篠原進「『武道伝来記』の〈不好容儀(いやなかたぎ)〉」(「青山語文」45、掲載予定)

西鶴研究会のみなさまへ

篠原進
 
 今年3月26日(木)の第40回研究会(午後13時30分から。青山学院大学総研ビル9F16会議室)では、仲、浜田、井上3氏のご発表が予定されています。そのどれもが所謂武家物。武家物が人気ですね。

 思えば第35回の西鶴研究会において井上泰至氏が挑発的なご発表をなさったのは、今から2年半前(「『武道伝来記』の「武道」」2012・8・23)。その後も井上氏は『近世刊行軍書論』(笠間書院・2014)、田中康二氏と共編『江戸文学を選び直す』(同)などで西鶴武家物、とりわけ『武道伝来記』についてのご研究を次々と提示なさっておられます。

 そうした学恩に少しでも報いるために当方も何か書かなくてはと思いながらも、忙しさにかまけ、忸怩たる思いを抱いたまま時間ばかりが経ってしまいました。ただ、昨年は井上氏の二書の他、佐々木昭夫氏『近世小説を読む―西鶴と秋成―』(翰林書房)も上梓されたこともあり、さすがに潮時と考え、昨夏は『武道伝来記』を読みなおしてみました。

「勝手読みの愚」(佐々木昭夫氏)そのもので、拙く貧しい仕事ですが、塩村耕氏や陳羿秀氏のお仕事に触発され、山雲子作とされる『人倫糸屑』の「不好容儀」に焦点をあて、『武道伝来記』の別な側面を考えてみたつもりです。今回のご発表の「前座」にもなりませんが、ご笑覧下さい。

 昨秋には脱稿していたのですが、紙媒体での発表にあまり先行してはと考え、この時期になってしまいました(まだ、校正中です)。どうぞ、お赦し下さい。

●篠原進「『武道伝来記』の〈不好容儀(いやなかたぎ)〉」(「青山語文」45、掲載予定)
http://bungaku-report.com/saikaku/saikakupic/shinohara20150225.pdfshinohara20150225.pdf

 余談ですが、西鶴研究会編『西鶴が語る 江戸のラブストーリー』(ぺりかん社)が4刷に入ったとの御由(有働さんありがとうございました)。多くの方が、西鶴に触れて下さるのは歓迎すべきことです。これも会員のみなさまのご尽力の賜です。心より感謝申し上げます。