渡邊大門編『江戸幕府の誕生 関ヶ原合戦後の国家戦略』(文学通信)

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9月下旬の刊行予定です。

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渡邊大門編『江戸幕府の誕生 関ヶ原合戦後の国家戦略』(文学通信)
ISBN978-4-909658-86-9 C0021
四六判・並製・228頁
定価:本体1,900円(税別)

江戸幕府が約260年もの長きにわたって安泰だったのは、家康が幕府草創期の慶長・元和期に基礎となる諸政策を実行したからだった。果たしてそれはどのようなものだったか。最新の研究成果で、江戸幕府草創期という死角を明らかにする、画期的な書。

本書は、慶長5年(1600)の関ヶ原合戦後から豊臣家が滅亡した慶長20年(1615)の間における、江戸幕府初期(特に家康の時代)の諸政策や諸問題を検討する。
関ヶ原合戦後の領知配分はどうやって行われたのか、「二重公儀体制」とはいかなる体制なのか、家康の対外政策はどんなものであったか。朝廷、交通、城郭、京都支配、大御所政治などを取り上げ、最新の研究成果でわかりやすく伝える。

革新者のイメージが強い織田信長や知恵者とされる豊臣秀吉に比べ、特に目立った印象がない家康、草創期の江戸幕府のイメージが本書により大きく変わります。

執筆は、渡邊大門、水野伍貴、小川 雄、花岡興史、神田裕理、鍋本由徳、曽根勇二、片山正彦、加藤 僚。

【各章でメインテーマとなっているのは、江戸幕府初期における政治史である。この時代の政治史については、すでに概説書などに書かれているが、世間の人々の関心は低い。むしろ、食文化、町人文化などの文化史が好まれる。しかし、江戸幕府が約二百六十年もの長きにわたって安泰だったのは、家康が幕府草創期の慶長・元和期に基礎となる諸政策を実行したからだった。その諸政策についても、近年の研究により改められた点が多い。わたしたちの家康や江戸幕府のイメージは、本書を通して大きく変わるはずである。】...はじめにより

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【編者紹介】

渡邊大門(わたなべ・だいもん)

(株)歴史と文化の研究所代表取締役。専門は日本中近世史。
『豊臣五奉行と家康 関ケ原合戦をめぐる権力闘争』(柏書房、二〇二二年)、『倭寇・人身売買・奴隷の戦国日本史』(星海社新書、二〇二一年)、『関ケ原合戦全史 1582-1615』(草思社、二〇二一年)、『戦国大名の戦さ事情』(柏書房、二〇二〇年)。

【目次】

はじめに...渡邊大門
江戸幕府草創期という死角/幕府を築きながら、なぜか印象が薄い家康/本書のテーマ・各章の概要/家康と江戸幕府のイメージを更新する

[第1章]【なぜ合戦は避けられなかったのか】
関ヶ原の戦い―秀吉の「遺言体制」の否定と決戦への道のり...水野伍貴
秀吉の死と「遺言体制」/秀吉死後の権力闘争/「内府ちかひの条々」/正当性を奪われた家康の動き/諸大名の選択/決戦!関ヶ原/東軍の勝利/関ヶ原の戦いとは何だったのか

[第2章]【戦後処理はいかにおこなわれたか】
関ヶ原合戦後における諸将の領知配分―加増・減封・改易の実態...渡邊大門
関ヶ原合戦後の戦後処理/東軍の勝利を前提とした約束/助かった西軍の諸大名/厳罰を科された西軍首謀者/そのほかの西軍諸将の扱い/領知配分の実際/口頭のみの領知宛行/領知宛行の実態/領知配分の難しさ/徳川一門・譜代への対応/豊臣秀頼の処遇/その後の展開

[第3章]【二つの権力はいかに並立し、決別したか】
「二重公儀」の実像―徳川氏・羽柴氏の協調関係とその破綻...小川 雄
二重公儀論の概要/徳川氏・羽柴氏の協調関係/秀頼期羽柴氏の所領分布/秀頼期羽柴氏と朝廷の関係/秀頼期羽柴氏の寺社再建/協調関係の推移/協調関係の担い手たち/協調関係見直しの動き/引き継がれなかった協調関係

[第4章]【はたして法令といえるのか】
幕府の城郭政策―「元和一国一城令」を再考する...花岡興史
「元和一国一城令」とは/用語の出自/「元和一国一城」の実際/法令としての検証/福田千鶴氏の批判/「一国一城令」ははたして「令」なのか/山本博文氏の批判/「一国一城令」の効力/なぜ、多くの大名たちが城を壊したのか

[第5章]【朝廷は家康に統制されていたのか】
徳川家康と天皇・公家衆との関係―武家と朝廷の駆け引きの行方...神田裕理
家康の台頭/帰趨を見届ける天皇と公家たち/もう一人の「武家」・「将来の関白」秀頼/秀頼・家康と朝廷︱関ヶ原合戦前︱/関ヶ原合戦後の秀頼と朝廷/官位昇進の拮抗/官位叙任権の移り変わり/昵近衆の編成/昵近衆への期待/家康の対朝廷戦略

[第6章]【「鎖国」に至るまでの外交のあり方】
家康の対外政策は、外国人にどう受け止められたのか―原語表現に着目した権力認識...鍋本由徳
家康の対外政策は積極外交か/ポルトガル・スペインとの微妙な関係/研究に立ちはだかる大きな課題/原語表現と本国の権力認識への着目/イギリス商館が求める琉球との交易/幕府にとり、イギリス商館と琉球との交易にメリットはあるか/家康死後の急激な政策転換がもたらす影響/通詞と武家との喧嘩でコックスはどう動いたか/特権を拡大解釈するコックス/家康の与えた特許は軽いものだったのか?/家康がキリスト教を公認した事実はない/家康の禁教令の遠因となるノサ・セニョーラ・ダ・グラサ号/家康にとっての貿易と宗教との関係/家康死後の貿易制限令

[第7章]【駿府でなければならなかった理由とは】
大御所政治の展開―駿府の時代とは何であったのか?...曽根勇二
「大御所政治」の時代/新たな動きと江戸城・駿府城の普請/駿府城普請の意味/首都移転/朝鮮使節の饗応と駿府城本丸の炎上/諸大名の上洛禁止/甲府・八王子の位置付/駿府による東国支配/江戸の都市計画/大阪湾から瀬戸内の海上支配/琉球出兵とその後/姫路城の存在と西国支配/家康による拠点移動の意義

[第8章]【幕府の代行者たちの職務とその担い手】
京都所司代と国奉行―畿内近国に設置された江戸幕府の出先機関...片山正彦
京都所司代・国奉行とは/板倉勝重の職務/「大御所政治」と勝重/多岐にわたる京都所司代の役割/国奉行としての片桐且元/国奉行の寺社行政/寺社の復興と国奉行/小堀政一とは/国奉行としての政一/その後の板倉氏らの状況

[第9章]【発展の土台を支えたもの】
近世初期の交通政策―参勤交代・関所・宿駅制...加藤 僚
重要な交通政策/参勤交代の定義/参勤交代の別の側面/関所の機能など/関所の規定/関所の設置時期/平安から室町期の宿駅制/戦国・織豊期の宿駅制/江戸時代の宿駅制/近世宿駅の成立/宿駅・在町の目的

[第10章]【戦いの引き金から終局に至るまで】
大坂冬の陣・夏の陣の全貌―徳川・豊臣の最終戦争...渡邊大門
大坂の陣の発端/大坂冬の陣前夜/大坂冬の陣開戦する/木津川口の戦いと鴫野・今福の戦い/真田信繁と真田丸の戦い/最終的な和平の内容/大坂夏の陣開戦へ/大和郡山、堺・岸和田方面における戦い/道明寺の戦い/その後の諸戦/天王寺・岡山の戦い/秀頼と淀殿の最期

おわりに...渡邊大門

執筆者一覧

【執筆者(執筆順)】

水野伍貴(みずの・ともき)

株式会社歴史と文化の研究所客員研究員。専門は日本近世史(豊臣政権、江戸時代初期)。
『関ヶ原への道―豊臣秀吉死後の権力闘争』(東京堂出版、二〇二一年)、『秀吉死後の権力闘争と関ケ原前夜』(日本史史料研究会企画部、二〇一六年)、「関ヶ原合戦後の国割に関する一考察」(『十六世紀史論叢』十六号、二〇二二年)。

小川 雄(おがわ・ゆう)

日本大学文理学部史学科准教授。専門は中近世移行期の政治史、徳川権力論。
『水軍と海賊の戦国史』(平凡社、二〇二〇年)、『徳川権力と海上軍事』(岩田書院、二〇一六年)。

花岡興史(はなおか・おきふみ)

九州大学学術研究者。専門は日本近世政治史。
「新発見の豊臣秀吉文書と肥後宗像家」(『沖ノ島研究』第六号、二〇二〇年)、「細川忠興と八代城 隠居体制と隠居城の普請について」(『八代市文化財調査報告書第五一集 八代城二の丸』二〇二〇年)、「幕藩体制下における八代城 『一国一城令』による存続と地震による移転について」(『八代市文化財報告書第四九集 八代城跡保存修復報告書』二〇一八年)。

神田裕理(かんだ・ゆり)

元京都造形芸術大学非常勤講師。専門は戦国〜織豊期の政治社会史、公武関係論。
『朝廷の戦国時代 武家と公家の駆け引き』(吉川弘文館、二〇一九年)、『戦国・織豊期朝廷の政務運営と公武関係』(日本史史料研究会企画部、二〇一五年)、『戦国・織豊期の朝廷と公家社会』(校倉書房、二〇一一年)。

鍋本由徳(なべもと・よしのり)

日本大学通信教育部教授。専門は十七世紀幕府権力。
「一七世紀のイギリス商館員の書状にみる政治情勢︱India Office Record所収書状を中心に︱」(日本大学通信教育部『研究紀要』三四号、二〇二一年)、「長崎阿蘭陀通詞本木家のアイデンティティ」(『日本の歴史を解きほぐす︱地域資料からの探求』文学通信、二〇二〇年)、「江戸時代、長崎唐人番・唐通事の記録などにみる日中関係︱長崎に残る唐人文化をめぐって」(『東アジア日本語教育・日本文化研究』二二号、二〇一九年)。

曽根勇二(そね・ゆうじ)

元横浜市歴史博物館学芸員。専門は日本近世史。   
『大坂の陣と豊臣秀頼(敗者の日本史)』(吉川弘文館、二〇一三年)、『秀吉・家康政権の政治経済構造』(校倉書房、二〇〇八年)、『近世国家の形成と戦争体制』(校倉書房、二〇〇四年)。

片山正彦(かたやま・まさひこ)

市立枚方宿鍵屋資料館学芸員、佛教大学・神戸常盤大学非常勤講師等。専門は日本近世初期政治史、近世地域史(京阪神地域)。
「京街道の宿場町にのこる「般宿」―伏見の寺田屋と枚方の鍵屋―」(京都学研究会編『京都を学ぶ【伏見編】』ナカニシヤ出版、二〇二二年)、佛教大学研究叢書29『豊臣政権の東国政策と徳川氏』(思文閣出版、二〇一七年)。

加藤 僚(かとう・りょう)

九州共立大学非常勤講師等。専門は日本近世交通史。
「近世関所の本質について―『長崎御番方日記』の解釈をめぐって―」(渡邊大門編『歴史が拓く未来』歴史と文化の研究所、二〇二一年)、「『鎖国』制下の海の関所―長崎両番所から浦賀番所へ―」(『交通史研究』七四号、二〇一一年)。