研究会の感想(石塚修)その2

研究会の感想(石塚修)の続編です

武家物祭の2段目は、佛教大学の浜田先生のご発表です。先生は「ちゃはつ」ですが研究は誠にぬばたまの黒髪のごとき丁寧な語句からの読みでした。(ちなみに、チャパツはキンパツとは異なり音韻としては不可ですね)

それはさておき、『武家義理物語』巻2-1と2のお話は、西鶴のなかでも年号も事件も特定できるという点で際物的な章です。その描写について、「慮外」「推参」という語句のレベルから、喧嘩の原因を探り、読み深めていこうという趣旨でした。仇討ちの話としてではなく喧嘩口論の話として読めないか、もし喧嘩口論ならば序文と齟齬が生じ、そのことが「義理」というテーマの理解にもつながるという指摘でした。発表後、まさに槍衾状態の質疑が飛んでいましたが、浜田先生は、しっかりと傘を広げて受けて立っておられました。

ところで、この事件の発端となる「傘のふりあて」ですが、一時期流行って、文部科学省もだまされた、あの「江戸しぐさ」の一つですね。「江戸しぐさ」のできなかった徳島の田舎のお武家さまが、傘があたったことで斬り合いになって、あげくはその敵討ちにまでおよんだとなると、かっこうの「江戸しぐさ」の教材なんですがねぇ。あの活動はその後はどうなったんでしょうか。