第34回・西鶴研究会(2012年3月22日(木) 午後2時~6時、青山学院大学 総合研究ビルディング 10階 第18会議室)

日程 第34回
2012年3月22日(木)
午後2時〜6時
場所
青山学院大学 総合研究ビルディング 10階 第18会議室 

◇ 戯作者たちと西鶴ー 関連の多様さ
同志社大学  神谷勝広

 近年、近世小説研究は、ジャンルごとに専門化・高度化している。そろそろ、研究の専門化・高度化の成果を踏まえ、改めて研究の関連化・横断化を考えてはどうだろうか。
 既に、複数の文庫がマイクロ化され、さらに早稲田大学附属図書館資料はデジタル化もされた。今後もマイクロ化・デジタル化は進展していくであろう。加えて、優れた事典類の刊行が相次いでいる。『草双紙事典』『読本事典』『人情本事典』などである。木村八重子氏による草双紙の書誌研究、『浮世草子事典』の企画も進みつつある。木村氏の成果と『浮世草子事典』の刊行が果たされれば、上方小説と江戸小説との関連についての認識が、一変する可能性もあろう。
今回は、上記のような期待を抱きつつ、三人の戯作者たち―江戸の種彦・一九、明治の篁村―と西鶴の関連について、私見および見通しを述べる。

◇ 講演:中国版画と浮世絵
学習院大学名誉教授 諏訪春雄

 近世中期に誕生した錦絵が中国版画の技法を継承して成立したことは定説となっています。しかし、中国版画の技法が当時どのようであったか、錦絵はそれにどのような工夫を加えたのか、など詳細は明らかでありません。私が実施した天津、蘇州など、中国版画工房の現地調査で、現在の中国の技法は、墨摺り筆彩色、紙と刻版固定、匡郭見当型の三種に分類できました。清代までの中国古代版画の技法は、墨摺り筆彩色、餖版(版木小片固定)、拱花(版木固定)の三種であり、その影響が中国の現在の技法に残っていると考えられます。日本の浮世絵版画は中国の技法の継承段階と見当工夫段階に大きく二分できます。浮世絵版画の技法と表現の二つの方向から、日本の浮世絵の特質に迫ります。  

その他 司会は前回発表者の予定です