野文亮)

執筆者プロフィール