第39回・西鶴研究会(2014年8月28日(木)、青山学院大学 総合ビルディング会議室)

出欠のご連絡をメールにて8月15日(金)までに染谷までお送りください。
*その際、午後六時からの食事会(会費:専任職にお就きの方・5000円程度、それ以外の方、院生・3000円程度)の出欠もお知らせください。


日時    2014年8月28日(木) 午後2時より6時
場所   青山学院大学 総合ビルディング会議室
(当日、1Fの入り口に会議室の場所を掲示しておきます)

内容    研究発表、新企画の提案(並びに質疑応答)、2013年度総会

◆「古典」としての西鶴と本文注釈  ―解釈と教材の観点から―
福岡女子大学 大久保 順子

 近年の研究会の議論で言及される〈暉峻西鶴〉批判や「近代的読み」批判等は、西鶴作品が「いかにして(いかなる背景で)読まれてきたのか」という 作品受容の再検討であり、作品解釈の前提への着目ともみられる。例えば〈暉峻西鶴〉以前も、明治期の「江戸文化」的な西鶴の扱いの後に、大正・昭和期の研 究の進展や国語教材化の動向がみられ、その経緯の中で「文学作品」「歴史文化教養教材」等の枠組から「西鶴」の価値が問われ続けている。あるいは他の近世 作品(『常山紀談』『駿台雑話』や、芭蕉、近松等)の教材化と比較して、西鶴作品が「いかなる(古典)文学である(あった)か」ということも、その本文や 注釈、解説の各所に窺うことができるのではないか。本発表ではそのような視点から、教材に反映された本文注釈と解釈の動向について考えたい。前年の調査報 告例の他に、『万の文反古』巻三の三や『西鶴俗つれづれ』巻四の一等の例を加えて検討し、竹野静雄氏編『西鶴研究資料叢書』等の諸資料の言説等も参照する 予定である。

◆「はじめての西鶴―SAIKAKU U18」(仮題)の企画について
西鶴研究会事務局 
 
 西鶴研究会では、今まで、メンバーの御協力を得て『西鶴が語る江戸のミステリー』、『同 ラブストーリー』、『同 ダークサイド』(いずれも、ぺりかん 社)、『西鶴諸国はなし』(三弥井書店)を上梓して来ました。幸いいずれも好評にて版を重ね、出版社から続編も求められています。
 そうした声を享け、事務局を中心に新企画を練った結果、凡そ以下のような企画にまとまりつつあります。そこで、今回の西鶴研究会の後半では、この新企画 の趣旨・概要並びに問題点等を事務局側から提案ならびに説明し、会員の皆さま方にご意見をいただく場としたいと存じます。
 なお当日は、この新企画についての議論から、さらには広く「西鶴研究と啓蒙」「中高の教科書と西鶴」「西鶴の研究と教育」等についても、議論を深められたらと考えております。

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○仮タイトル 「はじめての西鶴―SAIKAKU U18」

○趣旨 日々悪化する日本の古典教育の状況に、研究者もただ手をこまねいているだけでなく、積極的にアプローチしたい。特に、古典に興味を示さなく なってしまった若い人たちに、どうしたら少しでも興味を持ってもらえるのか。西鶴という作品を通して、これを徹底的に考えるとともに、様々に工夫を凝らし た西鶴の入門書・啓蒙書を作成し、若い人たちに直接送りとどける。

○対象とする読者 これまでの出版物は、大学生や社会人を対象としていたが、新企画書ではターゲットを「三才の童、八旬の口」(都の錦『御前於伽』)にも合うようにシフトする。すなわち、
1)はじめて西鶴に触れる中学生や高校生
2)大学受験生
3)カルチャー講座や講演会に集う社会人(ただし、メインは1と2)
を対象とする。(この対象については議論があり、まだ完全に定まっておりません)
 特に、中高生については、マーケティング的にはいちばん難しいとされる層だが、10年後20年後を考えれば、この若者たちを刺激し、興味を喚起することは、今後の西鶴研究を考えれば不可欠ではないかと考える。

○参考 土方洋一他『高校生からの古典読本』(平凡社ライブラリー)
有働裕『これからの古典ブンガクのために』(ぺりかん社)。
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なお、当日には、もう少し煮詰めたものをプレゼンする予定です。(以上)
                        
*司会は前回の発表者にお願いする予定です。(染谷記)
問い合わせ先  染谷智幸