公開セミナー「情報技術は人文学研究に何をもたらすのか?」【講師 橋本雄太氏(国立歴史民俗博物館・テニュアトラック助教)】受講記○合山林太郎(慶應義塾大学)

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公開セミナー「情報技術は人文学研究に何をもたらすのか?」受講記

講師 橋本雄太氏(国立歴史民俗博物館・テニュアトラック助教)

2018年1月12日(金) 16:30~18:00
慶應義塾大学(三田)南校舎453教室(5階)

公式サイト
https://researchmap.jp/jojfhkadc-2006797/#_2006797

合山林太郎(慶應義塾大学)

1月12日(金)、慶應義塾大学において、橋本雄太先生(国立歴史民俗博物館テニュアトラック助教)による公開セミナー「情報技術は人文学研究に何をもたらすのか?」 が開催された(参加者約50名)。ここ数年、情報技術が確実に人文学研究に変化をもたらすだろうと様々な場所で唱えられており、また、西洋の人文学や言語学などの学問では、実際に、こうした技術を用いた研究成果・資源も、多数出てきているようである。私自身も、できるだけ動きを追うようにしているのであるが、知識やスキルは全く持っていない。そのような中、専門家である橋本先生に、この問題についての現在の状況とこれからの展望を聞き、どう身を処せばよいかをうかがいたい、このセミナーはそのような意図のもと企画された。

橋本先生には、ご講演において、デジタル・ヒューマニティーズの歴史や、テキスト・マイニングをはじめ、現在あるいくつかの研究のアプローチ、人文学研究者が情報技術を学ぶ意義などを懇切にご説明いただいた。また、セミナーには、在京でこうした問題に詳しい研究者も複数名いらっしゃっており、議論が盛り上がった。

たとえば、①人文学の研究者が一から勉強して本格的なプログラミングを修得することはかなり難しく、条件分岐やループを使用した簡単なプログラムとアプリをうまく組み合わせて効率的に研究を進めるといったあたりが、実際の落とし所だろう、②今後は情報技術者と文献学者が、チームで取り組む研究が増えるだろう、③データジャーナル【注[1]】(正しい規格で作られたデータを掲載し、それを業績として認める媒体。日本文学に研究の状況に即して言うならば、翻刻データなどをデータジャーナルに掲載し、ウェブ上の論文とリンクさせたり、資源共有を図ったりすることが考えられる)の重要性が今後増すだろう、など多くの具体的な知見を賜った。あらためて感謝申し上げたい。

今回のセミナーで、私は、「その情報技術を使って、自分はどのような研究成果をあげることができそうか」を常に意識しながら、質問などさせていただいた。その中には、随分と幼稚なものや失礼なものも多かったように思うが、そのおかげで、私は、このテーマについて、より具体的なイメージを持つことができた。知識がないので、これまで引け目を感じ、情報技術に関する話を、なんとなく"拝聴"してしまっていたが、自身の関心に引き付けて考えると、見え方が大きく変わってくるのだということを実感した。今後は、これが一時の楽しいイベントに終わらないよう、可能な部分から着実に研究や教育に取り込んでいきたい。

注:
注[1]データジャーナルについては、南山泰之「データジャーナル:研究データ管理の新たな試み」(カレントアウェアネス、No.325、2015年9月20日、2018年1月22日最終確認、http://current.ndl.go.jp/ca1858)に詳しい(小風尚樹氏よりご教示いただいた)。