第四十一回 西鶴研究会【有働 裕氏、石上阿希氏】(2015年8月27日(木)、青山学院大学総合研究ビルディング18会議室(10階))

日時:8月27日(木)午後2時~6時
場所:青山学院大学総合研究ビルディング18会議室(10階)

《内容及び、タイムスケジュール》
2:00 研究発表(有働裕氏)
3:00 質疑応答
3:40 西鶴に関する新企画について
4:00 休憩
4:10 石上阿希氏ご講演
5:10 質疑応答
5;45 総会
6:00 終了

発表・講演、題目および要旨

◆「恋草からげし八百屋物語」考 ― 『天和笑委集』と『御当代記』を中心に―
愛知教育大学 有働 裕

『好色五人女』巻四「恋草からげし八百屋物語」には、さまざまな謎が存在する。本発表は、それらの謎を解くための手始めとして、『天和笑委集』『御当代記』の記述を検討しつつ、お七の設定について論じるものである。
『好色五人女』については、実説に基づくモデル小説という理解が、長きにわたってなされてきた。しかし、谷脇理史氏によって「モデル使用説というレッテルをはがして、作品を見直してみる必要」(「『好色五人女』―悲劇的恋愛事件を題材に―」『国文学 解釋と鑑賞』至文堂・一九九八年八月号。)があるという主張がなされて既に久しい。また、「恋草からげし八百屋物語」についていえば、モデルの存在を根底から否定する矢野公和氏の論(「「八百屋お七」は実在したのか」『西鶴と浮世草子研究 Vol.4』笠間書院・二〇一〇年十一月)も提示されている。お七の存在を完全に否定できるかどうかは別として、『天和笑委集』(著者未詳・写本・貞享年間の成立か)の記述に信憑性が乏しいことは確かであり、『天和笑委集』を西鶴が情報源として利用したとは思えない。しかし、そうだとすれば、さらなる疑問も生じてくる。たとえば、『天和笑委集』には、お七と同様に火刑に処された罪人として「お春」「喜三郎」という人物が登場し、こちらは『御仕置裁許帳』天和三年三月にも処刑された記録がある。お春に関する記述には「恋草からげし八百屋物語」と類似した部分が見られるが、このことをどのように考えればよいのか。また、本郷で放火事件を起こした犯人であれば小塚原で処刑されるはずであるのに、『天和笑委集』でも「恋草からげし八百屋物語」でも、お七は鈴ヶ森で処刑されている。なぜこのような当時の常識に反した設定がなされているのか。これらの問題について、お七のモデル(実説)を探し求めるのではなく、同時代資料として『天和笑委集』『御当代記』を読み返しつつ考察してみたいと考えている。

◆[講演] 春画・艶本研究の過去・現在
国際日本文化研究センター 石上阿希

                        
*司会は前回の発表者にお願いする予定です。(染谷記)

*研究会では、参加者による告知・広報(出版・企画・研究会等)の時間を取ってあります。ご希望の方は、研究会が始まる前に染谷までご一報ください。

出欠のご連絡をメールにて8月14日(金)までに染谷までお送りください。
*その際、午後六時からの食事会(会費:専任職にお就きの方・5000円程度、それ以外の方、院生・3000円程度)の出欠もお知らせください。
(メール先:goku7788(アットマーク)gmail.com 染谷智幸宛)